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名古屋大学 2025年 理系 第3問 解説

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名古屋大学 2025年 理系 第3問 解説

方針・初手

解法1

(1) $xy$ 平面上の点から原点までの距離を $u$ とする。円 $C: (x-1)^2 + y^2 \leqq r^2$ 上の点について、$u$ の取りうる範囲は $1-r \leqq u \leqq 1+r$ である。

原点を中心とする半径 $u$ の円周が円 $C$ と交わる部分(円弧)の長さを $L(u)$ とする。

極座標 $(u, \phi)$ を用いると、円 $C$ の条件は

$$(u\cos\phi - 1)^2 + (u\sin\phi)^2 \leqq r^2$$

$$u^2 - 2u\cos\phi + 1 \leqq r^2$$

$$\cos\phi \geqq \frac{u^2 + 1 - r^2}{2u}$$

である。

$\cos\theta(u) = \frac{u^2 + 1 - r^2}{2u}$ (ただし $0 \leqq \theta(u) \leqq \frac{\pi}{2}$)となる角 $\theta(u)$ を定義すると、円 $C$ に含まれる点の偏角 $\phi$ は $-\theta(u) \leqq \phi \leqq \theta(u)$ の範囲となる。

したがって、半径 $u$ の円周上で円 $C$ に含まれる弧の長さは

$$L(u) = u \times 2\theta(u) = 2u\theta(u)$$

である。

この円 $C$ を原点中心に反時計回りに角度 $\alpha$ だけ回転させたとき、半径 $u$ の円周上で点が通過する偏角の範囲は $-\theta(u) \leqq \phi \leqq \theta(u) + \alpha$ となる。

ここで、原点から円 $C$ に引いた接線のなす角を $\beta$ ($>0$) とすると、$\sin\beta = r$ である。$0 < r \leqq 1$ より $\beta \leqq \frac{\pi}{2}$ であるから、常に $\theta(u) \leqq \frac{\pi}{2}$ が成り立つ。

回転後の偏角の幅は $2\theta(u) + \alpha \leqq \pi + \alpha$ であり、$\alpha < \pi$ よりこの幅は $2\pi$ より小さい。したがって、回転によって点が同じ位置を2回以上通過する(領域が自己交差して重なる)ことはない。

よって、回転により通過する半径 $u$ の円弧の長さは $L(u) + u\alpha$ となる。

求める領域の面積 $S_1$ は、これを $u$ について $1-r$ から $1+r$ まで積分して求められる。

$$\begin{aligned} S_1 &= \int_{1-r}^{1+r} (L(u) + u\alpha) \,du \\ &= \int_{1-r}^{1+r} L(u) \,du + \alpha \int_{1-r}^{1+r} u \,du \end{aligned}$$

ここで、第1項の $\int_{1-r}^{1+r} L(u) \,du$ は元の円 $C$ の面積そのものを表しているため、$\pi r^2$ である。

第2項の積分は

$$\alpha \int_{1-r}^{1+r} u \,du = \alpha \left[ \frac{u^2}{2} \right]_{1-r}^{1+r} = \frac{\alpha}{2} \Big( (1+r)^2 - (1-r)^2 \Big) = \frac{\alpha}{2} (4r) = 2\alpha r$$

となる。

以上より、求める面積は

$$S_1 = \pi r^2 + 2\alpha r$$

である。

(2) 空間内の球 $B: (x-1)^2 + y^2 + z^2 \leqq R^2$ を、回転軸である $z$ 軸に垂直な平面 $z = t$ ($-R \leqq t \leqq R$) で切断する。

その断面 $B_t$ は、

$$(x-1)^2 + y^2 \leqq R^2 - t^2, \quad z=t$$

となる。これは $z=t$ 平面上において、点 $(1, 0, t)$ を中心とする半径 $r(t) = \sqrt{R^2 - t^2}$ の円およびその内部である。

この断面 $B_t$ を $z$ 軸(すなわち点 $(0,0,t)$ )の周りに角度 $\alpha$ だけ回転させるとき、通過する領域の面積を $S(t)$ とする。

$-R \leqq t \leqq R$ より $0 \leqq r(t) \leqq R \leqq 1$ であるため、各 $z=t$ 平面内での回転は (1) と全く同様に考えることができる。

$r(t) > 0$ のとき、(1) の結果を適用して

$$S(t) = \pi (r(t))^2 + 2\alpha r(t) = \pi(R^2 - t^2) + 2\alpha\sqrt{R^2 - t^2}$$

となる。($t = \pm R$ のときは $r(t)=0$ で面積 $S(t)=0$ となり、この式はそのまま成り立つ。)

球 $B$ の回転体の体積 $V$ は、この断面積 $S(t)$ を $t$ について積分して求められる。

$$\begin{aligned} V &= \int_{-R}^{R} S(t) \,dt \\ &= \int_{-R}^{R} \left( \pi(R^2 - t^2) + 2\alpha\sqrt{R^2 - t^2} \right) \,dt \\ &= \pi \int_{-R}^{R} (R^2 - t^2) \,dt + 2\alpha \int_{-R}^{R} \sqrt{R^2 - t^2} \,dt \end{aligned}$$

第1項の積分は半径 $R$ の球の体積を求める積分に等しく、

$$\pi \left[ R^2 t - \frac{t^3}{3} \right]_{-R}^{R} = \frac{4}{3}\pi R^3$$

である。

第2項の積分にある $\int_{-R}^{R} \sqrt{R^2 - t^2} \,dt$ は、半径 $R$ の半円の面積に等しいため $\frac{1}{2}\pi R^2$ である。よって、

$$2\alpha \times \frac{1}{2}\pi R^2 = \pi \alpha R^2$$

となる。

以上より、求める体積は

$$V = \frac{4}{3}\pi R^3 + \pi \alpha R^2$$

である。

解説

回転体の通過領域を求める問題において、最も確実な手法は「回転軸からの距離」に注目して図形を細かく分割することである。(1) は原点からの距離 $u$ の円弧、(2) は $z$ 軸に垂直な平面での切り口を用いて、領域を一次元低い要素に還元して処理している。

(1) で通過領域の面積が「元の円の面積 $\pi r^2$」と「回転によって新たにスイープされた面積 $2\alpha r$」の和に分離できることが分かると、複雑な積分の計算を大幅に省略できる。(2) も同様に「元の球の体積」と「半円の積分の定数倍」に分かれるため、最後まで幾何的な意味を見失わずに簡潔に解き進めることができる。

また、「回転角が大きくても通過領域が自分自身と重ならないか」という点について、問題文の $\alpha < \pi$ と $r \leqq 1$ という条件から円の接線のなす角を評価し、重なりが生じないことを確かめてから立式することが、論理的な厳密性の観点から非常に重要である。

答え

(1) $\pi r^2 + 2\alpha r$

(2) $\frac{4}{3}\pi R^3 + \pi \alpha R^2$

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