九州大学 1992年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) 与えられた法線の条件を数式に翻訳する。点 $(a, f(a))$ における接線の傾き $f'(a)$ を用い、法線の方程式を立てる。法線が点 $(0, cf(a))$ を通るという条件から微分方程式を導出する。$f'(a)=0$ となる場合にも注意を払う。
(2) (1) で得られた微分方程式を変数分離法で解く。初期条件として点 $(0, 1)$ を通ることを用いて積分定数を決定する。得られた曲線の方程式について、定数 $c$ の値によって曲線が双曲線になるか楕円になるかが変わるため、$c > 1$ と $c < 1$ の場合分けを行って図形の特徴を記述する。
(3) $c < 1$ の場合、(2) で求めた曲線は楕円となる。この楕円が囲む領域を $x$ 軸のまわりに回転させた立体の体積を定積分によって求め、それが $\pi$ となるような $c$ の値を逆算する。
解法1
(1)
曲線 $y=f(x)$ 上の点 $(a, f(a))$ における接線の傾きは $f'(a)$ である。
[1] $f'(a) \neq 0$ のとき
点 $(a, f(a))$ における法線の傾きは $-\frac{1}{f'(a)}$ となるため、法線の方程式は次のように表される。
$$ y - f(a) = -\frac{1}{f'(a)} (x - a) $$
この法線が点 $(0, cf(a))$ を通るので、$x=0, y=cf(a)$ を代入して整理する。
$$ cf(a) - f(a) = -\frac{1}{f'(a)} (0 - a) $$
$$ (c-1)f(a) = \frac{a}{f'(a)} $$
両辺に $f'(a)$ を掛けると、次の関係式が得られる。
$$ (c-1)f(a)f'(a) = a $$
[2] $f'(a) = 0$ のとき
点 $(a, f(a))$ における接線は $x$ 軸に平行($y=f(a)$)となるため、法線は $y$ 軸に平行な直線 $x=a$ となる。この法線が点 $(0, cf(a))$ を通るための条件は $a=0$ である。このとき、関係式 $(c-1)f(a)f'(a) = a$ の左辺は $(c-1)f(0) \cdot 0 = 0$ となり、右辺の $a$ も $0$ であるため、この等式は成立する。
以上より、任意の点 $x$ において $(c-1)f(x)f'(x) = x$ が成り立つ。$y=f(x), \frac{dy}{dx}=f'(x)$ であるから、次が示された。
$$ (c-1)y \frac{dy}{dx} = x $$
(2)
(1) の微分方程式を変数分離形で解く。
$$ (c-1)y \, dy = x \, dx $$
両辺を積分する。
$$ \int (c-1)y \, dy = \int x \, dx $$
$$ \frac{c-1}{2}y^2 = \frac{1}{2}x^2 + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$
整理して次の一般解を得る。
$$ (c-1)y^2 - x^2 = 2C $$
この曲線が点 $(0, 1)$ を通るので、$x=0, y=1$ を代入して積分定数を決定する。
$$ (c-1) \cdot 1^2 - 0^2 = 2C $$
$$ 2C = c-1 $$
したがって、求める曲線の方程式は次のようになる。
$$ (c-1)y^2 - x^2 = c-1 $$
この曲線の図形としての特徴は、$c \neq 1$ の条件のもと、次のように場合分けされる。
(i) $c > 1$ のとき
方程式の両辺を $c-1 \ (> 0)$ で割ると、次のように変形できる。
$$ y^2 - \frac{x^2}{c-1} = 1 $$
これは、$y$ 軸上に頂点を持つ双曲線である。頂点の座標は $(0, 1)$ および $(0, -1)$ であり、漸近線は $y = \frac{1}{\sqrt{c-1}}x$ と $y = -\frac{1}{\sqrt{c-1}}x$ となる。
(ii) $c < 1$ のとき
$1-c > 0$ であることに着目し、方程式を次のように変形する。
$$ -(1-c)y^2 - x^2 = -(1-c) $$
$$ \frac{x^2}{1-c} + y^2 = 1 $$
これは、原点を中心とする楕円である。$x$ 軸との交点は $(\sqrt{1-c}, 0), (-\sqrt{1-c}, 0)$ であり、$y$ 軸との交点は $(0, 1), (0, -1)$ となる。
(3)
$c < 1$ のとき、曲線の方程式は (2) より $\frac{x^2}{1-c} + y^2 = 1$ である。これを $x$ 軸のまわりに回転させる。
回転体の体積 $V$ は、定積分を用いて次のように表される。積分の区間は、楕円が $x$ 軸と交わる $-\sqrt{1-c} \le x \le \sqrt{1-c}$ である。
$$ V = \pi \int_{-\sqrt{1-c}}^{\sqrt{1-c}} y^2 \, dx $$
$y^2 = 1 - \frac{x^2}{1-c}$ であり、被積分関数は偶関数であるから、次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} V &= 2\pi \int_{0}^{\sqrt{1-c}} \left( 1 - \frac{x^2}{1-c} \right) dx \\ &= 2\pi \left[ x - \frac{x^3}{3(1-c)} \right]_{0}^{\sqrt{1-c}} \\ &= 2\pi \left( \sqrt{1-c} - \frac{(1-c)\sqrt{1-c}}{3(1-c)} \right) \\ &= 2\pi \left( \sqrt{1-c} - \frac{1}{3}\sqrt{1-c} \right) \\ &= \frac{4}{3}\pi \sqrt{1-c} \end{aligned} $$
この体積 $V$ が $\pi$ と等しくなるように $c$ を定める。
$$ \frac{4}{3}\pi \sqrt{1-c} = \pi $$
$$ \sqrt{1-c} = \frac{3}{4} $$
両辺を2乗して解く。
$$ 1-c = \frac{9}{16} $$
$$ c = \frac{7}{16} $$
これは $c < 1$ を満たす。
解説
法線の条件から微分方程式を導き、それを解いて曲線群を特定する典型的な問題である。
(1)では、接線の傾き $f'(a)$ が $0$ になる場合とならない場合を分けて論証することで、数学的な厳密性を担保できる。
(2)の図示に関しては、与えられた方程式の係数の符号によって図形の種類が変化することに気づけるかが鍵となる。二次曲線において、符号の違いが双曲線と楕円という異なる図形を生み出す点は頻出のテーマである。
(3)は、標準的な回転体の体積の計算である。楕円の方程式から $y^2$ を $x$ で表し、偶関数の性質を利用して積分計算を簡略化するとよい。
答え
(1) 略(証明は解法1を参照)
(2) 曲線の方程式:$(c-1)y^2 - x^2 = c-1$ 図の特徴: $c > 1$ のとき、頂点が $(0, \pm 1)$、漸近線が $y = \pm \frac{1}{\sqrt{c-1}}x$ の双曲線。 $c < 1$ のとき、$x$ 軸との交点が $(\pm \sqrt{1-c}, 0)$、$y$ 軸との交点が $(0, \pm 1)$ の楕円。
(3) $c = \frac{7}{16}$
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