トップ 大阪大学 2012年 理系 第3問

大阪大学 2012年 理系 第3問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形数学3/積分法テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
大阪大学 2012年 理系 第3問 解説

方針・初手

立体 $V_A$ と $V_B$ の平面 $z = \cos\theta$ による切り口をそれぞれ図示し、共通部分 $V$ の切り口の面積を求める。ベクトル方程式の意味から、各切り口は半径 $1$ の円板になることがわかるため、その中心座標を調べて2円の共通部分の面積の計算に帰着させる。その後、得られた断面積を $z$ 方向に積分して体積を求める。

解法1

(1)

点 $Q$ は円 $W$ の周および内部を動くため、ベクトル $\overrightarrow{OQ}$ の終点は、平面 $z=0$ 上にある原点中心、半径 $1$ の円板を形成する。 条件の $\overrightarrow{OR} = \overrightarrow{OP} + \overrightarrow{OQ}$ は、この円板をベクトル $\overrightarrow{OP}$ に沿って平行移動させたものが点 $R$ の集合であることを意味する。

点 $P$ が線分 $OA$ 上を動くとき、$\overrightarrow{OP} = t\overrightarrow{OA} = (t, 0, t)$ ($0 \leqq t \leqq 1$) とおける。 このとき、点 $R$ の $z$ 座標は $t$ となる。よって、立体 $V_A$ を平面 $z=t$ で切った断面は、点 $(t, 0, t)$ を中心とする半径 $1$ の円板である。 $t = \cos\theta$ $\left(0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}\right)$ とすると、$0 \leqq \cos\theta \leqq 1$ を満たす。平面 $z=\cos\theta$ による立体 $V_A$ の切り口を $D_A$ とすると、これは $z=\cos\theta$ 上において点 $(\cos\theta, 0, \cos\theta)$ を中心とする半径 $1$ の円板となる。

同様に、点 $P$ が線分 $OB$ 上を動くとき、$\overrightarrow{OP} = u\overrightarrow{OB} = (0, \sqrt{3}u, u)$ ($0 \leqq u \leqq 1$) とおける。 平面 $z=u$ で切った断面は、点 $(0, \sqrt{3}u, u)$ を中心とする半径 $1$ の円板である。 $u = \cos\theta$ としたとき、平面 $z=\cos\theta$ による立体 $V_B$ の切り口 $D_B$ は、$z=\cos\theta$ 上において点 $(0, \sqrt{3}\cos\theta, \cos\theta)$ を中心とする半径 $1$ の円板となる。

立体 $V$ は $V_A$ と $V_B$ の共通部分であるから、その平面 $z=\cos\theta$ による切り口は、$D_A$ と $D_B$ の共通部分となる。 $z=\cos\theta$ 上における $D_A$ と $D_B$ の中心間の距離 $d$ は、

$$ d = \sqrt{(\cos\theta - 0)^2 + (0 - \sqrt{3}\cos\theta)^2} = \sqrt{4\cos^2\theta} = 2\cos\theta $$

となる。($0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$ より $\cos\theta \geqq 0$ である)

中心間距離が $2\cos\theta \leqq 2$ であり、各円の半径は $1$ であるため、2つの円は重なりを持つ。 2つの円の交点と、各円の中心とを結んでできる四角形は、すべての辺の長さが $1$ のひし形となる。 このひし形の対角線の長さの半分は、中心間距離の半分である $\cos\theta$ と、直角三角形の辺の長さの関係から導かれる $\sqrt{1^2 - \cos^2\theta} = \sin\theta$ である。($0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$ より $\sin\theta \geqq 0$) したがって、辺の比から、交点と円の中心とを結んでできる扇形の中心角は $2\theta$ となる。

求める切り口の面積 $S(\theta)$ は、半径 $1$、中心角 $2\theta$ の扇形2つ分の面積の和から、重なって2回足されたひし形の面積を引いたものである。 ひし形の面積は、2つの対角線の長さを掛け合わせて半分にしたものであるから、

$$ S(\theta) = 2 \times \left(\frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot 2\theta\right) - \frac{1}{2} \times (2\cos\theta) \times (2\sin\theta) $$

$$ S(\theta) = 2\theta - 2\sin\theta\cos\theta = 2\theta - \sin 2\theta $$

(2)

立体 $V$ の体積を $U$ とすると、体積は断面積を $z$ 方向に $0$ から $1$ まで積分して求められる。

$$ U = \int_{0}^{1} (\text{断面積}) dz $$

断面積は $z=\cos\theta$ のとき $S(\theta)$ である。 $z = \cos\theta$ とおくと、$dz = -\sin\theta d\theta$ であり、積分区間は $z$ が $0$ から $1$ に変化するとき、$\theta$ は $\frac{\pi}{2}$ から $0$ へ変化する。

$$ U = \int_{\frac{\pi}{2}}^{0} S(\theta) (-\sin\theta) d\theta = \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} (2\theta - \sin 2\theta) \sin\theta d\theta $$

この積分を2つの項に分けて計算する。第1項は部分積分を用いる。

$$ \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} 2\theta \sin\theta d\theta = \left[ -2\theta\cos\theta \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}} - \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} (-2\cos\theta) d\theta $$

$$ = 0 + 2\left[ \sin\theta \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}} = 2 $$

第2項は $\sin 2\theta = 2\sin\theta\cos\theta$ を用いて計算する。

$$ \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin 2\theta \sin\theta d\theta = \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} 2\sin^2\theta \cos\theta d\theta $$

$$ = \left[ \frac{2}{3}\sin^3\theta \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}} = \frac{2}{3} $$

したがって、立体 $V$ の体積は、

$$ U = 2 - \frac{2}{3} = \frac{4}{3} $$

解説

空間図形における共通部分の体積を求める典型的な問題である。与えられたベクトルの式を「円板の中心が線分上を動いたときの軌跡(斜円柱のような立体)」と幾何学的に読み替えられるかが鍵となる。断面積を求める際は、誘導に従って $z$ の代わりに $\theta$ を用いて中心間距離を表すことで、2つの円の共通部分の面積を容易に計算できる。その後の置換積分と部分積分は標準的であり、最後まで正確に計算し切る力が求められる。

答え

(1)

$2\theta - \sin 2\theta$

(2)

$\frac{4}{3}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。