大阪大学 2010年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) は絶対値を含む不等式の表す領域の図示である。$x \geqq 0, y \geqq 0$ の第1象限で領域を考え、それが $x$ 軸、$y$ 軸、原点に関して対称であることを利用して全体を図示するのが基本である。
(2) は確率と領域の融合問題である。$x, y$ はさいころの目の差であるため、整数の値しかとらないことに着目する。(1) で求めた領域に含まれる $(x, y)$ の整数の組(格子点)をすべて洗い出し、その値をとる確率をそれぞれ計算して足し合わせる。
解法1
(1)
与えられた不等式は、
$$ (|x| - 2)^2 + (|y| - 2)^2 \leqq 1 $$
である。
$x \geqq 0$ かつ $y \geqq 0$ のとき、不等式は、
$$ (x - 2)^2 + (y - 2)^2 \leqq 1 $$
となる。これは、点 $(2, 2)$ を中心とする半径 $1$ の円の内部および周を表す。
また、与式は $x$ を $-x$ に置き換えても、$y$ を $-y$ に置き換えても式が変化しないため、求める領域は $y$ 軸および $x$ 軸に関して対称である。
したがって、求める領域は第1象限にある円 $(x - 2)^2 + (y - 2)^2 \leqq 1$ を、$x$ 軸、$y$ 軸、原点に関してそれぞれ対称移動した図形を合わせたものになる。すなわち、4つの点 $(2, 2), (-2, 2), (-2, -2), (2, -2)$ をそれぞれ中心とする、半径 $1$ の4つの円の内部および周である。
これを図示すると、以下の4つの円とその内部(境界線を含む)となる。
- 第1象限:中心 $(2, 2)$、半径 $1$
- 第2象限:中心 $(-2, 2)$、半径 $1$
- 第3象限:中心 $(-2, -2)$、半径 $1$
- 第4象限:中心 $(2, -2)$、半径 $1$
(2)
$a_n$ はさいころの目であるから整数である。したがって、$x = a_1 - a_2$ および $y = a_3 - a_4$ も整数となる。
(1) の領域に含まれる点 $(x, y)$ のうち、座標がともに整数となるものを求める。$x, y$ は整数であるから、$|x|, |y|$ は $0$ 以上の整数であり、$(|x| - 2), (|y| - 2)$ も整数である。
整数の2乗の和が $1$ 以下となるのは、
$$ (|x| - 2)^2 + (|y| - 2)^2 = 0 \text{ または } 1 $$
のときである。
(i)
$(|x| - 2)^2 + (|y| - 2)^2 = 0$ のとき
$(|x| - 2)^2 = 0$ かつ $(|y| - 2)^2 = 0$ より、$|x| = 2$ かつ $|y| = 2$ である。
(ii)
$(|x| - 2)^2 + (|y| - 2)^2 = 1$ のとき
「$(|x| - 2)^2 = 1$ かつ $(|y| - 2)^2 = 0$」または「$(|x| - 2)^2 = 0$ かつ $(|y| - 2)^2 = 1$」である。
前者の場合、$|x| - 2 = \pm 1$ より $|x| = 1, 3$、かつ $|y| = 2$。 後者の場合、$|x| = 2$ かつ $|y| - 2 = \pm 1$ より $|y| = 1, 3$。
以上から、条件を満たす $(|x|, |y|)$ の組は、以下の5通りである。
$$ (|x|, |y|) = (2, 2), (1, 2), (3, 2), (2, 1), (2, 3) $$
次に、$a_1, a_2 \in \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}$ に対して、変数 $X = a_1 - a_2$ の絶対値 $|X|$ が $1, 2, 3$ となる確率を求める。さいころの目の出方は $6 \times 6 = 36$ 通りであり、これらは同様に確からしい。
$|X| = 1$ となるのは、$X = 1$ または $X = -1$ のとき。 $X = 1$ となる組 $(a_1, a_2)$ は $(2, 1), (3, 2), (4, 3), (5, 4), (6, 5)$ の5通り。 $X = -1$ となる組も対称性から5通り。 よって、$P(|X| = 1) = \frac{5 + 5}{36} = \frac{10}{36}$。
$|X| = 2$ となるのは、$X = 2$ または $X = -2$ のとき。 $X = 2$ となる組 $(a_1, a_2)$ は $(3, 1), (4, 2), (5, 3), (6, 4)$ の4通り。 $X = -2$ となる組も同様に4通り。 よって、$P(|X| = 2) = \frac{4 + 4}{36} = \frac{8}{36}$。
$|X| = 3$ となるのは、$X = 3$ または $X = -3$ のとき。 $X = 3$ となる組 $(a_1, a_2)$ は $(4, 1), (5, 2), (6, 3)$ の3通り。 $X = -3$ となる組も同様に3通り。 よって、$P(|X| = 3) = \frac{3 + 3}{36} = \frac{6}{36}$。
$x = a_1 - a_2$ と $y = a_3 - a_4$ は独立な試行から定まるため、事象の確率はそれぞれ独立に計算できる。
条件を満たすのは、 「$|x| = 2$ かつ $|y| \in \{1, 2, 3\}$」または「$|y| = 2$ かつ $|x| \in \{1, 3\}$」 という排反な事象である。
したがって、求める確率は、
$$ P(|x| = 2) \times \left\{ P(|y| = 1) + P(|y| = 2) + P(|y| = 3) \right\} + P(|y| = 2) \times \left\{ P(|x| = 1) + P(|x| = 3) \right\} $$
となる。$y$ の確率分布は $x$ と同一であるから、求めた値を代入して、
$$ \frac{8}{36} \times \left( \frac{10}{36} + \frac{8}{36} + \frac{6}{36} \right) + \frac{8}{36} \times \left( \frac{10}{36} + \frac{6}{36} \right) $$
$$ = \frac{8}{36} \times \frac{24}{36} + \frac{8}{36} \times \frac{16}{36} $$
$$ = \frac{192}{1296} + \frac{128}{1296} $$
$$ = \frac{320}{1296} $$
分母と分子を 16 で約分すると、
$$ \frac{20}{81} $$
となる。
解説
(1) は絶対値を含む方程式・不等式の基本形である。第1象限の図形を描き、対称移動を利用することで素早く正確に図形を把握できる。
(2) は確率と領域の融合問題であるが、$x, y$ が整数しかとらない離散的な値であることに気づけば、領域内の格子点を数え上げる問題に帰着できる。さいころの2つの目の差に関する確率分布は頻出であるため、数え上げを正確に行えるようにしておきたい。また、$x$ と $y$ が互いに独立であることを用いて、式を整理してから計算することで計算ミスを減らすことができる。
答え
(1)
4つの点 $(2, 2), (-2, 2), (-2, -2), (2, -2)$ をそれぞれ中心とする半径 $1$ の円の内部および周。
(2)
$\frac{20}{81}$
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