大阪大学 1988年 文系 第1問 解説

方針・初手
まずは与えられた数列 $a_n$ の定義に従い、シグマ計算を行って $a_n$ を $n$ の式として具体的に表す。その後、要求されている式 $\frac{a_m - a_n}{m - n}$ に代入し、因数分解を用いて式を整理する。(2) では、「すべての相異なる正の整数 $m, n$ について整数となる」という強い条件を利用する。具体的な $m, n$ の値を代入したり、$n$ を $1$ 増やしたときの差分をとったりすることで、$p$ が満たすべき条件を絞り込む。
解法1
(1) 与えられた $a_n$ の定義より、和を計算する。
$$ a_n = \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n (pk^2 + 2qk + r) $$
自然数の累乗の和の公式を用いる。
$$ \sum_{k=1}^n pk^2 = p \cdot \frac{n(n+1)(2n+1)}{6} $$
$$ \sum_{k=1}^n 2qk = 2q \cdot \frac{n(n+1)}{2} = qn(n+1) $$
$$ \sum_{k=1}^n r = rn $$
これらを代入して整理する。
$$ a_n = \frac{1}{n} \left\{ \frac{p}{6} n(n+1)(2n+1) + qn(n+1) + rn \right\} $$
$n$ は正の整数であるから、$n$ で割ることができる。
$$ a_n = \frac{p}{6} (n+1)(2n+1) + q(n+1) + r $$
展開してさらに整理する。
$$ a_n = \frac{p}{6} (2n^2 + 3n + 1) + q(n+1) + r $$
次に、分子となる $a_m - a_n$ を計算する。
$$ \begin{aligned} a_m - a_n &= \left\{ \frac{p}{6} (2m^2 + 3m + 1) + q(m+1) + r \right\} - \left\{ \frac{p}{6} (2n^2 + 3n + 1) + q(n+1) + r \right\} \\ &= \frac{p}{6} \{ 2(m^2 - n^2) + 3(m - n) \} + q(m - n) \\ &= \frac{p}{6} (m - n) \{ 2(m + n) + 3 \} + q(m - n) \end{aligned} $$
$m$ と $n$ は相異なる正の整数であるため、$m - n \neq 0$ である。両辺を $m - n$ で割る。
$$ \frac{a_m - a_n}{m - n} = \frac{p}{6} (2m + 2n + 3) + q $$
項を分けて記述すると以下のようになる。
$$ \frac{a_m - a_n}{m - n} = \frac{p}{3} (m + n) + \frac{p}{2} + q $$
(2) (1) で求めた式を $f(m, n)$ とおく。
$$ f(m, n) = \frac{p}{3} (m + n) + \frac{p}{2} + q $$
仮定より、すべての相異なる正の整数 $m, n$ について $f(m, n)$ は整数となる。 したがって、任意の相異なる正の整数 $m, n$ に対して、以下の差も整数である。
$$ f(m, n+1) - f(m, n) = \left\{ \frac{p}{3} (m + n + 1) + \frac{p}{2} + q \right\} - \left\{ \frac{p}{3} (m + n) + \frac{p}{2} + q \right\} $$
$$ f(m, n+1) - f(m, n) = \frac{p}{3} $$
これが整数となるため、$p$ は 3 の倍数である。
また、$m = 1, n = 2$ のとき、$f(1, 2)$ も整数である。
$$ f(1, 2) = \frac{p}{3} (1 + 2) + \frac{p}{2} + q = p + \frac{p}{2} + q $$
$p, q$ は整数であるため、$p + q$ は整数である。 $f(1, 2)$ が整数であることから、$\frac{p}{2}$ も整数でなければならない。 したがって、$p$ は 2 の倍数である。
以上より、$p$ は 2 の倍数であり、かつ 3 の倍数でもある。 2 と 3 は互いに素であるから、$p$ は 6 の倍数である。 すなわち、$p$ は 6 で割り切れる。
解説
シグマ計算を用いて一般項を正しく求め、式を整理する基本的な計算力が問われる問題である。(2) では、「すべての $m, n$ について整数になる」という条件の扱い方がポイントとなる。恒等式や整数の問題において、すべての変数について条件が成り立つ場合は、特定の値を代入したり、差分を考えたりして必要条件を導くのが定石である。本解法のように $f(m, n+1) - f(m, n)$ と変化量に注目することで、$m, n$ に依存しない定数 $\frac{p}{3}$ を直接取り出すことができ、見通しよく証明を進めることができる。
答え
(1)
$$ \frac{p(2m + 2n + 3)}{6} + q \quad \left( または \ \frac{p}{3}(m + n) + \frac{p}{2} + q \right) $$
(2) 与式が整数となる条件から $\frac{p}{3}$ および $\frac{p}{2}$ が整数であることを導き、$p$ が 2 と 3 の公倍数、すなわち 6 の倍数であることを示した。
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