九州大学 1982年 理系 第5問 解説

方針・初手
- (1) は、指定された領域を図示し、三角形や台形(曲線を上辺とする図形)の面積の足し引きとして捉えることで定積分を用いて表す。
- (2) は、(1) で得た $S(x)$ の式を直接積分するのではなく、両辺を $x$ で微分してから合成関数の微分法 $\frac{dS}{d\theta} = \frac{dS}{dx} \cdot \frac{dx}{d\theta}$ を用いて計算する。
- (3) は、(1) で得られた式に $\alpha=0$ と $S(x) = x^3\log(x+1)$ を代入し、両辺を $x$ で微分して $f(x)$ の微分方程式を導く。その後、誘導に従って $f(x) = xg(x)$ と置換し、$g(x)$ を求める。
解法1
(1)
点 $A(\alpha, f(\alpha))$ および点 $P(x, f(x))$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足をそれぞれ $A'(\alpha, 0), P'(x, 0)$ とする。
関数 $f(x)$ は上に凸であり、$f(0) \ge 0$ である。このとき、原点 $O$、点 $A$、点 $P$、およびグラフ $C$ で囲まれた領域の面積 $S(x)$ は、グラフ $C$ と $x$ 軸、$x=\alpha, x=x$ で囲まれた領域に $\triangle OAA'$ を加え、そこから $\triangle OPP'$ を取り除いたものに等しい。
したがって、求める面積 $S(x)$ は以下のように表せる。
$$S(x) = \triangle OAA' + \int_{\alpha}^{x} f(t) dt - \triangle OPP'$$
ここで、$\triangle OAA'$ の面積は $\frac{1}{2}\alpha f(\alpha)$ であり、$\triangle OPP'$ の面積は $\frac{1}{2}x f(x)$ であるから、
$$S(x) = \int_{\alpha}^{x} f(t) dt - \frac{1}{2}x f(x) + \frac{1}{2}\alpha f(\alpha)$$
(2)
(1) の結果において、両辺を $x$ で微分すると、
$$\frac{dS}{dx} = f(x) - \frac{1}{2} \left( f(x) + x f'(x) \right) = \frac{1}{2}f(x) - \frac{1}{2}x f'(x)$$
$f(x) = \frac{b}{a}\sqrt{a^2-x^2}$ であるから、その導関数は
$$f'(x) = \frac{b}{a} \cdot \frac{-x}{\sqrt{a^2-x^2}} = -\frac{bx}{a\sqrt{a^2-x^2}}$$
これらを $\frac{dS}{dx}$ の式に代入する。
$$\frac{dS}{dx} = \frac{b}{2a}\sqrt{a^2-x^2} - \frac{1}{2}x \left( -\frac{bx}{a\sqrt{a^2-x^2}} \right)$$
$$\frac{dS}{dx} = \frac{b(a^2-x^2) + bx^2}{2a\sqrt{a^2-x^2}} = \frac{ab}{2\sqrt{a^2-x^2}}$$
一方、$x = a\sin\theta$ とおくと、$\theta$ に関する微分は
$$\frac{dx}{d\theta} = a\cos\theta$$
$0 \le \theta \le \frac{1}{2}\pi$ において $\cos\theta \ge 0$ であるから、$\sqrt{a^2-x^2} = \sqrt{a^2 - a^2\sin^2\theta} = a\cos\theta$ となる。
面積 $S(x)$ の $\theta$ に関する変化率 $\frac{dS}{d\theta}$ は、合成関数の微分法により求められる。
$$\frac{dS}{d\theta} = \frac{dS}{dx} \cdot \frac{dx}{d\theta} = \frac{ab}{2a\cos\theta} \cdot a\cos\theta = \frac{1}{2}ab$$
(3)
$\alpha = 0$ のとき、(1) より $S(x) = \int_{0}^{x} f(t) dt - \frac{1}{2}x f(x)$ となる。これが $x^3 \log(x+1)$ に等しいので、
$$\int_{0}^{x} f(t) dt - \frac{1}{2}x f(x) = x^3 \log(x+1)$$
両辺を $x$ で微分する。
$$f(x) - \frac{1}{2}f(x) - \frac{1}{2}x f'(x) = 3x^2 \log(x+1) + \frac{x^3}{x+1}$$
$$\frac{1}{2}f(x) - \frac{1}{2}x f'(x) = 3x^2 \log(x+1) + \frac{x^3}{x+1}$$
両辺を2倍して整理する。
$$f(x) - x f'(x) = 6x^2 \log(x+1) + \frac{2x^3}{x+1}$$
ここで、$f(x) = xg(x)$ とおくと、$f'(x) = g(x) + xg'(x)$ である。これを左辺に代入すると、
$$xg(x) - x(g(x) + xg'(x)) = -x^2 g'(x)$$
となる。したがって、
$$-x^2 g'(x) = 6x^2 \log(x+1) + \frac{2x^3}{x+1}$$
$x > 0$ において両辺を $-x^2$ で割る。
$$g'(x) = -6\log(x+1) - \frac{2x}{x+1} = -6\log(x+1) - 2 + \frac{2}{x+1}$$
これを積分して $g(x)$ を求める。
$$\int \log(x+1) dx = (x+1)\log(x+1) - x$$
であるから、
$$g(x) = -6 \{ (x+1)\log(x+1) - x \} - 2x + 2\log(x+1) + C \quad (C \text{ は積分定数})$$
$$g(x) = (-6x-6+2)\log(x+1) + 6x - 2x + C$$
$$g(x) = (-6x-4)\log(x+1) + 4x + C$$
ゆえに、$f(x) = xg(x)$ より、
$$f(x) = (-6x^2-4x)\log(x+1) + 4x^2 + Cx \quad (C \text{ は積分定数})$$
(この $f(x)$ は、任意の定数 $C$ に対して $x \ge 0$ で $f''(x) \le 0$ すなわち上に凸となる条件を満たす。)
解説
- (1) では面積を幾何学的に正しく構成することがポイントである。与えられた領域は、極座標系における扇形の面積を一般の曲線に拡張したような意味合いを持つ。
- (2) では、(1) で立てた関係式を利用して直接 $\frac{dS}{d\theta}$ を求める。愚直に積分を実行しようとすると計算が煩雑になるため、「変化率を求める=微分する」という基本に立ち返ることが重要である。
- (3) は積分方程式を微分方程式に帰着させる典型的な処理である。微分して得られた $f(x) - xf'(x)$ という形から、商の微分法 $\left( \frac{f(x)}{x} \right)'$ が背後にあることを見抜ければ、$f(x) = xg(x)$ という置換の意図が自然に理解できる。題意の条件からは積分定数 $C$ を一つに確定できないため、任意定数を含んだまま解答とする。
答え
(1) $S(x) = \int_{\alpha}^{x} f(t) dt - \frac{1}{2}x f(x) + \frac{1}{2}\alpha f(\alpha)$
(2) $\frac{1}{2}ab$
(3) $f(x) = (-6x^2-4x)\log(x+1) + 4x^2 + Cx \quad (C \text{ は積分定数})$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











