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九州大学 1982年 理系 第4問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学B/確率分布・統計的推測テーマ/最大・最小
九州大学 1982年 理系 第4問 解説

方針・初手

確率分布の性質である「確率の総和が $1$ になる」ことを用いて (1) の定数 $a$ を求める。(2) は期待値の定義にしたがって計算を進める。(1) と (2) のいずれも、分母が因数分解できることを利用して部分分数分解を行うことで、和を計算可能にする。(3) は (2) で求めた期待値を用いて関数を立式し、自然数 $k$ に対する最大値を求めるため、連続変数とみなして微分法を用いて増減を調べる。

解法1

(1)

確率の総和は $1$ であるから、

$$\sum_{n=2}^{k+1} P(X=n) = 1$$

が成り立つ。与えられた確率分布の式より、

$$P(X=n) = \frac{a}{n^3-n} = \frac{a}{(n-1)n(n+1)}$$

これを部分分数に分解すると、

$$\frac{1}{(n-1)n(n+1)} = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{(n-1)n} - \frac{1}{n(n+1)} \right)$$

となるため、確率の総和は次のように計算できる。

$$\begin{aligned} \sum_{n=2}^{k+1} P(X=n) &= \sum_{n=2}^{k+1} \frac{a}{2} \left( \frac{1}{(n-1)n} - \frac{1}{n(n+1)} \right) \\ &= \frac{a}{2} \left\{ \left( \frac{1}{1 \cdot 2} - \frac{1}{2 \cdot 3} \right) + \left( \frac{1}{2 \cdot 3} - \frac{1}{3 \cdot 4} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{k(k+1)} - \frac{1}{(k+1)(k+2)} \right) \right\} \\ &= \frac{a}{2} \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{(k+1)(k+2)} \right) \\ &= \frac{a}{2} \cdot \frac{(k+1)(k+2)-2}{2(k+1)(k+2)} \\ &= \frac{a(k^2+3k)}{4(k+1)(k+2)} \\ &= \frac{ak(k+3)}{4(k+1)(k+2)} \end{aligned}$$

これが $1$ に等しいので、

$$\frac{ak(k+3)}{4(k+1)(k+2)} = 1$$

$$a = \frac{4(k+1)(k+2)}{k(k+3)}$$

(2)

期待値 $E(X)$ の定義に従って計算する。

$$\begin{aligned} E(X) &= \sum_{n=2}^{k+1} n P(X=n) \\ &= \sum_{n=2}^{k+1} n \frac{a}{(n-1)n(n+1)} \\ &= \sum_{n=2}^{k+1} \frac{a}{(n-1)(n+1)} \end{aligned}$$

ここで、部分分数分解により

$$\frac{1}{(n-1)(n+1)} = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{n-1} - \frac{1}{n+1} \right)$$

となるので、和を展開すると、

$$\begin{aligned} E(X) &= \frac{a}{2} \sum_{n=2}^{k+1} \left( \frac{1}{n-1} - \frac{1}{n+1} \right) \\ &= \frac{a}{2} \left\{ \left( \frac{1}{1} - \frac{1}{3} \right) + \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{4} \right) + \left( \frac{1}{3} - \frac{1}{5} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{k-1} - \frac{1}{k+1} \right) + \left( \frac{1}{k} - \frac{1}{k+2} \right) \right\} \end{aligned}$$

途中項が $1$ つ飛ばしで相殺されるため、最初と最後の $2$ 項ずつが残る。

$$\begin{aligned} E(X) &= \frac{a}{2} \left( 1 + \frac{1}{2} - \frac{1}{k+1} - \frac{1}{k+2} \right) \\ &= \frac{a}{2} \left( \frac{3}{2} - \frac{2k+3}{(k+1)(k+2)} \right) \\ &= \frac{a}{2} \cdot \frac{3(k+1)(k+2) - 2(2k+3)}{2(k+1)(k+2)} \\ &= \frac{a}{2} \cdot \frac{3k^2+9k+6-4k-6}{2(k+1)(k+2)} \\ &= \frac{a(3k^2+5k)}{4(k+1)(k+2)} \\ &= \frac{ak(3k+5)}{4(k+1)(k+2)} \end{aligned}$$

これに (1) で求めた $a$ を代入する。

$$E(X) = \frac{4(k+1)(k+2)}{k(k+3)} \cdot \frac{k(3k+5)}{4(k+1)(k+2)} = \frac{3k+5}{k+3}$$

(3)

期待値の線形性より、$E(Y) = 4E(X) - \log k$ である。ここに (2) の結果を代入する。

$$E(Y) = 4 \cdot \frac{3k+5}{k+3} - \log k = \frac{12k+20}{k+3} - \log k = 12 - \frac{16}{k+3} - \log k$$

この式の最大値を考えるため、$k$ を実数 $x \ (x \geqq 1)$ と拡張し、関数 $f(x)$ を次のように定義する(底が明記されていないため、微積分において標準的な自然対数とみなす)。

$$f(x) = 12 - \frac{16}{x+3} - \log x$$

$x$ について微分すると、

$$\begin{aligned} f'(x) &= \frac{16}{(x+3)^2} - \frac{1}{x} \\ &= \frac{16x - (x+3)^2}{x(x+3)^2} \\ &= \frac{16x - (x^2+6x+9)}{x(x+3)^2} \\ &= \frac{-x^2+10x-9}{x(x+3)^2} \\ &= \frac{-(x-1)(x-9)}{x(x+3)^2} \end{aligned}$$

$x \geqq 1$ における $f(x)$ の増減表は以下のようになる。

$x$ $1$ $\cdots$ $9$ $\cdots$
$f'(x)$ $0$ $+$ $0$ $-$
$f(x)$ $\nearrow$ 極大かつ最大 $\searrow$

増減表より、$x=9$ のとき $f(x)$ は最大となる。$k$ は自然数であり、$k=9$ は自然数であるから、確率変数 $Y$ の期待値を最大にする $k$ の値は $9$ である。

解説

数列の和の計算として頻出の部分分数分解と、確率分布・期待値の定義を組み合わせた総合問題である。(1) では、分母が $3$ つの連続する整数の積となっているため、両端の項を残すような部分分数分解の工夫が必要である。(2) では分母が $2$ つの整数の積になるため一般的な差の形に分解できるが、項の消え方が $1$ つ飛ばしになることに注意する。

(3) では離散変数 $k$ に対して期待値が関数として求まるが、最大値を求めるために実数変数関数へ拡張して微分法を用いる。微分の結果 $x=9$ という自然数解が得られるため、これがそのまま答えとなる。$\log$ の底が明記されていないが、微分して有理数の極値を持つ方程式が立つことから自然対数と判断するのが妥当である。

答え

(1)

$$a = \frac{4(k+1)(k+2)}{k(k+3)}$$

(2)

$$E(X) = \frac{3k+5}{k+3}$$

(3)

$$k = 9$$

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