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名古屋大学 1977年 理系 第2問 解説

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名古屋大学 1977年 理系 第2問 解説

方針・初手

2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の左辺を $f(x)$ とおくと、3けたの数 $p$ は $f(10)$ として表すことができます。 方程式が整数解をもつと仮定し、背理法を用いて矛盾を導きます。 その際、$f(10) - f(n)$ を因数分解するアプローチ(解法1)と、整数解が定数項の約数になることを利用して候補を絞り込むアプローチ(解法2)が考えられます。

解法1

$$f(x) = ax^2+bx+c$$

とおく。$p$ は3けたの素数であり、百の位が $a$、十の位が $b$、一の位が $c$ であるから、

$$p = 100a+10b+c = f(10)$$

と表せる。また、$a, b, c$ は1けたの整数であり、

$$1 \leqq a \leqq 9, \quad 0 \leqq b \leqq 9, \quad 0 \leqq c \leqq 9$$

である。さらに、$p$ は素数であるから、一の位の数字 $c$ は偶数や $5$ ではなく、

$$c \in \{1, 3, 7, 9\}$$

である(特に $c \geqq 1$)。

2次方程式 $f(x) = 0$ が整数解 $n$ をもつと仮定する。

$$f(n) = an^2+bn+c = 0$$

ここで $n \geqq 0$ とすると、$a \geqq 1, b \geqq 0, c \geqq 1$ より $an^2+bn+c \geqq 1 > 0$ となり、$f(n)=0$ に矛盾する。よって、整数解 $n$ は負の整数($n \leqq -1$)である。

$f(10) - f(n)$ を計算すると、

$$f(10) - f(n) = (100a+10b+c) - (an^2+bn+c)$$

$$p - 0 = a(100-n^2) + b(10-n)$$

$$p = (10-n)\{a(10+n)+b\}$$

となる。$a, b, n$ はすべて整数であるから、$10-n$ と $a(10+n)+b$ も整数である。

$n \leqq -1$ より $10-n \geqq 11$ である。 $p$ は素数であり、その正の約数は $1$ と $p$ のみであるが、$10-n \geqq 11 > 1$ であるため、

$$10-n = p$$

でなければならない。このとき、もう一方の因数について、

$$a(10+n)+b = 1$$

が成り立つ。$10+n = 20-p$ を代入すると、

$$a(20-p)+b = 1$$

$$a(p-20) = b-1$$

となる。$p$ は3けたの素数であるから $p \geqq 101$ であり、$p-20 \geqq 81$。 また $a \geqq 1$ であるから、左辺について $a(p-20) \geqq 81$ となる。 一方、$0 \leqq b \leqq 9$ より、右辺について $b-1 \leqq 8$ である。 これは明らかに矛盾する。

したがって、仮定は誤りであり、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ は整数解をもたない。

解法2

方程式の左辺を $f(x) = ax^2+bx+c$ とおく。解法1と同様に、$1 \leqq a \leqq 9$、$0 \leqq b \leqq 9$、$c \in \{1, 3, 7, 9\}$ であり、方程式が整数解 $n$ をもつと仮定すると $n \leqq -1$ である。

方程式 $an^2+bn+c=0$ より、

$$c = -n(an+b)$$

と変形できる。$a, b, c, n$ は整数であるから、$(-n)$ は $c$ の正の約数である。 $c \in \{1, 3, 7, 9\}$ より、$c$ の正の約数となりうるのは $1, 3, 7, 9$ のみである。よって整数解 $n$ の候補は $n \in \{-1, -3, -7, -9\}$ の4通りに絞られる。それぞれの場合について検証する。

(i) $n = -1$ のとき

$a-b+c=0$ より $b = a+c$。 このとき $p$ を計算すると、

$$p = 100a+10b+c = 100a+10(a+c)+c = 110a+11c = 11(10a+c)$$

$a \geqq 1, c \geqq 1$ より $10a+c \geqq 11$ であるから、$p$ は $11$ の倍数(合成数)となり、素数であることに矛盾する。

(ii) $n = -3$ のとき

$9a-3b+c=0$ より $c = 3(b-3a)$。 $c \in \{1, 3, 7, 9\}$ かつ $3$ の倍数であるから、$c = 3$ または $c = 9$。

$$p = 100a+10(3a+1)+3 = 130a+13 = 13(10a+1)$$

となり、素数に矛盾。

$$p = 100a+10(3a+3)+9 = 130a+39 = 13(10a+3)$$

となり、素数に矛盾。

(iii) $n = -7$ のとき

$49a-7b+c=0$ より $c = 7(b-7a)$。 $c \in \{1, 3, 7, 9\}$ かつ $7$ の倍数であるから、$c = 7$。 このとき $b-7a = 1$ より $b = 7a+1$。

$$p = 100a+10(7a+1)+7 = 170a+17 = 17(10a+1)$$

となり、素数に矛盾。

(iv) $n = -9$ のとき

$81a-9b+c=0$ より $c = 9(b-9a)$。 $c \in \{1, 3, 7, 9\}$ かつ $9$ の倍数であるから、$c = 9$。 このとき $b-9a = 1$ より $b = 9a+1$。

$$p = 100a+10(9a+1)+9 = 190a+19 = 19(10a+1)$$

となり、素数に矛盾。

以上すべての場合において矛盾が生じるため、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ は整数解をもたない。

解説

10進法の位取り記数法で表された数を、多項式 $f(x)=ax^2+bx+c$ の $x=10$ のときの値と見なすのは、整数問題における定石の1つです。 解法1は、$f(x)-f(y)$ が $(x-y)$ を因数にもつという整式の性質(剰余の定理に通じる性質)を利用し、素数の因数分解に持ち込むエレガントな方法です。 解法2は、「整数係数の方程式が整数解をもつならば、その解は定数項の約数である」という有理根定理の基本性質を利用しています。候補を有限個に絞り込めるため、しらみつぶしに調べることで確実な結論を得ることができます。

答え

背理法により、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ は整数解をもたないことが示された。

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