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大阪大学 1969年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトルテーマ/図形総合
大阪大学 1969年 文系 第1問 解説

方針・初手

点対称移動の条件をベクトルの関係式に直して考えることが最も確実なアプローチである。 基準となる原点 $O$ を定め、各点の位置ベクトルを小文字のベクトルで表す。 点 $A$ に関して点 $P$ と点 $Q$ が対称であることは、線分 $PQ$ の中点が $A$ であること、すなわち位置ベクトルにおいて $\vec{a} = \frac{\vec{p} + \vec{q}}{2}$ が成り立つことと同値である。これを変形した $\vec{q} = 2\vec{a} - \vec{p}$ を反復して用い、$P_k$ の位置ベクトルを $\vec{p}$ および定点の位置ベクトル $\vec{a_i}$ で表していく。

解法1

平面上に任意の原点 $O$ をとり、各点 $P, P_1, \cdots, P_n$ および $A_1, A_2, \cdots, A_n$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{p}, \vec{p_1}, \cdots, \vec{p_n}$ および $\vec{a_1}, \vec{a_2}, \cdots, \vec{a_n}$ とおく。便宜上、$P_0 = P$ とする。

条件「点 $A_k$ に関して $P_{k-1}$ と対称な点が $P_k$」より、線分 $P_{k-1}P_k$ の中点が $A_k$ であるから、

$$ \frac{\vec{p_{k-1}} + \vec{p_k}}{2} = \vec{a_k} $$

すなわち、

$$ \vec{p_k} = 2\vec{a_k} - \vec{p_{k-1}} \quad (k = 1, 2, \cdots, n) $$

が成り立つ。

(1)

$n=4$ のとき、上の漸化式を順に用いて $\vec{p_4}$ を求める。

$$ \vec{p_1} = 2\vec{a_1} - \vec{p} $$

$$ \vec{p_2} = 2\vec{a_2} - \vec{p_1} = 2\vec{a_2} - (2\vec{a_1} - \vec{p}) = \vec{p} + 2\vec{a_2} - 2\vec{a_1} $$

$$ \vec{p_3} = 2\vec{a_3} - \vec{p_2} = 2\vec{a_3} - (\vec{p} + 2\vec{a_2} - 2\vec{a_1}) = -\vec{p} + 2\vec{a_3} - 2\vec{a_2} + 2\vec{a_1} $$

$$ \begin{aligned} \vec{p_4} &= 2\vec{a_4} - \vec{p_3} \\ &= 2\vec{a_4} - (-\vec{p} + 2\vec{a_3} - 2\vec{a_2} + 2\vec{a_1}) \\ &= \vec{p} + 2\vec{a_4} - 2\vec{a_3} + 2\vec{a_2} - 2\vec{a_1} \end{aligned} $$

したがって、点 $P$ から点 $P_4$ への移動を表すベクトル $\overrightarrow{PP_4}$ は、

$$ \overrightarrow{PP_4} = \vec{p_4} - \vec{p} = 2(\vec{a_4} - \vec{a_3} + \vec{a_2} - \vec{a_1}) $$

となる。これは点 $P$ の位置ベクトル $\vec{p}$ に依存しない定ベクトルである。 よって、点 $P$ を任意にとっても移動ベクトルが一定となるため、点 $P$ を $P_4$ にうつす移動は平行移動である。(証明終)

また、このベクトル $\overrightarrow{PP_4}$ を変形すると、

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{PP_4} &= 2(\vec{a_2} - \vec{a_1}) + 2(\vec{a_4} - \vec{a_3}) \\ &= 2\overrightarrow{A_1A_2} + 2\overrightarrow{A_3A_4} \end{aligned} $$

となる。 したがって、平行移動を定めるベクトル $\overrightarrow{PP_4}$ は、ベクトル $\overrightarrow{A_1A_2}$ と $\overrightarrow{A_3A_4}$ だけで表される。これが、この平行移動がベクトル $\overrightarrow{A_1A_2}, \overrightarrow{A_3A_4}$ だけで決まる理由である。

(2)

$n=3$ のとき、(1) の計算の途中結果より、

$$ \vec{p_3} = -\vec{p} + 2\vec{a_3} - 2\vec{a_2} + 2\vec{a_1} $$

である。これを $\vec{p}$ と $\vec{p_3}$ について対称な形に整理すると、

$$ \frac{\vec{p} + \vec{p_3}}{2} = \vec{a_1} - \vec{a_2} + \vec{a_3} $$

となる。

この式の左辺は線分 $PP_3$ の中点の位置ベクトルを表している。 右辺は定点 $A_1, A_2, A_3$ の位置ベクトルのみで表されており、点 $P$ の位置ベクトル $\vec{p}$ に依存しない一定のベクトルである。 この一定のベクトルが表す定点を $C$ とすると、任意の点 $P$ に対して線分 $PP_3$ の中点は常に点 $C$ と一致する。 したがって、点 $P$ を $P_3$ にうつす移動は、点 $C$ を対称の中心とする点対称である。(証明終)

また、その対称の中心の位置ベクトルは $\vec{a_1} - \vec{a_2} + \vec{a_3}$ (すなわち $\overrightarrow{OA_1} - \overrightarrow{OA_2} + \overrightarrow{OA_3}$)である。

解説

図形的な移動(点対称や平行移動)をベクトルの関係式に帰着させて証明する典型的な問題である。 「点 $A$ に関する点対称移動」は、移動前と移動後の点の中点が $A$ になるという定義を、位置ベクトルを用いて立式し機械的に代入を繰り返すだけで、最後まで見通しよく解くことができる。 一般に、点対称移動を偶数回合成すると平行移動になり、奇数回合成すると点対称移動になることが知られており、本問はその具体的な場合(2回の合成である $P_2$ への移動、3回である $P_3$、4回である $P_4$)を追体験する構造となっている。

答え

(1) (証明は解法1を参照) 理由:点 $P$ を $P_4$ にうつす平行移動のベクトルが $\overrightarrow{PP_4} = 2\overrightarrow{A_1A_2} + 2\overrightarrow{A_3A_4}$ と表され、$\overrightarrow{A_1A_2}$ と $\overrightarrow{A_3A_4}$ によって一意に定まるため。

(2) (証明は解法1を参照) 対称の中心の位置ベクトルは $\overrightarrow{OA_1} - \overrightarrow{OA_2} + \overrightarrow{OA_3}$ (ただし、$O$ は任意に定めた原点)

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