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九州大学 1972年 理系 第5問 解説

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九州大学 1972年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) 点 $P$ における接線の方程式を求め、長方形 $OACB$ の各頂点の座標を決定する。その上で、指定された領域の上下関係と積分区間を把握し、定積分を用いて面積を計算する。 (2) 対角線 $OC$ の方程式を求め、曲線 $y=\frac{1}{x}$ との交点を確認する。(1)で求めた面積が $OC$ によって分割される $2$ つの部分の面積をそれぞれ定積分で計算し、それらが一致することを示す。または、変数変換を行って図形の対称性を利用して示すこともできる。

解法1

(1)

曲線①の方程式 $y = \frac{1}{x}$ より $y' = -\frac{1}{x^2}$ である。 点 $P\left(a, \frac{1}{a}\right)$ における接線の方程式は

$$y - \frac{1}{a} = -\frac{1}{a^2}(x - a)$$

$$y = -\frac{1}{a^2}x + \frac{2}{a}$$

これが $x$ 軸と交わる点 $A$ の $x$ 座標は、$y = 0$ として

$$0 = -\frac{1}{a^2}x + \frac{2}{a}$$

$$x = 2a$$

よって、$A(2a, 0)$ である。 $y$ 軸と交わる点 $B$ の $y$ 座標は、$x = 0$ として $y = \frac{2}{a}$ であるから、$B\left(0, \frac{2}{a}\right)$ である。 $OACB$ は長方形であるから、点 $C$ の座標は $\left(2a, \frac{2}{a}\right)$ となり、直線 $AC$ は $x = 2a$、直線 $BC$ は $y = \frac{2}{a}$ となる。

曲線 $y = \frac{1}{x}$ と直線 $BC$ ($y = \frac{2}{a}$) の交点の $x$ 座標は

$$\frac{1}{x} = \frac{2}{a}$$

より $x = \frac{a}{2}$ である。 曲線 $y = \frac{1}{x}$ と 2 直線 $AC$ ($x = 2a$), $BC$ ($y = \frac{2}{a}$) で囲まれる部分は、$\frac{a}{2} \leqq x \leqq 2a$ の範囲において、直線 $y = \frac{2}{a}$ と曲線 $y = \frac{1}{x}$ に挟まれた図形である。 求める面積を $S$ とすると

$$S = \int_{\frac{a}{2}}^{2a} \left( \frac{2}{a} - \frac{1}{x} \right) dx$$

$$S = \left[ \frac{2}{a}x - \log|x| \right]_{\frac{a}{2}}^{2a}$$

$$S = \left( 4 - \log(2a) \right) - \left( 1 - \log\frac{a}{2} \right)$$

$$S = 3 - \log(2a) + \log\frac{a}{2}$$

$$S = 3 - \log \left( 2a \cdot \frac{2}{a} \right)$$

$$S = 3 - \log 4$$

$$S = 3 - 2\log 2$$

(2)

対角線 $OC$ は原点 $O$ と $C\left(2a, \frac{2}{a}\right)$ を通る直線であるから、その方程式は

$$y = \frac{\frac{2}{a}}{2a} x = \frac{1}{a^2}x$$

である。 曲線 $y = \frac{1}{x}$ と直線 $OC$ の交点の $x$ 座標は

$$\frac{1}{x} = \frac{1}{a^2}x$$

$$x^2 = a^2$$

点 $P$ が $x>0$ の曲線上の点であることから $a>0$ であり、$x>0$ の範囲では $x = a$ となる。すなわち、交点は点 $P\left(a, \frac{1}{a}\right)$ である。

対角線 $OC$ によって (1) の領域は、$OC$ より上の部分(面積を $S_1$ とする)と、下の部分(面積を $S_2$ とする)に分けられる。 $S_2$ は、曲線 $y = \frac{1}{x}$ と 直線 $OC$ ($y = \frac{1}{a^2}x$) および 直線 $AC$ ($x = 2a$) で囲まれる部分であるから、その面積は

$$S_2 = \int_{a}^{2a} \left( \frac{1}{a^2}x - \frac{1}{x} \right) dx$$

$$S_2 = \left[ \frac{1}{2a^2}x^2 - \log|x| \right]_{a}^{2a}$$

$$S_2 = \left( 2 - \log(2a) \right) - \left( \frac{1}{2} - \log a \right)$$

$$S_2 = \frac{3}{2} - (\log 2 + \log a) + \log a$$

$$S_2 = \frac{3}{2} - \log 2$$

ここで、$S_1$ は

$$S_1 = S - S_2 = (3 - 2\log 2) - \left( \frac{3}{2} - \log 2 \right) = \frac{3}{2} - \log 2$$

となり、$S_1 = S_2$ が成り立つ。 したがって、曲線①と 2 直線 $AC, BC$ とで囲まれる部分は、対角線 $OC$ により面積の等しい 2 つの部分に分けられる。

解法2

(2) の別解(対称性の利用)

変数変換 $x = aX$, $y = \frac{Y}{a}$ を行う。 曲線① $y = \frac{1}{x}$ は $\frac{Y}{a} = \frac{1}{aX}$ より $Y = \frac{1}{X}$ となる。 接点 $P\left(a, \frac{1}{a}\right)$ は $P'(1, 1)$ に移る。 $P'(1, 1)$ における曲線 $Y = \frac{1}{X}$ の接線の方程式は、$Y' = -\frac{1}{X^2}$ より

$$Y - 1 = -1(X - 1)$$

$$Y = -X + 2$$

である。 この接線と座標軸との交点は $A'(2, 0)$, $B'(0, 2)$ となり、長方形の頂点 $C$ に対応する点は $C'(2, 2)$ となる。 この変換によって、$x$ 軸方向と $y$ 軸方向にそれぞれ定数倍の拡大・縮小が行われるため、図形の面積の等式関係(面積比)は保存される。 $XY$ 平面上の長方形 $OA'C'B'$、曲線 $Y = \frac{1}{X}$ は、ともに直線 $Y = X$ に関して対称である。 対角線 $OC$ は、この直線 $Y = X$ に対応する。 面積を考える領域(曲線 $Y = \frac{1}{X}$ と線分 $A'C', B'C'$ で囲まれた部分)も直線 $Y = X$ に関して対称であるため、対角線に対応する直線 $Y=X$ によって面積の等しい 2 つの部分に分けられる。 面積比が保存されることから、元の $xy$ 平面においても、対角線 $OC$ によって面積が等しい 2 つの部分に分けられることが示された。

解説

(1) は微積分の基本問題である。接線の方程式を求め、囲まれる領域を図示して定積分の式を立てるという、標準的な流れで解くことができる。領域の上下関係と、積分区間の端点となる交点の $x$ 座標を正しく求めることがポイントである。

(2) は直接面積を計算して示す方法と、関数と図形の対称性に着目する方法がある。直接計算する場合は、求める領域の一方の面積 $S_2$ を定積分で計算し、$S_1 = S - S_2$ を満たすことを利用すると計算の手間が省ける。 また、$y = \frac{1}{x}$ のグラフが本質的に持つ自己対称性に気づけば、解法2のように変数変換で $y=x$ について対称な形に帰着させることで、計算を必要とせず直感的に証明することも可能である。

答え

(1) $3 - 2\log 2$

(2) 証明略(解法に記載の通り)

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