トップ 京都大学 1987年 理系 第3問

京都大学 1987年 理系 第3問 解説

数学C/式と曲線数学2/三角関数数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
京都大学 1987年 理系 第3問 解説

方針・初手

$\cos \theta = x$ とおき、すべての実数 $\theta$ についての不等式を、$-1 \leqq x \leqq 1$ における $x$ の2次不等式に帰着させる。 $\cos 2\theta = 2\cos^2 \theta - 1$ を用いて式を整理し、$f(x) = 2ax^2 + bx - a - 1$ とおいたとき、区間 $-1 \leqq x \leqq 1$ における $f(x)$ の最大値が $0$ 未満になるような条件を、$a$ の符号と軸の位置によって場合分けして求める。

解法1

$\cos \theta = x$ とおく。$\theta$ がすべての実数値をとるとき、$x$ のとりうる値の範囲は $-1 \leqq x \leqq 1$ である。 $\cos 2\theta = 2x^2 - 1$ であるから、与えられた不等式は

$$ a(2x^2 - 1) + bx < 1 $$

$$ 2ax^2 + bx - a - 1 < 0 $$

となる。$f(x) = 2ax^2 + bx - a - 1$ とおき、$-1 \leqq x \leqq 1$ をみたす全ての $x$ について $f(x) < 0$ となる点 $(a, b)$ の範囲を求める。 これは、区間 $[-1, 1]$ における $f(x)$ の最大値が $0$ 未満であることと同値である。$a$ の値で場合分けをする。

(i) $a = 0$ のとき

$f(x) = bx - 1$ であり、直線となるため、区間の両端で負であればよい。 $f(-1) = -b - 1 < 0$ より $b > -1$ $f(1) = b - 1 < 0$ より $b < 1$ よって、$-1 < b < 1$ である。

(ii) $a > 0$ のとき

$f(x)$ は下に凸の放物線であり、最大値は区間の端点 $x = -1, 1$ のいずれかでとる。したがって、$f(-1) < 0$ かつ $f(1) < 0$ であればよい。 $f(-1) = a - b - 1 < 0$ より $b > a - 1$ $f(1) = a + b - 1 < 0$ より $b < -a + 1$ まとめると、$a - 1 < b < -a + 1$ である。

(iii) $a < 0$ のとき

$f(x)$ は上に凸の放物線であり、平方完成すると

$$ f(x) = 2a \left( x + \frac{b}{4a} \right)^2 - \frac{b^2}{8a} - a - 1 $$

となる。軸は直線 $x = -\frac{b}{4a}$ である。軸の位置によってさらに場合分けをする。

(ア) 軸が $x < -1$ のとき($-\frac{b}{4a} < -1$ すなわち $b < 4a$ のとき)

最大値は $f(-1)$ であるから、$f(-1) = a - b - 1 < 0$ より $b > a - 1$。 よって、$a - 1 < b < 4a$。

(イ) 軸が $x > 1$ のとき($-\frac{b}{4a} > 1$ すなわち $b > -4a$ のとき)

最大値は $f(1)$ であるから、$f(1) = a + b - 1 < 0$ より $b < -a + 1$。 よって、$-4a < b < -a + 1$。

(ウ) 軸が $-1 \leqq x \leqq 1$ のとき($4a \leqq b \leqq -4a$ のとき)

最大値は頂点の $y$ 座標であるから、

$$ -\frac{b^2}{8a} - a - 1 < 0 $$

$a < 0$ より両辺に $-8a (>0)$ を掛けると、

$$ b^2 + 8a^2 + 8a < 0 \quad \cdots (*) $$

これは $8\left(a + \frac{1}{2}\right)^2 + b^2 < 2$ と変形でき、楕円の内部を表す。

境界線の接続について

不等式 $(*)$ の境界となる楕円 $E: b^2 + 8a^2 + 8a = 0$ と、直線 $b = 4a$ の交点を求める。 $(4a)^2 + 8a^2 + 8a = 0 \iff 24a^2 + 8a = 0 \iff 8a(3a + 1) = 0$ $a < 0$ より $a = -\frac{1}{3}$ であり、交点は $\left(-\frac{1}{3}, -\frac{4}{3}\right)$ となる。 同様に、楕円 $E$ と直線 $b = -4a$ の交点は $\left(-\frac{1}{3}, \frac{4}{3}\right)$ である。 さらに、楕円 $E$ と直線 $b = a - 1$ の位置関係を調べると、 $(a - 1)^2 + 8a^2 + 8a = 9a^2 + 6a + 1 = (3a + 1)^2 \geqq 0$ となるため、これらは点 $\left(-\frac{1}{3}, -\frac{4}{3}\right)$ で接する。 同様に、楕円 $E$ と直線 $b = -a + 1$ は点 $\left(-\frac{1}{3}, \frac{4}{3}\right)$ で接する。

以上の結果を総合すると、求める領域の境界線は $a = -\frac{1}{3}$ を境に直線から楕円へと滑らかに切り替わる。 $a \geqq -\frac{1}{3}$ の範囲では、直線 $b = a - 1$ と $b = -a + 1$ に挟まれた領域となり、 $a < -\frac{1}{3}$ の範囲では、楕円 $8\left(a + \frac{1}{2}\right)^2 + b^2 = 2$ の内部となる。

解説

三角関数の不等式を、変数変換によって2次関数の解の配置(最大・最小)問題に帰着させる標準的かつ重要な問題である。 $a$ の符号によってグラフの凸の向きが変わるため、丁寧な場合分けが要求される。特に $a < 0$ (上に凸)の場合、頂点が区間内に含まれるかどうかで境界線が直線から楕円へと変化する。 領域を図示する際は、直線と楕円が単に交わるだけでなく、「接する(滑らかに繋がる)」という事実まで確認して図に反映できると、答案としての完成度が大きく高まる。

答え

求める点 $(a, b)$ の範囲は、以下の連立不等式が表す領域である。(境界線はいずれも含まない)

$$ \begin{cases} b > a - 1 \\ b < -a + 1 \\ 8a^2 + b^2 + 8a < 0 \end{cases} $$

図示すると、 点 $(1, 0), (0, 1), (-1/3, 4/3), (-1, 0), (-1/3, -4/3), (0, -1)$ を結ぶような弾丸型の領域となる。 ただし、 ・$a \geqq -1/3$ の境界は、2直線 $b = -a + 1$ と $b = a - 1$ ・$a \leqq -1/3$ の境界は、楕円 $\frac{(a + 1/2)^2}{(1/2)^2} + \frac{b^2}{2} = 1$ であり、点 $(-1/3, \pm 4/3)$ で直線と楕円は滑らかに接続する。境界上の点はすべて領域に含まない。

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。