大阪大学 1963年 理系 第2問 解説

方針・初手
不等式 $ax^4 + x^2 - a^2 < 0$ は $x^2$ をひとかたまりと見ることができる複二次式です。 $X = x^2$ と置き換えることで、$X$ についての2次不等式に帰着させて考えるのが自然なアプローチです。このとき、$x$ の範囲 $-2 < x < 2$ が $X$ の範囲としてどのように言い換えられるかを正確に把握し、最高次係数 $a$ の符号によって場合分けを行います。 あるいは、不等式の解の境界となる値が方程式の解になることに着目し、必要条件から $a$ の値を絞り込んで十分性を確認するアプローチも非常に有効です。
解法1
$X = x^2$ とおくと、$x$ が実数全体を動くとき $X \ge 0$ である。 元の不等式は以下のように書き換えられる。
$$ aX^2 + X - a^2 < 0 $$
不等式を満たす $x$ の範囲が $-2 < x < 2$ となることは、不等式を満たす $X \ge 0$ の範囲が $0 \le X < 4$ となることと同値である。 $f(X) = aX^2 + X - a^2$ とおき、$a$ の値によって場合分けを行う。
(i) $a = 0$ のとき $f(X) = X$ となり、不等式 $X < 0$ を満たす $X \ge 0$ は存在しない。 よって、条件を満たさない。
(ii) $a < 0$ のとき $y = f(X)$ は上に凸の放物線である。 $X \to \infty$ のとき $f(X) \to -\infty$ となるため、$X$ が十分に大きいとき常に $f(X) < 0$ が成り立つ。 したがって、不等式を満たす $X \ge 0$ の範囲は上に有界にならず(無限に大きくなり得る)、$0 \le X < 4$ には一致しない。 よって、条件を満たさない。
(iii) $a > 0$ のとき $y = f(X)$ は下に凸の放物線である。 方程式 $f(X) = 0$ の2つの解を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とする。 解と係数の関係より、以下が成り立つ。
$$ \alpha\beta = \frac{-a^2}{a} = -a < 0 $$
これより、$\alpha < 0 < \beta$ であることがわかる。 $f(X) < 0$ を満たす $X$ の範囲は $\alpha < X < \beta$ であり、これと $X \ge 0$ をあわせると、満たすべき $X$ の範囲は $0 \le X < \beta$ となる。 これが $0 \le X < 4$ と一致すればよいので、$\beta = 4$ が必要十分である。 すなわち、$X = 4$ が $f(X) = 0$ の解になればよい。
$$ f(4) = a \cdot 4^2 + 4 - a^2 = 0 $$
整理すると、以下の2次方程式を得る。
$$ a^2 - 16a - 4 = 0 $$
これを解くと、以下のようになる。
$$ a = 8 \pm \sqrt{64 - (-4)} = 8 \pm 2\sqrt{17} $$
ここで、$8 = \sqrt{64} < \sqrt{68} = 2\sqrt{17}$ であるから、$8 - 2\sqrt{17} < 0$ である。 $a > 0$ を満たすのは $a = 8 + 2\sqrt{17}$ のみである。
解法2
不等式 $ax^4 + x^2 - a^2 < 0$ の解が $-2 < x < 2$ となるための必要条件を考える。 不等式の解の境界は $x = \pm 2$ であるから、$x = 2$ は方程式 $ax^4 + x^2 - a^2 = 0$ の解である必要がある。 $x = 2$ を代入すると、以下の式が成り立つ。
$$ 16a + 4 - a^2 = 0 $$
$$ a^2 - 16a - 4 = 0 $$
これを解いて、以下の $a$ の候補を得る。
$$ a = 8 \pm 2\sqrt{17} $$
次に、これらの $a$ が十分条件を満たすか(実際に不等式の解が $-2 < x < 2$ になるか)を確認する。 $a^2 = 16a + 4$ を用いて、元の不等式の左辺を因数分解する。
$$ \begin{aligned} ax^4 + x^2 - a^2 &= ax^4 + x^2 - (16a + 4) \\ &= a(x^4 - 16) + (x^2 - 4) \\ &= a(x^2 - 4)(x^2 + 4) + (x^2 - 4) \\ &= (x^2 - 4)\{a(x^2 + 4) + 1\} \\ &= (x^2 - 4)(ax^2 + 4a + 1) \end{aligned} $$
よって、元の不等式は以下と同値である。
$$ (x^2 - 4)(ax^2 + 4a + 1) < 0 $$
(i) $a = 8 + 2\sqrt{17}$ のとき $a > 0$ であるから、すべての実数 $x$ に対して $x^2 \ge 0$ より $ax^2 + 4a + 1 > 0$ が成り立つ。 両辺をこの正の数で割ることができ、不等式は $x^2 - 4 < 0$ と同値になる。 これを解くと $-2 < x < 2$ となり、条件を満たす。
(ii) $a = 8 - 2\sqrt{17}$ のとき $8 = \sqrt{64} < \sqrt{68} = 2\sqrt{17}$ より $a < 0$ である。 したがって、$x$ の絶対値が十分に大きいとき $ax^2 + 4a + 1 < 0$ となり、$(x^2 - 4)$ とともに負になるため積は正となってしまうなど、解が区間 $(-2, 2)$ のみに限定されることはない。 よって、条件を満たさない。
以上より、求める定数 $a$ の値は $a = 8 + 2\sqrt{17}$ である。
解説
複二次式($x^4$ と $x^2$ を含む式)の扱いの定石である「$X = x^2$ と置く」解法と、「境界値から必要条件を求めて十分性を確認する」解法の2つを示しました。 解法1では、最高次の係数 $a$ の符号によって放物線の向きが変わるため、丁寧に場合分けをすることがポイントです。特に $a < 0$ の場合、有限の開区間が解になることはあり得ないことを論理的に記述する必要があります。 解法2は、式変形により $(x^2-4)$ の因数をくくり出せることに気づけば、計算量も少なく非常にスマートに解答を導くことができます。入試本番でも見直しや時短に役立つ強力なアプローチです。
答え
$$ a = 8 + 2\sqrt{17} $$
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