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名古屋大学 2018年 文系 第2問 解説

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名古屋大学 2018年 文系 第2問 解説

方針・初手

(1) は整数の性質に関する証明問題である。$\alpha$ と $\beta$ の偶奇によって場合分けを行い、それぞれのケースで式が奇数になることを示す。合同式を用いると計算が簡略化できる。

(2) は存在しないことの証明なので、存在すると仮定して矛盾を導くか、または両辺の性質(ここでは倍数性)を比較する。(1) の結果を利用して左辺の偶奇から $\alpha, \beta$ の偶奇を絞り込み、さらに絞り込んだ結果から左辺と右辺の「4で割った余り」に矛盾が生じることを示す。

(3) も「1個以下であること」を示すため、背理法を用いて「相異なる2個以上の整数解を持つ」と仮定して矛盾を導く。2つの整数解を代入した式の差をとることで定数 $c$ を消去し、(2) の形を導出する。

解法1

(1)

整数を2で割った余りに着目し、法を2とする合同式を用いて考える。

$\alpha, \beta$ の少なくとも一方が奇数であるから、以下の2つの場合が考えられる。

(i) $\alpha, \beta$ の一方が奇数、他方が偶数の場合

式の対称性から、$\alpha$ を奇数、$\beta$ を偶数としても一般性を失わない。すなわち、$\alpha \equiv 1 \pmod 2$、$\beta \equiv 0 \pmod 2$ である。このとき、

$$ \alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 \equiv 1^2 + 1 \cdot 0 + 0^2 \equiv 1 \pmod 2 $$

となり、奇数である。

(ii) $\alpha, \beta$ がともに奇数の場合

$\alpha \equiv 1 \pmod 2$、$\beta \equiv 1 \pmod 2$ である。このとき、

$$ \alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 \equiv 1^2 + 1 \cdot 1 + 1^2 \equiv 3 \equiv 1 \pmod 2 $$

となり、奇数である。

以上 (i)(ii) より、$\alpha, \beta$ の少なくとも一方が奇数のとき、$\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2$ は奇数であることが示された。

(2)

$\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 = 2n$ ($n$ は奇数) をみたす整数 $\alpha, \beta$ が存在すると仮定する。

右辺の $2n$ は偶数であるから、左辺の $\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2$ も偶数でなければならない。

(1) の対偶より、「$\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2$ が偶数ならば、$\alpha, \beta$ はともに偶数」である。

よって、整数 $k, l$ を用いて $\alpha = 2k, \beta = 2l$ と表すことができる。これを左辺に代入すると、

$$ \alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 = (2k)^2 + (2k)(2l) + (2l)^2 = 4k^2 + 4kl + 4l^2 = 4(k^2 + kl + l^2) $$

となり、左辺は4の倍数である。

一方、右辺について、$n$ は奇数であるから $n = 2m + 1$ ($m$ は整数) とおける。

$$ 2n = 2(2m + 1) = 4m + 2 $$

となり、右辺は4で割ると2余る数であり、4の倍数ではない。

したがって、左辺と右辺で矛盾が生じる。

ゆえに、$\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 = 2n$ ($n$ は奇数) をみたす整数 $\alpha, \beta$ は存在しない。

(3)

3次方程式 $x^3 - 2018x + c = 0$ が相異なる2つ以上の整数解をもつと仮定し、そのうちの2つを $\alpha, \beta$ ($\alpha \neq \beta$) とする。

これらは方程式の解であるから、以下の式が成り立つ。

$$ \alpha^3 - 2018\alpha + c = 0 $$

$$ \beta^3 - 2018\beta + c = 0 $$

上の式から下の式を辺々引くと、$c$ が消去されて次のようになる。

$$ (\alpha^3 - \beta^3) - 2018(\alpha - \beta) = 0 $$

$$ (\alpha - \beta)(\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2) - 2018(\alpha - \beta) = 0 $$

$$ (\alpha - \beta)(\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 - 2018) = 0 $$

ここで、$\alpha \neq \beta$ より $\alpha - \beta \neq 0$ であるから、両辺を $\alpha - \beta$ で割ることができる。

$$ \alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 - 2018 = 0 $$

$$ \alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 = 2018 $$

右辺の $2018$ を素因数分解すると $2018 = 2 \times 1009$ となり、$1009$ は奇数である。

よって、この等式は $\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 = 2n$ において $n=1009$ とした形になっている。

しかし、(2) で証明した事実から、このような関係をみたす整数 $\alpha, \beta$ は存在しない。これは $\alpha, \beta$ が整数であるという仮定に矛盾する。

したがって、3次方程式 $x^3 - 2018x + c = 0$ の解のうち整数であるものは1個以下である。

解説

前問の結果を利用して段階的に証明を進めていく典型的な誘導問題である。

(1) では、与えられた式の偶奇を調べるために剰余(合同式)を利用すると記述が非常にすっきりとまとまる。

(2) は「存在しないこと」の証明であるため、性質の不一致(ここでは4で割った余り)に着目して矛盾を導く手法が有効である。(1) の対偶を用いる発想がポイントとなる。

(3) において、方程式の解に関する問題で定数項が含まれている場合、複数の解を代入して辺々引くことで定数項を消去し、因数分解に持ち込む手法は頻出である。これにより見慣れた式 $\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2$ を作り出し、(2) の結果を適用するという論理の流れを見抜けるかが鍵となる。

答え

(1) $\alpha,\beta$ の少なくとも一方が奇数ならば,$\alpha^2+\alpha\beta+\beta^2$ は奇数である。

(2) $n$ を奇数とするとき,$\alpha^2+\alpha\beta+\beta^2=2n$ をみたす整数 $\alpha,\beta$ は存在しない。

(3) 3次方程式 $x^3-2018x+c=0$ の解のうち整数であるものは1個以下である。

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