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名古屋大学 1984年 文系 第4問 解説

数学A/確率数学A/場合の数テーマ/場合分け
名古屋大学 1984年 文系 第4問 解説

方針・初手

試行回数が3回であるため、すべての事象の推移を樹形図のように書き出し、条件を満たすルートを拾い上げるのが確実です。 3回の試行で「白石を取り出した回数が黒石を取り出した回数より大きい」のは、白石が2回または3回出るときです。 各回において「どちらの箱から」「どちらの色の石を取り出すか」を問題文のルールに沿って正確に追跡し、該当する事象の確率を足し合わせます。(2) は (1) の結果を利用し、確率 $\beta$ のとりうる値の範囲 ($0 \leqq \beta \leqq 1$) から $p$ の値域を評価します。

解法1

(1)

各試行において、箱 $A, B$ から白石を取り出す事象をそれぞれ $W_A, W_B$、黒石を取り出す事象をそれぞれ $K_A, K_B$ と表す。 各事象が起こる確率は以下の通りである。

試行は3回行われるため、「白石を取り出した回数が黒石を取り出した回数より大きい」という条件を満たすのは、白石を2回または3回取り出した場合である。 問題文のルールに従って各回の箱と取り出す石を追跡すると、条件を満たすのは以下の4つの排反な事象のいずれかが起こる場合である。

(i) 1回目 $W_A$ $\to$ 2回目 $W_B$ $\to$ 3回目 $W_A$ (白3回) 1回目に白石が出たので2回目の箱は $B$。2回目は箱 $B$ から白石が出たため「2回目に箱 $A$ から白石を取った場合」に該当せず、3回目の箱は $A$ となる。 この事象の確率は $$ \alpha \times \beta \times \alpha = \alpha^2 \beta $$

(ii) 1回目 $W_A$ $\to$ 2回目 $W_B$ $\to$ 3回目 $K_A$ (白2回、黒1回) 箱の推移は (i) と同様である。 この事象の確率は $$ \alpha \times \beta \times (1 - \alpha) = \alpha \beta (1 - \alpha) $$

(iii) 1回目 $W_A$ $\to$ 2回目 $K_B$ $\to$ 3回目 $W_A$ (白2回、黒1回) 1回目に白石が出たので2回目の箱は $B$。2回目は箱 $B$ から黒石が出たため、3回目の箱は $A$ となる。 この事象の確率は $$ \alpha \times (1 - \beta) \times \alpha = \alpha^2 (1 - \beta) $$

(iv) 1回目 $K_A$ $\to$ 2回目 $W_A$ $\to$ 3回目 $W_B$ (白2回、黒1回) 1回目に黒石が出たので2回目の箱は $A$。2回目に箱 $A$ から白石が出たため、3回目の箱は $B$ となる。 この事象の確率は $$ (1 - \alpha) \times \alpha \times \beta = \alpha \beta (1 - \alpha) $$

求める確率 $p$ は、これら4つの事象の確率の和であるから、 $$ \begin{aligned} p &= \alpha^2 \beta + \alpha \beta (1 - \alpha) + \alpha^2 (1 - \beta) + \alpha \beta (1 - \alpha) \\ &= \alpha^2 ( \beta + 1 - \beta ) + 2\alpha \beta (1 - \alpha) \\ &= \alpha^2 + 2\alpha \beta (1 - \alpha) \end{aligned} $$

(2)

(1) で求めた $p$ の式に $\alpha = \frac{1}{4}$ を代入すると、 $$ \begin{aligned} p &= \left(\frac{1}{4}\right)^2 + 2 \cdot \frac{1}{4} \cdot \beta \cdot \left(1 - \frac{1}{4}\right) \\ &= \frac{1}{16} + \frac{1}{2} \cdot \beta \cdot \frac{3}{4} \\ &= \frac{3}{8}\beta + \frac{1}{16} \end{aligned} $$ となる。

ここで、$\beta$ は箱 $B$ から白石が出る確率であるため、$0 \leqq \beta \leqq 1$ を満たす。 このとき、$p$ は $\beta$ に関する単調増加関数であり、そのとりうる値の範囲は $\beta = 0$ のとき最小、$\beta = 1$ のとき最大となる。 $$ \frac{1}{16} \leqq p \leqq \frac{3}{8} \cdot 1 + \frac{1}{16} $$ すなわち $$ \frac{1}{16} \leqq p \leqq \frac{7}{16} $$ である。

したがって、任意の確率 $\beta$ ($0 \leqq \beta \leqq 1$) に対して $p \leqq \frac{7}{16} < \frac{1}{2}$ が成り立つため、どんな確率 $\beta$ に対しても $p \neq \frac{1}{2}$ であることが示された。

解説

箱の選び方が直前の試行結果によって変化する、マルコフ連鎖の基礎となるような確率の問題です。 3回目の箱を選ぶ条件が「2回目の結果」のみではなく、「2回目の箱と取り出した石の色」の両方に依存する点に注意が必要です。問題文の「2回目に箱 $A$ から白石を取った場合のみ」という条件を正確に読み取れれば、あとは事象を列挙するだけで完答できます。 (2) は、確率が $0$ 以上 $1$ 以下の値をとるという大前提を利用して、関数としての値域を評価する典型的な手法です。

答え

(1) $$ p = \alpha^2 + 2\alpha \beta (1 - \alpha) $$

(2) 証明は解法1を参照。

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