名古屋大学 1984年 文系 第3問 解説

方針・初手
条件から3次式を設定し、未知の係数を決定していくという定石通りのアプローチをとる。
与えられた条件のうち、どちらを先に数式に翻訳するかで主に2つの解法が考えられる。条件 (i) の「$(x-2)^2$ で割った余り」を基本形として3次式を置くか、条件 (ii) の「$x=1$ で極値 $2$ をとる」ことから $P(x) - 2$ が $(x-1)^2$ を因数にもつ性質を利用して3次式を置くかである。
いずれの方針でも、極値をとるための条件 $f'(a)=0$ を用いて係数を決定した後、その点で本当に極値をとるか(微分係数の符号変化があるか)の十分性の確認を忘れないようにする。
解法1
求める3次式を $P(x)$ とする。
条件 (i) より、$P(x)$ を2次式 $(x-2)^2$ で割ったときの商は1次式である。したがって、$a, b$ を実数($a \neq 0$)として、
$$ P(x) = (x-2)^2(ax+b) + 2x + 1 $$
とおける。
条件 (ii) より、$P(x)$ は $x=1$ で極値 $2$ をとる。したがって、$P(1) = 2$ かつ $P'(1) = 0$ が成り立つ。
まず、$P(1) = 2$ より、
$$ (1-2)^2(a+b) + 2 \cdot 1 + 1 = 2 $$
$$ a + b + 3 = 2 $$
$$ b = -a - 1 $$
次に、$P(x)$ を微分すると、積の微分法より、
$$ P'(x) = 2(x-2)(ax+b) + (x-2)^2 \cdot a + 2 $$
$P'(1) = 0$ より、
$$ 2(1-2)(a+b) + (1-2)^2 \cdot a + 2 = 0 $$
$$ -2(a+b) + a + 2 = 0 $$
$$ -a - 2b + 2 = 0 $$
これに求めた $b = -a - 1$ を代入して、
$$ -a - 2(-a-1) + 2 = 0 $$
$$ a + 4 = 0 $$
$$ a = -4 $$
このとき、$b = -(-4) - 1 = 3$ となる。
$a = -4 \neq 0$ であるから、$P(x)$ は確かに3次式である。
ここで、求めた関数が実際に $x=1$ で極値をとるか(十分性)を確認する。
$$ P'(x) = 2(x-2)(-4x+3) - 4(x-2)^2 + 2 $$
$$ = 2(x-2) \{ (-4x+3) - 2(x-2) \} + 2 $$
$$ = 2(x-2)(-6x+7) + 2 $$
$$ = -12x^2 + 38x - 26 $$
$$ = -2(x-1)(6x-13) $$
$P'(x) = 0$ を満たす $x$ は $x = 1, \frac{13}{6}$ である。$x=1$ の前後で $P'(x)$ の符号は負から正に変化するため、$P(x)$ は $x=1$ で極小値をとる。よって条件を満たす。
したがって、求める3次式は、
$$ P(x) = (x-2)^2(-4x+3) + 2x + 1 $$
これを展開して整理する。
$$ P(x) = (x^2-4x+4)(-4x+3) + 2x + 1 $$
$$ = -4x^3 + 3x^2 + 16x^2 - 12x - 16x + 12 + 2x + 1 $$
$$ = -4x^3 + 19x^2 - 26x + 13 $$
解法2
求める3次式を $P(x)$ とする。
条件 (ii) より、$P(x)$ は $x=1$ で極値 $2$ をとる。これは、曲線 $y = P(x)$ が点 $(1, 2)$ で直線 $y=2$ に接することと同値である。
したがって、$P(x) - 2$ は $(x-1)^2$ を因数にもつ。$P(x)$ は3次式であるから、$p, q$ を実数($p \neq 0$)として、
$$ P(x) = (x-1)^2(px+q) + 2 $$
とおける。
条件 (i) より、$P(x)$ を $(x-2)^2$ で割った余りが $2x+1$ となる。
ここで、割り算の計算を簡略化するため $x - 2 = t$ とおく。$x = t + 2$ を代入すると、
$$ P(t+2) = (t+1)^2 \{ p(t+2) + q \} + 2 $$
$$ = (t^2+2t+1) \{ pt + (2p+q) \} + 2 $$
$$ = pt^3 + (4p+q)t^2 + (5p+2q)t + 2p + q + 2 $$
$P(x)$ を $(x-2)^2$ で割ることは、$P(t+2)$ を $t^2$ で割ることに対応する。上の式を $t^2$ で割った余りは下位2項であるから、余りは $(5p+2q)t + 2p + q + 2$ となる。
これが $2x+1 = 2(t+2)+1 = 2t+5$ に恒等的に等しいため、係数を比較して、
$$ \begin{cases} 5p + 2q = 2 \\ 2p + q + 2 = 5 \end{cases} $$
第2式より $q = -2p + 3$ となる。これを第1式に代入して、
$$ 5p + 2(-2p+3) = 2 $$
$$ p + 6 = 2 $$
$$ p = -4 $$
このとき、$q = -2(-4) + 3 = 11$ となる。
$p = -4 \neq 0$ であるから、$P(x)$ は確かに3次式である。
求めた関数の十分性を確認する。
$$ P'(x) = 2(x-1)(-4x+11) - 4(x-1)^2 $$
$$ = 2(x-1) \{ (-4x+11) - 2(x-1) \} $$
$$ = 2(x-1)(-6x+13) $$
$x=1$ の前後で $P'(x)$ の符号は変化するため、確かに極値をもつ。
したがって、求める3次式は、
$$ P(x) = (x-1)^2(-4x+11) + 2 $$
これを展開して整理する。
$$ P(x) = (x^2-2x+1)(-4x+11) + 2 $$
$$ = -4x^3 + 11x^2 + 8x^2 - 22x - 4x + 11 + 2 $$
$$ = -4x^3 + 19x^2 - 26x + 13 $$
解説
「ある式で割った余り」や「極値をとる条件」から元の多項式を決定する、微分の標準的な問題である。
条件を処理しやすい形で立式できるかが計算量を左右する。単純に $P(x) = ax^3+bx^2+cx+d$ と置いてしまうと、文字が4つになり、特に条件 (i) の割り算の処理が煩雑になってしまう。
また、$x=\alpha$ で極値をとるという条件を利用する際、$P'(\alpha)=0$ は必要条件にすぎない。求まった関数がその点で変曲点などにならず、本当に極値をもつ(導関数の符号が変化する)ことを最後に確認する記述が、減点を防ぐ上で重要である。
答え
$$ -4x^3 + 19x^2 - 26x + 13 $$
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