九州大学 2018年 文系 第4問 解説

方針・初手
各部品が不良品である事象をそれぞれ $A, B, C$ とおき、与えられた条件を確率の式で整理する。 問題文の「〜であるとき、〜である確率」という表現は条件付き確率を意味している。 事象が排反であることを利用して和の確率を求め、乗法定理や条件付き確率の定義に従って順番に計算を進める。
解法1
製品から部品を1つ取り出したとき、部品 a, b, c が不良品である事象をそれぞれ $A, B, C$ とおく。 また、事象 $A, B, C$ の余事象をそれぞれ $\bar{A}, \bar{B}, \bar{C}$ とおく。 与えられた条件より、以下の確率が成り立つ。
$$ P(A) = p $$
$$ P(B|\bar{A}) = q $$
$$ P(B|A) = 3q $$
$$ P(C|\bar{B}) = r $$
$$ P(C|B) = 5r $$
(1)
求める確率は、部品 a, b の少なくとも一方が不良品である確率 $P(A \cup B)$ である。 事象 $A$ と事象 $\bar{A} \cap B$ は互いに排反であるから、和の法則と乗法定理より次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} P(A \cup B) &= P(A) + P(\bar{A} \cap B) \\ &= P(A) + P(\bar{A})P(B|\bar{A}) \\ &= p + (1 - p)q \\ &= p + q - pq \end{aligned} $$
(2)
求める確率は、部品 c が不良品である確率 $P(C)$ である。 事象 $B \cap C$ と事象 $\bar{B} \cap C$ は互いに排反であるから、和の法則より次のように表せる。
$$ P(C) = P(B \cap C) + P(\bar{B} \cap C) $$
乗法定理を用いて変形すると、以下のようになる。
$$ P(C) = P(B)P(C|B) + P(\bar{B})P(C|\bar{B}) $$
ここで、$P(B)$ と $P(\bar{B})$ を求める。 事象 $A \cap B$ と事象 $\bar{A} \cap B$ は排反であるから、
$$ \begin{aligned} P(B) &= P(A \cap B) + P(\bar{A} \cap B) \\ &= P(A)P(B|A) + P(\bar{A})P(B|\bar{A}) \\ &= p \cdot 3q + (1 - p)q \\ &= 2pq + q \\ &= q(2p + 1) \end{aligned} $$
これより、余事象の確率 $P(\bar{B})$ は次のように求まる。
$$ P(\bar{B}) = 1 - P(B) = 1 - q(2p + 1) $$
これらを $P(C)$ の式に代入する。
$$ \begin{aligned} P(C) &= q(2p + 1) \cdot 5r + \{1 - q(2p + 1)\} \cdot r \\ &= r \{ 5q(2p + 1) + 1 - q(2p + 1) \} \\ &= r \{ 4q(2p + 1) + 1 \} \\ &= r(8pq + 4q + 1) \end{aligned} $$
(3)
求める確率は、部品 c が不良品であったときに、部品 b も不良品である条件付き確率 $P(B|C)$ である。 条件付き確率の定義より、次のように表せる。
$$ P(B|C) = \frac{P(B \cap C)}{P(C)} $$
(2) の計算過程より、$P(B \cap C) = P(B)P(C|B) = 5rq(2p + 1)$ である。 また、$P(C) = r(8pq + 4q + 1)$ である。 これらを代入する。
$$ P(B|C) = \frac{5rq(2p + 1)}{r(8pq + 4q + 1)} $$
条件より $r > 0$ であるから、分母と分子を $r$ で割ることができる。
$$ P(B|C) = \frac{5q(2p + 1)}{8pq + 4q + 1} $$
解説
事象を定義し、与えられた日本語の条件を「条件付き確率」として数式化できるかが問われている標準的な確率の問題である。 事象を分割して排反な和として計算する「全確率の定理」と、事象が起こった後の原因の確率を求める「ベイズの定理」の基本的な適用手順を確認できる。 (3) において、計算結果の式から $r$ が約分されて消去されることは、問題文の「$p, q$ を用いて表せ」という指示と一致しており、自身の計算の妥当性を確認する一つの目安となる。
答え
(1)
$$ p + q - pq $$
(2)
$$ r(8pq + 4q + 1) $$
(3)
$$ \frac{5q(2p + 1)}{8pq + 4q + 1} $$
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