大阪大学 1967年 理系 第1問 解説

方針・初手
数列 $\alpha^n + \beta^n$ が収束する条件を、$\alpha, \beta$ の絶対値の大小で場合分けをして求める。「等比数列の極限は、底の絶対値が最大の項でくくる」という基本方針に従う。 これにより $\alpha, \beta$ の満たすべき条件(実数の範囲)を明らかにし、それを2次方程式 $x^2 + px + q = 0$ の「解の配置問題(2次関数のグラフの条件)」に帰着させる。
解法1
$\alpha, \beta$ は2次方程式 $x^2+px+q=0$ の相異なる2実根であるから、$\alpha \neq \beta$ である。 一般性を失わず $|\alpha| \ge |\beta|$ とする。数列の一般項を $a_n = \alpha^n + \beta^n$ とおく。
(i) $|\alpha| > |\beta|$ のとき
$\alpha \neq 0$ であるから、次のように変形できる。
$$ a_n = \alpha^n \left\{ 1 + \left( \frac{\beta}{\alpha} \right)^n \right\} $$
仮定より $\left| \frac{\beta}{\alpha} \right| < 1$ であるため、$\lim_{n \to \infty} \left( \frac{\beta}{\alpha} \right)^n = 0$ となる。 したがって、$a_n$ が収束するための必要十分条件は、$\alpha^n$ が収束することである。 これを満たすのは $-1 < \alpha \le 1$ のときである。 このとき、仮定 $|\beta| < |\alpha|$ より $|\beta| < 1$ すなわち $-1 < \beta < 1$ も満たされる。 よって、この場合の条件は $-1 < \beta < \alpha \le 1$ である。
(ii) $|\alpha| = |\beta|$ のとき
$\alpha \neq \beta$ であるから $\beta = -\alpha$ である。また、$\alpha \neq 0$ である。
$$ a_n = \alpha^n + (-\alpha)^n = \alpha^n \{ 1 + (-1)^n \} $$
$n$ が奇数のとき $a_n = 0$、$n$ が偶数のとき $a_n = 2\alpha^n$ となる。 これが同じ値に収束するためには、$\lim_{n \to \infty} 2\alpha^n = 0$ であることが必要十分であり、これは $-1 < \alpha < 1$ (ただし $\alpha \neq 0$)のとき成り立つ。 このとき、$\beta = -\alpha$ より $-1 < \beta < 1$ も満たされる。 よって、この場合の条件は $-1 < \alpha, \beta < 1$ かつ $\alpha \neq \beta$ である。
(i), (ii) より、および $\alpha, \beta$ の対称性から、数列が収束するための必要十分条件は、$\alpha, \beta$ がともに $-1 < x \le 1$ の範囲にあり、かつ $\alpha \neq \beta$ であることとわかる。 すなわち、2次方程式 $x^2 + px + q = 0$ が $-1 < x \le 1$ の範囲に相異なる2つの実数解をもつことである。
$f(x) = x^2 + px + q$ とおく。 これが $-1 < x \le 1$ に相異なる2つの実数解をもつための条件は、以下の4つをすべて満たすことである。
- 判別式 $D = p^2 - 4q > 0$
- 軸の位置 $x = -\frac{p}{2}$ について、$-1 < -\frac{p}{2} < 1$
- $f(-1) > 0$
- $f(1) \ge 0$
それぞれを整理すると、以下の不等式を得る。
$$ q < \frac{p^2}{4} $$
$$ -2 < p < 2 $$
$$ q > p - 1 $$
$$ q \ge -p - 1 $$
これらの不等式が表す領域の境界線について調べる。 放物線 $q = \frac{p^2}{4}$ と直線 $q = -p - 1$ の交点は、$\frac{p^2}{4} = -p - 1$ より $(p+2)^2 = 0$ だから点 $(-2, 1)$ で接する。 放物線 $q = \frac{p^2}{4}$ と直線 $q = p - 1$ の交点は、$\frac{p^2}{4} = p - 1$ より $(p-2)^2 = 0$ だから点 $(2, 1)$ で接する。 2直線 $q = -p - 1$ と $q = p - 1$ の交点は、$-p - 1 = p - 1$ より点 $(0, -1)$ である。
境界線のうち、等号を含むのは $q \ge -p - 1$ のみである。 直線 $q = -p - 1$ 上にある点が領域に含まれる条件は、他の2つの不等式 $q < \frac{p^2}{4}$ と $q > p - 1$ を満たすことである。 $q = -p - 1$ を代入すると、
$$ -p - 1 < \frac{p^2}{4} \iff (p+2)^2 > 0 \iff p \neq -2 $$
$$ -p - 1 > p - 1 \iff 2p < 0 \iff p < 0 $$
したがって、境界線として含まれるのは直線 $q = -p - 1$ 上のうち $-2 < p < 0$ の部分である。
解説
数列の極限と2次方程式の解の配置問題が融合された典型的な良問である。 前半の極限の処理では、「絶対値が最大の項でくくる」という定石を用いて、2実根が満たすべき値の範囲を特定する。ここで $\alpha, \beta$ の絶対値が等しい場合($\alpha = -\beta$)の収束条件を正しく処理できるかがポイントとなる。 後半の解の配置問題では、区間の端点($x=1$)が条件に含まれるため、$f(1) \ge 0$ と等号が入ることに注意が必要である。この等号によって境界線の一部が領域に含まれることになり、正確に境界の有無を判定する力が問われる。
答え
点 $(p, q)$ の存在範囲は、以下の4つの不等式を同時に満たす領域である。
$$ -2 < p < 2 $$
$$ q < \frac{p^2}{4} $$
$$ q > p - 1 $$
$$ q \ge -p - 1 $$
これを $pq$ 平面上に図示すると、$-2 < p < 2$ の範囲で、放物線 $q = \frac{p^2}{4}$ の下側、直線 $q = p - 1$ の上側、直線 $q = -p - 1$ の上側にある部分となる。 境界線については、直線 $q = -p - 1$ 上の $-2 < p < 0$ の部分のみを含み、それ以外の境界線(放物線 $q = \frac{p^2}{4}$、直線 $q = p - 1$、点 $(0, -1)$、および点 $(-2, 1), (2, 1)$)は含まない。
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