九州大学 2007年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) は、2次方程式が異なる二つの実数解をもつ条件、すなわち判別式 $D > 0$ を立式し、さいころの目という制限から $ac$ のとりうる値を絞り込む。 (2) は、2次方程式の解が有理数となる条件を考える。解の公式から、根号の中身である判別式 $D$ が $0$ 以上の平方数になればよい。本問では「異なる二つの」とあるので $D > 0$ であり、$D$ が自然数の平方数になる場合を (1) の結果を利用して探す。
解法1
(1) 2次方程式 $ax^2 + bx + c = 0$ の判別式を $D$ とすると、異なる二つの実数解をもつ条件は $D > 0$ である。
$$ D = b^2 - 4ac > 0 $$
よって、
$$ b^2 > 4ac $$
さいころの目であるから $1 \leqq b \leqq 6$ であり、$b^2 \leqq 36$ である。したがって、
$$ 4ac < 36 $$
$$ ac < 9 $$
$a, c$ もさいころの目であるから、$ac$ がとりうる値は $1, 2, 3, 4, 5, 6, 8$ のいずれかである。 ($ac=7$ は $1 \leqq a, c \leqq 6$ の範囲では作れない)
各 $ac$ の値ごとに、可能な $(a, c)$ の組とその通り数を求める。
($ac=1$ のとき) $(a, c) = (1, 1)$ の $1$ 通り
($ac=2$ のとき) $(a, c) = (1, 2), (2, 1)$ の $2$ 通り
($ac=3$ のとき) $(a, c) = (1, 3), (3, 1)$ の $2$ 通り
($ac=4$ のとき) $(a, c) = (1, 4), (2, 2), (4, 1)$ の $3$ 通り
($ac=5$ のとき) $(a, c) = (1, 5), (5, 1)$ の $2$ 通り
($ac=6$ のとき) $(a, c) = (1, 6), (2, 3), (3, 2), (6, 1)$ の $4$ 通り
($ac=8$ のとき) $(a, c) = (2, 4), (4, 2)$ の $2$ 通り
(2) 2次方程式 $ax^2 + bx + c = 0$ の解は、解の公式より
$$ x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a} $$
である。$a, b, c$ は自然数であるから、この解が有理数となるのは、根号の中身 $b^2 - 4ac$ が $0$ または自然数の平方数となるときである。 さらに、「異なる二つの」有理数の解をもつ条件であるから、$b^2 - 4ac > 0$ でなければならない。 よって、ある自然数 $k$ を用いて
$$ b^2 - 4ac = k^2 $$
と表せるときを考えればよい。このとき $b^2 > 4ac$ を満たすので、(1) で求めた $ac$ の値および $(a, c)$ の組の数を元に、$b \in \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}$ の中で条件を満たすものを探す。
($ac=1$ のとき) $4ac = 4$ であり、$(a, c)$ は $1$ 通り。 $b^2 > 4$ となる $b$ について調べる。 $b=3$ のとき、$b^2 - 4ac = 9 - 4 = 5$(平方数でない) $b=4$ のとき、$b^2 - 4ac = 16 - 4 = 12$(平方数でない) $b=5$ のとき、$b^2 - 4ac = 25 - 4 = 21$(平方数でない) $b=6$ のとき、$b^2 - 4ac = 36 - 4 = 32$(平方数でない) よって条件を満たす $b$ は存在しない。
($ac=2$ のとき) $4ac = 8$ であり、$(a, c)$ は $2$ 通り。 $b^2 > 8$ となる $b$ について調べる。 $b=3$ のとき、$b^2 - 4ac = 9 - 8 = 1 = 1^2$(適する) $b=4, 5, 6$ のときはそれぞれ平方数にならない。 よって $b=3$ のみ適し、$(a, b, c)$ の組は $2 \times 1 = 2$ 通り。
($ac=3$ のとき) $4ac = 12$ であり、$(a, c)$ は $2$ 通り。 $b^2 > 12$ となる $b$ について調べる。 $b=4$ のとき、$b^2 - 4ac = 16 - 12 = 4 = 2^2$(適する) $b=5, 6$ のときはそれぞれ平方数にならない。 よって $b=4$ のみ適し、$(a, b, c)$ の組は $2 \times 1 = 2$ 通り。
($ac=4$ のとき) $4ac = 16$ であり、$(a, c)$ は $3$ 通り。 $b^2 > 16$ となる $b$ について調べる。 $b=5$ のとき、$b^2 - 4ac = 25 - 16 = 9 = 3^2$(適する) $b=6$ のときは平方数にならない。 よって $b=5$ のみ適し、$(a, b, c)$ の組は $3 \times 1 = 3$ 通り。
($ac=5$ のとき) $4ac = 20$ であり、$(a, c)$ は $2$ 通り。 $b^2 > 20$ となる $b$ について調べる。 $b=5$ のとき、$b^2 - 4ac = 25 - 20 = 5$(平方数でない) $b=6$ のとき、$b^2 - 4ac = 36 - 20 = 16 = 4^2$(適する) よって $b=6$ のみ適し、$(a, b, c)$ の組は $2 \times 1 = 2$ 通り。
($ac=6$ のとき) $4ac = 24$ であり、$(a, c)$ は $4$ 通り。 $b^2 > 24$ となる $b$ について調べる。 $b=5$ のとき、$b^2 - 4ac = 25 - 24 = 1 = 1^2$(適する) $b=6$ のときは平方数にならない。 よって $b=5$ のみ適し、$(a, b, c)$ の組は $4 \times 1 = 4$ 通り。
($ac=8$ のとき) $4ac = 32$ であり、$(a, c)$ は $2$ 通り。 $b^2 > 32$ となる $b$ について調べる。 $b=6$ のとき、$b^2 - 4ac = 36 - 32 = 4 = 2^2$(適する) よって $b=6$ のみ適し、$(a, b, c)$ の組は $2 \times 1 = 2$ 通り。
以上より、条件を満たす $(a, b, c)$ の組の総数は
$$ 2 + 2 + 3 + 2 + 4 + 2 = 15 $$
ゆえに、求める確率は
$$ \frac{15}{6^3} = \frac{15}{216} = \frac{5}{72} $$
解説
「2次方程式の解が有理数になる条件」は頻出テーマである。係数がすべて整数である場合、判別式 $D = b^2 - 4ac$ が平方数($0^2$ を含む)となることが必要十分条件となる。 本問では(1)が(2)の丁寧な誘導になっており、(1)で $ac$ の値を絞り込めているため、(2)では「どの $b$ ならば $b^2 - 4ac$ が平方数になるか」を順番に探すだけで見通しよく解くことができる。
答え
(1) 積 $ac$ のとりうる値は $1, 2, 3, 4, 5, 6, 8$ $ac=1$ のとき $1$ 通り $ac=2$ のとき $2$ 通り $ac=3$ のとき $2$ 通り $ac=4$ のとき $3$ 通り $ac=5$ のとき $2$ 通り $ac=6$ のとき $4$ 通り $ac=8$ のとき $2$ 通り
(2) $\frac{5}{72}$
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