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名古屋大学 2013年 理系 第1問 解説

数学A/確率数学B/数列テーマ/漸化式テーマ/確率漸化式
名古屋大学 2013年 理系 第1問 解説

方針・初手

3人、あるいは2人でジャンケンを1回行った際の状態変化(誰が何人勝ち残るか)の確率を最初にすべて求めておくことが基本となる。 (1)は1回限りの確率なので、基本通りに事象の数を数えて計算する。 (2)は $n$ 回目終了時の状態(3人残存、2人残存)から、$n+1$ 回目終了時の状態へどのように遷移するかを考え、漸化式を立てる。 (3)はちょうど $n$ 回目で勝者が1人になる状況を直接考える方法と、勝負がつかない確率(余事象の考え方)からアプローチする方法がある。

解法1

3人でジャンケンを1回行うとき、全員の手の出し方は $3^3=27$ 通りある。 このうち、 ・1人が勝つ(2人が脱落する)確率は $\frac{{}_3\text{C}_1 \times 3}{27} = \frac{1}{3}$ ・2人が勝つ(1人が脱落する)確率は $\frac{{}_3\text{C}_2 \times 3}{27} = \frac{1}{3}$ ・3人がアイコになる(誰も脱落しない)確率は、全員が同じ手を出す3通りと、全員が異なる手を出す $3! = 6$ 通りの合計より $\frac{3+6}{27} = \frac{1}{3}$

また、2人でジャンケンを1回行うとき、全員の手の出し方は $3^2=9$ 通りある。 このうち、 ・1人が勝つ(もう1人が脱落する)確率は $\frac{{}_2\text{C}_1 \times 3}{9} = \frac{2}{3}$ ・2人がアイコになる(誰も脱落しない)確率は $\frac{3}{9} = \frac{1}{3}$

(1)

$p_1$ は1回目のジャンケンで3人中2人が残る確率であるから、上の計算より

$$ p_1 = \frac{1}{3} $$

$q_1$ は1回目のジャンケンで3人中3人が残る(アイコになる)確率であるから、

$$ q_1 = \frac{1}{3} $$

(2)

$n+1$ 回目終了時に3人が残っているのは、$n$ 回目終了時にも3人が残っていて、かつ $n+1$ 回目のジャンケンで3人がアイコになる場合のみである。したがって、次の漸化式が成り立つ。

$$ q_{n+1} = \frac{1}{3} q_n $$

数列 $\{q_n\}$ は初項 $q_1 = \frac{1}{3}$、公比 $\frac{1}{3}$ の等比数列であるから、一般項は

$$ q_n = \left(\frac{1}{3}\right)^n $$

次に、$n+1$ 回目終了時に2人が残っているのは、以下の2つの排反な事象のいずれかが起こる場合である。 (i) $n$ 回目終了時に3人が残っていて、$n+1$ 回目で1人が脱落する(2人が勝つ)場合。この確率は $\frac{1}{3} q_n$ (ii) $n$ 回目終了時に2人が残っていて、$n+1$ 回目で2人がアイコになる場合。この確率は $\frac{1}{3} p_n$

これらより、次の漸化式を得る。

$$ p_{n+1} = \frac{1}{3} p_n + \frac{1}{3} q_n $$

先ほど求めた $q_n$ を代入すると、

$$ p_{n+1} = \frac{1}{3} p_n + \frac{1}{3} \left(\frac{1}{3}\right)^n $$

$$ p_{n+1} = \frac{1}{3} p_n + \frac{1}{3^{n+1}} $$

この両辺に $3^{n+1}$ を掛けると、

$$ 3^{n+1} p_{n+1} = 3^n p_n + 1 $$

これにより、数列 $\{3^n p_n\}$ は初項 $3^1 p_1 = 3 \times \frac{1}{3} = 1$、公差 $1$ の等差数列であることがわかる。したがって、

$$ 3^n p_n = 1 + (n-1) \cdot 1 = n $$

ゆえに、一般項は

$$ p_n = \frac{n}{3^n} $$

(3)

ちょうど $n$ 回目で1人の勝ち残りが決まる確率を求める。

(i) $n = 1$ のとき 1回目のジャンケンで3人中1人が勝つ確率であるから、$\frac{1}{3}$ である。

(ii) $n \geqq 2$ のとき ちょうど $n$ 回目で1人の勝ち残りが決まるのは、以下の2つの排反な事象のいずれかが起こる場合である。 ・$n-1$ 回目終了時に3人が残っていて、$n$ 回目のジャンケンで2人が脱落する(1人が勝つ)場合。この確率は $q_{n-1} \times \frac{1}{3}$ ・$n-1$ 回目終了時に2人が残っていて、$n$ 回目のジャンケンで1人が脱落する(1人が勝つ)場合。この確率は $p_{n-1} \times \frac{2}{3}$

したがって、求める確率は

$$ \frac{1}{3} q_{n-1} + \frac{2}{3} p_{n-1} = \frac{1}{3} \left(\frac{1}{3}\right)^{n-1} + \frac{2}{3} \cdot \frac{n-1}{3^{n-1}} $$

$$ = \frac{1}{3^n} + \frac{2(n-1)}{3^n} = \frac{2n-1}{3^n} $$

この式に $n=1$ を代入すると $\frac{2 \cdot 1 - 1}{3^1} = \frac{1}{3}$ となり、(i) の結果と一致する。 よって、すべての自然数 $n$ について、求める確率は $\frac{2n-1}{3^n}$ である。

解法2

(3)の別解として、「$n$ 回目までにゲームが終了しない確率」を利用して確率を求める方法を示す。

$n$ 回目終了時にゲームが続いている、すなわち勝者が1人に決まっていない事象は、$n$ 回目終了時に3人が残っている事象(確率 $q_n$)と2人が残っている事象(確率 $p_n$)の和事象である。これらの事象は排反であるから、$n$ 回目までにゲームが終了しない確率は $p_n + q_n$ と表せる。

したがって、$n$ 回目までにゲームが終了する(勝者が1人に決まる)確率は $1 - (p_n + q_n)$ である。 ちょうど $n$ 回目でゲームが終了する確率は、「$n$ 回目までに終了する確率」から「$n-1$ 回目までに終了する確率」を引いたものである($n \geqq 2$ のとき)。

$$ \{1 - (p_n + q_n)\} - \{1 - (p_{n-1} + q_{n-1})\} = p_{n-1} + q_{n-1} - p_n - q_n $$

(2)で求めた $p_n, q_n$ の結果を代入すると、

$$ \frac{n-1}{3^{n-1}} + \left(\frac{1}{3}\right)^{n-1} - \frac{n}{3^n} - \left(\frac{1}{3}\right)^n $$

分母を $3^n$ に揃えて通分して計算する。

$$ = \frac{3(n-1) + 3 - n - 1}{3^n} $$

$$ = \frac{3n - 3 + 3 - n - 1}{3^n} = \frac{2n - 1}{3^n} $$

この式は $n=1$ のとき $\frac{1}{3}$ となる。また、1回目でゲームが終了する確率は $1 - (p_1 + q_1) = 1 - \frac{2}{3} = \frac{1}{3}$ であるから、$n=1$ のときも成立する。 よって、求める確率は $\frac{2n-1}{3^n}$ である。

解説

ジャンケンを用いた確率と漸化式の典型的な問題である。確率漸化式の問題では、各ステップ(今回はジャンケン1回)における「状態推移」を正確に把握することが重要である。最初の段階で、各状態から次の状態へ移行する確率をすべて洗い出しておくと見通しが良くなる。

(2)の $p_{n+1} = a p_n + f(n)$ 型の漸化式の解法としては、両辺を $a^{n+1}$ で割って階差数列や等差数列に帰着させるのが定石である。今回は $a = \frac{1}{3}$ であるため、両辺に $3^{n+1}$ を掛ける(または $3^{n+1}$ で割る)ことで簡潔に等差数列の形に持ち込める。

(3)では事象の排反性を利用して解法1のように直接求めるのが自然だが、ゲームが「終わる」「終わらない」の2状態に大きく分けて考える解法2(累積確率の差分)のアプローチも、計算ミスを防ぐための検算として非常に有効である。

答え

(1) $p_1 = \frac{1}{3}$, $q_1 = \frac{1}{3}$

(2) 漸化式: $p_{n+1} = \frac{1}{3} p_n + \frac{1}{3} q_n, \quad q_{n+1} = \frac{1}{3} q_n$ 一般項: $p_n = \frac{n}{3^n}, \quad q_n = \frac{1}{3^n}$

(3) $\frac{2n-1}{3^n}$

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