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名古屋大学 1992年 文系 第1問 解説

数学C/複素数平面数学B/数列テーマ/数学的帰納法
名古屋大学 1992年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) は、与えられた2つの複素数 $\alpha, \beta$ が互いに共役であることに着目し、和 $\alpha + \beta$ と積 $\alpha\beta$ を求めることで、$\alpha, \beta$ を解にもつ2次方程式を作成する。その方程式を用いることで漸化式を導出する。

(2) は、(1) で得られた等式(隣接3項間の漸化式)を用いて、数学的帰納法により証明する。隣接する3項の関係であるため、帰納法の仮定は連続する2項について設定する。

解法1

(1)

$\alpha = \frac{1 - \sqrt{7}i}{2}, \beta = \frac{1 + \sqrt{7}i}{2}$ について、和と積をそれぞれ計算する。

$$ \alpha + \beta = \frac{1 - \sqrt{7}i}{2} + \frac{1 + \sqrt{7}i}{2} = 1 $$

$$ \alpha \beta = \frac{(1 - \sqrt{7}i)(1 + \sqrt{7}i)}{4} = \frac{1^2 - (\sqrt{7}i)^2}{4} = \frac{1 - (-7)}{4} = 2 $$

これより、解と係数の関係から、$\alpha, \beta$ は2次方程式 $x^2 - x + 2 = 0$ の2つの解である。 したがって、$\alpha$ について次の等式が成り立つ。

$$ \alpha^2 - \alpha + 2 = 0 $$

これを変形すると、

$$ \alpha^2 = \alpha - 2 $$

この両辺に $\alpha^{n-1}$ ($n$ は正整数) を掛けると(ただし $\alpha^0 = 1$ とする)、

$$ \alpha^{n+1} = \alpha^n - 2\alpha^{n-1} $$

同様に、$\beta$ も方程式 $x^2 - x + 2 = 0$ の解であるから、

$$ \beta^{n+1} = \beta^n - 2\beta^{n-1} $$

これら2つの式の辺々を加えると、

$$ \alpha^{n+1} + \beta^{n+1} = \alpha^n + \beta^n - 2(\alpha^{n-1} + \beta^{n-1}) $$

となり、すべての正整数 $n$ に対して題意の等式が成り立つことが示された。

(2)

(1)の結果から、$a_n = \alpha^n + \beta^n$ とおくと、任意の正整数 $n$ について以下の関係が成り立つ。

$$ a_{n+1} = a_n - 2a_{n-1} $$

「すべての正整数 $n$ に対して $a_n$ は奇数である」ことを、数学的帰納法によって証明する。

(i) $n=1, 2$ のとき

$$ a_1 = \alpha + \beta = 1 $$

となり、奇数である。

$$ a_2 = \alpha^2 + \beta^2 = (\alpha + \beta)^2 - 2\alpha\beta = 1^2 - 2 \cdot 2 = -3 $$

となり、これも奇数である。 よって、$n=1, 2$ のとき成り立つ。

(ii) $n=k, k+1$ ($k$ は正整数) のとき、成り立つと仮定する。 すなわち、$a_k$ と $a_{k+1}$ がともに奇数であると仮定する。

$n=k+2$ のときを考える。(1)の等式において $n=k+1$ とすることで、

$$ a_{k+2} = a_{k+1} - 2a_k $$

と表せる。 帰納法の仮定より、$a_k$ は奇数(整数)であるから、$2a_k$ は偶数である。 また、$a_{k+1}$ は奇数である。 奇数から偶数を引いた差は奇数となるため、$a_{k+2}$ も奇数となる。 よって、$n=k+2$ のときも成り立つ。

(i), (ii) より、すべての正整数 $n$ に対して $\alpha^n + \beta^n$ は奇数であることが示された。

解説

隣接3項間の漸化式を用いて整数や奇偶の性質を示す、典型的な問題である。

(1) では、与えられた複素数をそのまま代入して計算するのは非常に煩雑となるため、和と積を求めて2次方程式を作るという「次数下げ」の定石が有効である。

(2) では、(1) の誘導により $a_{n+2} = a_{n+1} - 2a_n$ という漸化式を利用できる。この漸化式から項の性質を証明する際、1つ前の項 $a_{n+1}$ だけでなく、2つ前の項 $a_n$ の情報も必要になる。そのため、数学的帰納法を用いる場合は、仮定を「$n=k, k+1$ のとき」と連続する2項について設定し、初期条件も「$n=1, 2$ のとき」の2つ確認する必要がある点に注意する。また、負の整数(今回であれば $-3$)も奇数に含まれることを忘れないようにしたい。

答え

(1) $\alpha, \beta$ を解にもつ2次方程式 $x^2 - x + 2 = 0$ を作成し、$\alpha^2 = \alpha - 2$ などの両辺に $\alpha^{n-1}$ 等を掛けて辺々を加えることで示された。

(2) $n=1, 2$ での成立を確認し、連続する2項での成立を仮定する数学的帰納法を用いて示された。

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