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九州大学 2005年 理系 第3問 解説

数学C/複素数平面数学2/複素数と方程式数学C/式と曲線テーマ/軌跡・領域
九州大学 2005年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は実数係数2次方程式が異なる2つの虚数解をもつ条件なので、判別式 $D < 0$ を用いる。解は解の公式を用いて $t$ で表す。

(2) は (1) で求めた解のうち虚部が正であるものを $z(t)$ とし、これを $z = x + yi$ ($x, y$ は実数)とおいて $x, y$ を $t$ で表す。媒介変数 $t$ を消去して $x, y$ の関係式を導く方針が基本となる。あるいは、解と係数の関係を利用して複素数の絶対値の式に持ち込む方法も有効である。

(3) は複素数平面における一次分数変換である。$w = f(z)$ を $z$ について解き、$z = g(w)$ の形にしてから (2) で求めた $z$ の満たす条件式に代入し、$w$ の軌跡を求める。

解法1

(1)

与えられた2次方程式 $z^2 + tz + t = 0$ の判別式を $D$ とすると、異なる2つの虚数解をもつための条件は $D < 0$ である。

$$ D = t^2 - 4t < 0 $$

これを解いて、

$$ 0 < t < 4 $$

このとき、2次方程式の解は解の公式より、

$$ z = \frac{-t \pm \sqrt{t^2 - 4t}}{2} = \frac{-t \pm \sqrt{-(4t - t^2)}}{2} = \frac{-t \pm i\sqrt{4t - t^2}}{2} $$

(2)

(1) の虚数解のうち、虚部が正のものを $z(t)$ とするので、

$$ z(t) = -\frac{t}{2} + \frac{\sqrt{4t - t^2}}{2} i $$

複素数平面上で点 $z(t)$ の座標を $(x, y)$ とおくと、$x, y$ は実数であり、

$$ x = -\frac{t}{2}, \quad y = \frac{\sqrt{4t - t^2}}{2} $$

(1) より $0 < t < 4$ であるから、$x$ の取り得る値の範囲は、

$$ -2 < x < 0 $$

また、$y$ の式において $t = -2x$ を代入すると、

$$ y = \frac{\sqrt{4(-2x) - (-2x)^2}}{2} = \frac{\sqrt{-8x - 4x^2}}{2} = \sqrt{-2x - x^2} $$

両辺を2乗して整理する。$y > 0$ に注意する。

$$ y^2 = -2x - x^2 $$

$$ x^2 + 2x + y^2 = 0 $$

$$ (x + 1)^2 + y^2 = 1 $$

したがって、点 $z(t)$ が描く図形 $C$ は、円 $(x + 1)^2 + y^2 = 1$ の $y > 0$ かつ $-2 < x < 0$ の部分である。(図形 $C$ は中心 $(-1, 0)$、半径 $1$ の円のうち、実軸の上側にある半円。両端の点は含まない。)

(3)

与えられた変換の式を $z$ について解く。

$$ w = \frac{iz}{z + 1} $$

$$ w(z + 1) = iz $$

$$ (w - i)z = -w $$

ここで $w = i$ とすると $0 = -i$ となり矛盾するため、$w \neq i$ である。よって両辺を $w - i$ で割ることができる。

$$ z = \frac{-w}{w - i} $$

これを (2) で求めた $z$ の軌跡の条件に代入する。(2) より点 $z$ は $|z + 1| = 1$ かつ $\operatorname{Im}(z) > 0$ を満たす。

まず $|z + 1| = 1$ に代入する。

$$ \left| \frac{-w}{w - i} + 1 \right| = 1 $$

$$ \left| \frac{-w + (w - i)}{w - i} \right| = 1 $$

$$ \left| \frac{-i}{w - i} \right| = 1 $$

$$ \frac{|-i|}{|w - i|} = 1 $$

$$ |w - i| = 1 $$

したがって、点 $w$ は点 $i$ を中心とする半径 $1$ の円周上にある。

次に $\operatorname{Im}(z) > 0$ について調べる。

$$ z = \frac{-w}{w - i} = \frac{-w(\bar{w} + i)}{(w - i)(\bar{w} + i)} = \frac{-|w|^2 - iw}{|w - i|^2} $$

$w = u + vi$ ($u, v$ は実数)とおくと、

$$ z = \frac{-(u^2 + v^2) - i(u + vi)}{|w - i|^2} = \frac{-u^2 - v^2 + v - ui}{|w - i|^2} $$

この虚部が正であるから、

$$ \frac{-u}{|w - i|^2} > 0 $$

$|w - i|^2 > 0$ より、

$$ -u > 0 \iff u < 0 $$

すなわち $\operatorname{Re}(w) < 0$ である。

したがって、点 $w$ が描く図形は、円 $|w - i| = 1$ の実部が負の部分である。(中心 $i$、半径 $1$ の円のうち、虚軸の左側にある半円。両端の点は含まない。)

解法2

(2) の別解

方程式 $z^2 + tz + t = 0$ は実数係数であり、虚数解 $z$ をもつため、共役複素数 $\bar{z}$ も解となる。解と係数の関係より、

$$ z + \bar{z} = -t $$

$$ z\bar{z} = t $$

これらから $t$ を消去すると、

$$ z + \bar{z} + z\bar{z} = 0 $$

両辺に $1$ を加えて因数分解する。

$$ z\bar{z} + z + \bar{z} + 1 = 1 $$

$$ (z + 1)(\bar{z} + 1) = 1 $$

$$ |z + 1|^2 = 1 \iff |z + 1| = 1 $$

これは、点 $z(t)$ が点 $-1$ を中心とする半径 $1$ の円周上にあることを示す。

また、(1) より $0 < t < 4$ であり、$t = |z|^2$ であるから、

$$ 0 < |z|^2 < 4 \iff 0 < |z| < 2 $$

さらに、条件より $z(t)$ の虚部は正であるから、$\operatorname{Im}(z) > 0$。

円 $|z + 1| = 1$ と、円の内部 $0 < |z| < 2$、および上半平面 $\operatorname{Im}(z) > 0$ の共通部分をとると、点 $z(t)$ が描く図形 $C$ は、点 $-1$ を中心とする半径 $1$ の円の上半分の弧(両端を除く)となる。

解説

2次方程式の虚数解を複素数平面上に図示し、さらに一次分数変換によってその軌跡を追う、複素数平面における非常に標準的かつ重要なテーマの問題である。

(2) では $z = x + yi$ とおいて実部・虚部を媒介変数 $t$ で表すアプローチ(解法1)が最も素直であるが、解と係数の関係を用いて $z$ と $\bar{z}$ の関係式を導くアプローチ(解法2)を習得しておくと、計算量を大幅に減らすことができる。

(3) では、一次分数変換 $w = f(z)$ による軌跡を求める。基本方針通り $z = g(w)$ と逆変換の形にして、(2) で求めた $z$ の満たす条件式($|z + 1| = 1$ および $\operatorname{Im}(z) > 0$)に代入すればよい。虚部が正という条件の処理において、$w = u + vi$ とおいて虚部を取り出す計算が正確にできるかが鍵となる。図示する際には、端点が含まれないこと(白丸になること)を明確にする必要がある。

答え

(1) $t$ の範囲: $0 < t < 4$ 虚数解: $z = \frac{-t \pm i\sqrt{4t - t^2}}{2}$

(2) 図形 $C$ は、中心 $-1$、半径 $1$ の円のうち、実軸より上側の部分。 (境界の点 $0$ と $-2$ は含まない) ※図示は省略するが、複素数平面上の点 $-1$ を中心とする半径 $1$ の円を描き、実軸より上側($y > 0$)の部分のみを実線で描き、両端の点 $(-2, 0)$ と $(0, 0)$ を白丸にした図となる。

(3) 図形は、中心 $i$、半径 $1$ の円のうち、虚軸より左側の部分。 (境界の点 $0$ と $2i$ は含まない) ※図示は省略するが、複素数平面上の点 $i$ を中心とする半径 $1$ の円を描き、虚軸より左側(実部が負)の部分のみを実線で描き、両端の点 $(0, 0)$ と $(0, 2)$ を白丸にした図となる。

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