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名古屋大学 2020年 理系 第2問 解説

数学A/整数問題数学2/式と証明テーマ/整数の証明
名古屋大学 2020年 理系 第2問 解説

方針・初手

$m$ は正の整数であり、$2, m^2+1, m^4+1$ が相異なる素数であるという条件から、$m$ のとりうる値の範囲を絞り、3つの数の大小関係を確定させる。 (1) では、3つの数の大小関係を用いて、各々を $a$ とした場合の $a^2$ と $bc$ の大小を比較する。 (2) では、与えられた式の左辺を因数分解し、$X=x+y, Y=y$ と置き換えることで、素因数分解の一意性と約数の性質を利用して方程式を解く。

解法1

問題の条件より、$2, m^2+1, m^4+1$ は相異なる素数である。 $m=1$ のとき、$m^2+1=2, m^4+1=2$ となり相異ならないため不適。 $m$ が正の整数であることから、$m \geqq 2$ である。 このとき、$2 < m^2+1 < m^4+1$ が成り立つ。

(1)

$a$ は $2, m^2+1, m^4+1$ のいずれかである。

(i) $a=2$ のとき

$b, c$ は $m^2+1, m^4+1$ である。 $a^2 = 4$ $bc = (m^2+1)(m^4+1)$ $m \geqq 2$ より $m^2+1 \geqq 5, m^4+1 \geqq 17$ であるから、$bc \geqq 85 > 4$ となり、$a^2 < bc$ を満たす。

(ii) $a=m^2+1$ のとき

$b, c$ は $2, m^4+1$ である。

$$ a^2 = (m^2+1)^2 = m^4+2m^2+1 $$

$$ bc = 2(m^4+1) = 2m^4+2 $$

$$ bc - a^2 = (2m^4+2) - (m^4+2m^2+1) = m^4-2m^2+1 = (m^2-1)^2 $$

$m \geqq 2$ より $m^2-1 \geqq 3 > 0$ であるから、$(m^2-1)^2 > 0$。 よって $bc > a^2$ となり、$a^2 < bc$ を満たす。

(iii) $a=m^4+1$ のとき

$b, c$ は $2, m^2+1$ である。

$$ a^2 = (m^4+1)^2 = m^8+2m^4+1 $$

$$ bc = 2(m^2+1) = 2m^2+2 $$

$$ a^2 - bc = (m^8+2m^4+1) - (2m^2+2) = m^8+2m^4-2m^2-1 $$

$m \geqq 2$ より $m^8 \geqq 256, 2m^4-2m^2 \geqq 32-8 = 24$ であるから、$a^2 - bc > 0$。 よって $a^2 > bc$ となり不適。

以上より、条件を満たす $a$ は $2, m^2+1$ である。

(2)

与式の左辺を変形する。

$$ (x+y)(x^2+2y^2+2xy) = (x+y) \{(x+y)^2+y^2\} $$

$X = x+y, Y = y$ とおくと、$x, y$ は正の整数であるから、$X, Y$ は整数であり、$Y \geqq 1, X \geqq 2$ かつ $X > Y$ を満たす。 与えられた方程式は以下のように表される。

$$ X(X^2+Y^2) = 2(m^2+1)(m^4+1) $$

$X$ と $X^2+Y^2$ は正の整数であり、右辺は相異なる3つの素数 $2, m^2+1, m^4+1$ の積である。 したがって、$X$ は $2(m^2+1)(m^4+1)$ の正の約数である。 また、$Y \geqq 1$ より $X^2+Y^2 > X^2$ であるから、以下の不等式が成り立つ。

$$ X^3 < X(X^2+Y^2) = 2(m^2+1)(m^4+1) $$

ここで、仮に $X \geqq m^4+1$ とすると、

$$ X^3 \geqq (m^4+1)^3 = (m^4+1)(m^8+2m^4+1) $$

$m \geqq 2$ において、$m^8+2m^4+1 > 2m^2+2 = 2(m^2+1)$ は明らかであるから、$X^3 > 2(m^2+1)(m^4+1)$ となり矛盾する。 よって、$X < m^4+1$ である。 $m^4+1$ を素因数に含まない $2(m^2+1)(m^4+1)$ の約数のうち、$X \geqq 2$ を満たすものは $2, m^2+1, 2(m^2+1)$ のいずれかである。

(i) $X = 2$ のとき

$x+y = 2$ となり、$x, y$ は正の整数であるから $x=1, y=1$。すなわち $Y=1$。 このとき、左辺は $2(2^2+1^2) = 10$。 しかし、$m \geqq 2$ より右辺は $2(m^2+1)(m^4+1) \geqq 2 \cdot 5 \cdot 17 = 170$ となり不適。

(ii) $X = m^2+1$ のとき

$X^2+Y^2 = 2(m^4+1)$ となる。

$$ \begin{aligned} Y^2 &= 2(m^4+1) - (m^2+1)^2 \\ &= 2m^4+2 - (m^4+2m^2+1) \\ &= m^4-2m^2+1 \\ &= (m^2-1)^2 \end{aligned} $$

$Y > 0$ かつ $m \geqq 2$ より $m^2-1 > 0$ であるから、$Y = m^2-1$。 $x+y = m^2+1, y = m^2-1$ より、$x = 2, y = m^2-1$。 $m \geqq 2$ においてこれらは正の整数であり、条件を満たす。

(iii) $X = 2(m^2+1)$ のとき

$X^2+Y^2 = m^4+1$ となる。

$$ \begin{aligned} Y^2 &= m^4+1 - 4(m^2+1)^2 \\ &= m^4+1 - (4m^4+8m^2+4) \\ &= -3m^4-8m^2-3 < 0 \end{aligned} $$

これを満たす実数 $Y$ は存在せず不適。

以上より、求める $x, y$ は $x = 2, y = m^2-1$ である。

解説

(1) は条件を満たす $m$ の範囲を $m \geqq 2$ と見抜くことが重要である。これにより、3つの素数の大小関係が確定し、論証がスムーズに進む。 (2) は左辺の式展開を観察し、$(x+y)$ でくくることで $X(X^2+Y^2)$ の形に持ち込む整数問題の典型手法を用いる。右辺が素因数分解された形であるため、約数の候補を絞り込むアプローチが極めて有効である。特に $X^3 < \text{(右辺)}$ の大小評価によって調べるべき場合分けを減らす処理は、計算量を減らし論理の飛躍を防ぐうえで重要である。

答え

(1) $a = 2, m^2+1$

(2) $x = 2, y = m^2-1$

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