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九州大学 1972年 理系 第4問 解説

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九州大学 1972年 理系 第4問 解説

方針・初手

$10^n$ を素因数分解して $2^n \cdot 5^n$ とし、正の約数がどのような形で表されるかを考える。

(1) では素因数 $2$ の指数が固定されることに着目して条件を満たす約数の形を特定し、その総和を求める。 (2) では正の約数の総和の公式を用いて $B_n$ を求めた後、極限計算では分母の $10^n = 2^n \cdot 5^n$ を活用してそれぞれの因数ごとに極限が計算できる形に変形する。

解法1

(1)

$10^n = (2 \cdot 5)^n = 2^n \cdot 5^n$ であるから、$10^n$ の正の約数は、整数 $a, b$ ($0 \leqq a \leqq n$, $0 \leqq b \leqq n$) を用いて

$$2^a \cdot 5^b$$

と表される。

このうち、$2^k$ で割り切れて $2^{k+1}$ で割り切れないものは、素因数分解における $2$ の指数がちょうど $k$ である約数である。 したがって、それらの約数は $2^k \cdot 5^b$ ($0 \leqq b \leqq n$) の形で表される。

これらすべての総和 $A_k$ は、

$$A_k = \sum_{b=0}^{n} \left( 2^k \cdot 5^b \right)$$

$$A_k = 2^k \sum_{b=0}^{n} 5^b$$

$$A_k = 2^k \cdot \frac{5^{n+1}-1}{5-1}$$

$$A_k = 2^{k-2}(5^{n+1}-1)$$

と計算できる。

(2)

$10^n = 2^n \cdot 5^n$ の正の約数の総和 $B_n$ は、

$$B_n = \left( \sum_{a=0}^{n} 2^a \right) \left( \sum_{b=0}^{n} 5^b \right)$$

$$B_n = \frac{2^{n+1}-1}{2-1} \cdot \frac{5^{n+1}-1}{5-1}$$

$$B_n = \frac{(2^{n+1}-1)(5^{n+1}-1)}{4}$$

である。

次に、極限値 $\lim_{n \to \infty} \frac{B_n}{10^n}$ を求める。

$$\frac{B_n}{10^n} = \frac{(2^{n+1}-1)(5^{n+1}-1)}{4 \cdot 2^n \cdot 5^n}$$

$$\frac{B_n}{10^n} = \frac{1}{4} \cdot \frac{2^{n+1}-1}{2^n} \cdot \frac{5^{n+1}-1}{5^n}$$

$$\frac{B_n}{10^n} = \frac{1}{4} \left( 2 - \frac{1}{2^n} \right) \left( 5 - \frac{1}{5^n} \right)$$

と変形できる。

$n \to \infty$ のとき、$\frac{1}{2^n} \to 0$ かつ $\frac{1}{5^n} \to 0$ であるから、

$$\lim_{n \to \infty} \frac{B_n}{10^n} = \frac{1}{4} \cdot (2-0) \cdot (5-0)$$

$$\lim_{n \to \infty} \frac{B_n}{10^n} = \frac{10}{4} = \frac{5}{2}$$

となる。

解法2

(2) の $B_n$ の別解

(1) で求めた $A_k$ は、「$10^n$ の正の約数のうち、素因数 $2$ の指数が $k$ であるものの総和」である。 $10^n$ のすべての正の約数について、素因数 $2$ の指数 $k$ は $0 \leqq k \leqq n$ のいずれかの整数値を必ずとるため、$B_n$ は $A_k$ を $k=0$ から $n$ まで足し合わせたものに等しい。

したがって、

$$B_n = \sum_{k=0}^{n} A_k$$

$$B_n = \sum_{k=0}^{n} 2^{k-2}(5^{n+1}-1)$$

$$B_n = \frac{5^{n+1}-1}{4} \sum_{k=0}^{n} 2^k$$

$$B_n = \frac{5^{n+1}-1}{4} \cdot \frac{2^{n+1}-1}{2-1}$$

$$B_n = \frac{(2^{n+1}-1)(5^{n+1}-1)}{4}$$

と求めることもできる。(極限の計算は解法1と同様)

解説

素因数分解と約数の総和についての基本的な性質を問う問題である。 (1)のように特定の条件を満たす約数を考える場合も、基本となるのは素因数分解による形 $2^a \cdot 5^b$ の把握であり、各素因数の指数が取りうる値の範囲を考えることが定石となる。 (2)の極限計算では、不定形を解消するために $\frac{2^{n+1}-1}{2^n}$ などの形を作り、分母の最大公比で割ることで極限が有限確定値になるように分数の形を整えることがポイントである。 また、解法2のように前問の結果を利用して全体を構成する視点を持つと、見通しよく解答でき、検算にも役立つ。

答え

(1) $A_k = 2^{k-2}(5^{n+1}-1)$

(2) $B_n = \frac{(2^{n+1}-1)(5^{n+1}-1)}{4}$、極限値は $\frac{5}{2}$

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