大阪大学 1970年 理系 第3問 解説

方針・初手
立方体を座標空間に置き、具体的な座標を設定して切り口の図形を調べる。立方体の向かい合う平行な面が1つの平面と交わってできる交線は互いに平行になるという性質を利用して切り口の頂点を求め、ベクトルの内積や長さを用いて長方形やひし形になる条件を計算する。
解法1
立方体の1辺の長さを $1$ とし、頂点 $A$ を原点 $(0,0,0)$ にとる。 $A$ と $B$ は同一面上にないため、$B$ は $A$ から最も遠い頂点 $(1,1,1)$ となる。 線分 $CD$ は $A, B$ を含まない辺である。立方体の対称性から、辺 $CD$ を両端が $C(1,0,0), D(1,1,0)$ の線分としても一般性を失わない。 このとき、辺 $CD$ 上の点 $P$ は、媒介変数 $t$ ($0 \leqq t \leqq 1$) を用いて $P(1, t, 0)$ と表せる。
$A, P, B$ を通る平面と立方体の面の交わりを考える。 面 $z=0$ における交線は線分 $AP$ である。 立方体の向かい合う平行な平面が1つの平面と交わってできる交線は互いに平行になる。したがって、面 $z=1$ における交線は $AP$ と平行であり、かつ点 $B(1,1,1)$ を通る。 点 $B$ から方向ベクトル $\vec{AP} = (1, t, 0)$ と逆向きに伸ばした直線を考えると、面 $x=0$ と交わる点 $Q$ は
$$ \vec{OQ} = \vec{OB} - \vec{AP} = (1, 1, 1) - (1, t, 0) = (0, 1-t, 1) $$
となる。点 $Q$ は $0 \leqq 1-t \leqq 1$ を満たすため、確かに面 $x=0$ 上(具体的には線分 $(0,0,1)$ と $(0,1,1)$ を結ぶ辺上)に存在する。 よって、切り口の図形は 4点 $A, P, B, Q$ を順に結んだ四角形となる。 ここで、$\vec{AP} = (1, t, 0)$、$\vec{QB} = \vec{OB} - \vec{OQ} = (1, t, 0)$ より $\vec{AP} = \vec{QB}$ であるから、四角形 $APBQ$ は一般に 平行四辺形 である。
(i) 切り口が長方形になる条件
平行四辺形 $APBQ$ が長方形になるのは、隣り合う辺が直交するとき、すなわち $\vec{AP} \cdot \vec{AQ} = 0$ のときである。
$$ \vec{AQ} = (0, 1-t, 1) $$
より、内積を計算すると
$$ \vec{AP} \cdot \vec{AQ} = 1 \cdot 0 + t(1-t) + 0 \cdot 1 = t(1-t) $$
したがって、$t(1-t) = 0$ より $t = 0$ または $t = 1$ となる。 $t = 0$ のとき点 $P$ は $C(1,0,0)$ に一致し、$t = 1$ のとき点 $P$ は $D(1,1,0)$ に一致する。 よって、点 $P$ が 頂点 $C, D$ にあれば長方形になる。
(ii) 切り口がひし形になる条件
平行四辺形 $APBQ$ がひし形になるのは、隣り合う辺の長さが等しいとき、すなわち $|\vec{AP}|^2 = |\vec{AQ}|^2$ のときである。
$$ |\vec{AP}|^2 = 1^2 + t^2 + 0^2 = t^2 + 1 $$
$$ |\vec{AQ}|^2 = 0^2 + (1-t)^2 + 1^2 = t^2 - 2t + 2 $$
これらが等しいので、
$$ t^2 + 1 = t^2 - 2t + 2 $$
$$ 2t = 1 \iff t = \frac{1}{2} $$
これは点 $P$ が線分 $CD$ の中点であることを意味する。 よって、点 $P$ が 辺 $CD$ の中点 にあればひし形になる。
解法2
立方体の中心 $M$ を原点 $\text{O}$ とする位置ベクトルで考える。 $A, B$ は中心に関して点対称な位置にあるため、$\vec{OA} = \vec{a}$ とおくと $\vec{OB} = -\vec{a}$ である。 平面 $PAB$ は原点 $O$ を通る。 点 $P$ の原点 $O$ に関する対称点を $Q$ とすると、平面は $O$ を通るため、点 $Q$ も切り口の平面上にあり、かつ立方体の表面上にある。 したがって、切り口は四角形 $APBQ$ となる。 四角形 $APBQ$ は、対角線 $AB$ と $PQ$ がそれぞれの中点 $O$ で交わるため、常に 平行四辺形 である。
(i) 切り口が長方形になる条件
平行四辺形が長方形になるのは、対角線の長さが等しいときである。
$$ |\vec{AB}| = |\vec{PQ}| \iff 2|\vec{OA}| = 2|\vec{OP}| \iff |\vec{OA}| = |\vec{OP}| $$
点 $P$ は辺 $CD$ 上にある。立方体の中心 $O$ から頂点までの距離はすべて等しく、中心から辺上の点までの距離は、その点が頂点のときに最大となる。 $|\vec{OA}|$ は中心から頂点までの距離であるため、$|\vec{OP}|$ がこれと等しくなるのは、点 $P$ が立方体の頂点にあるときに限られる。 辺 $CD$ 上の頂点は $C$ と $D$ のみであるから、点 $P$ が 頂点 $C, D$ にあるとき長方形になる。
(ii) 切り口がひし形になる条件
平行四辺形がひし形になるのは、対角線が直交するときである。$\vec{OP} = \vec{p}$ とおくと、
$$ \vec{AB} \cdot \vec{PQ} = 0 \iff (-2\vec{a}) \cdot (-2\vec{p}) = 0 \iff \vec{a} \cdot \vec{p} = 0 $$
ここで、立方体の各面が座標平面に平行になり、中心が原点となるように座標軸をとる。立方体の1辺の長さを $2$ とすると、各頂点の座標は $(\pm 1, \pm 1, \pm 1)$ と表せる。 頂点 $A$ の位置ベクトルを $\vec{a} = (-1, -1, -1)$ としても一般性を失わない。 辺 $CD$ は $A, B$ を含まない辺であるから、例えば $C(1, -1, -1)$ と $D(1, 1, -1)$ を結ぶ線分としてよい。 このとき $\vec{p} = (1, t, -1)$ ($-1 \leqq t \leqq 1$) とおける。
$$ \vec{a} \cdot \vec{p} = (-1)\cdot 1 + (-1)\cdot t + (-1)\cdot(-1) = -t $$
よって $\vec{a} \cdot \vec{p} = 0$ となるのは $t = 0$ のときである。 これは点 $P$ が線分 $CD$ の中点であることを意味する。したがって、点 $P$ が 辺 $CD$ の中点 にあればひし形になる。
解説
空間図形の切り口を考える際、「平行な2平面が第3の平面と交わるとき、2つの交線は平行になる」という性質を用いると、切断面の頂点を容易に見つけることができる。また、立方体のように対称性の高い図形では、中心を原点にとるベクトル(解法2)を考えることで、対角線の性質から長方形・ひし形の条件を極めて簡潔に処理することが可能である。
答え
順に、 平行四辺形,頂点 $C, D$(または 辺 $CD$ の両端),辺 $CD$ の中点
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