大阪大学 1998年 理系 第1問 解説

方針・初手
座標平面上の点 $(0,0)$ から $(X,Y)$($X, Y$ は正の整数)までを結ぶ、単調に増加する連続な曲線 $y=f(x)$ が格子辺と交わる回数を、曲線が内部で通る格子点の個数 $k$ を用いて表すことを考える。 曲線と縦線・横線との交点のうち、「格子点でないもの」が格子辺との交点となることに着目し、(1) と (2) を統一的に処理する。
解法1
まず、問題の曲線を一般化して格子辺と交わる回数を求める。 点 $(0,0)$ と点 $(X,Y)$($X, Y$ は正の整数)を結ぶ、単調に増加する連続な曲線 $C: y = f(x)$ を考える。 曲線 $C$ が $0 < x < X$ の範囲において通る格子点の個数を $k$ とおく。
- 直線 $x=1, 2, \dots, X-1$ と曲線 $C$ との交点は $X-1$ 個ある。このうち、交点が格子点であるものが $k$ 個、そうでないものが $(X-1)-k$ 個である。格子点でない交点は、縦の格子辺上にある。
- 直線 $y=1, 2, \dots, Y-1$ と曲線 $C$ との交点は $Y-1$ 個ある。このうち、交点が格子点であるものが $k$ 個、そうでないものが $(Y-1)-k$ 個である。格子点でない交点は、横の格子辺上にある。
交点が格子点となる場合、格子辺は両端を含まない線分であるため、縦の格子辺とも横の格子辺とも交わらない。また、縦の格子辺と横の格子辺が重複することはない。 また、端点 $x=0, X$ は格子点であるから格子辺とは交わらない。 したがって、曲線 $C$ が交わる格子辺の総数は、
$$ \{(X-1)-k\} + \{(Y-1)-k\} = X+Y-2-2k \text{ (個)} $$
となる。 本問では、原点 $(0,0)$ と点 $P(630, 5400)$ を結ぶ単調増加な曲線であるから、$X=630, Y=5400$ を代入し、交わる格子辺の数は
$$ 630 + 5400 - 2 - 2k = 6028 - 2k \text{ (個)} $$
となる。以下、$0 < x < 630$ の範囲で曲線上の点が格子点となる個数 $k$ を求める。
(1)
直線 $y = ax$ が点 $P(630, 5400)$ を通るから、
$$ 5400 = a \cdot 630 $$
これより $a = \frac{60}{7}$ となり、直線の方程式は $y = \frac{60}{7}x$ である。 $y$ が整数となるのは $x$ が $7$ の倍数のときであるから、$m$ を整数として $x = 7m$ と表せる。 $0 < x < 630$ の範囲にあるものを考えると、
$$ 0 < 7m < 630 $$
$$ 0 < m < 90 $$
これを満たす整数 $m$ は $1, 2, \dots, 89$ の $89$ 個ある。 よって $k=89$ であり、交わる格子辺の数は、
$$ 6028 - 2 \times 89 = 5850 \text{ (個)} $$
(2)
曲線 $y = bx^n$ が点 $P(630, 5400)$ を通るから、
$$ 5400 = b \cdot 630^n $$
これより $b = \frac{5400}{630^n}$ となり、曲線の方程式は
$$ y = 5400 \left(\frac{x}{630}\right)^n $$
である。ここで、数値を素因数分解すると $5400 = 2^3 \cdot 3^3 \cdot 5^2$、$630 = 2 \cdot 3^2 \cdot 5 \cdot 7$ であるから、
$$ y = \frac{2^3 \cdot 3^3 \cdot 5^2}{2^n \cdot 3^{2n} \cdot 5^n \cdot 7^n} x^n $$
となる。$y$ が整数となるためには、各素因数について分子の指数が分母の指数以上にならなければならない。 $x$ がもつ素因数 $p$ の指数を $e_p \geqq 0$ とおくと、以下の条件を満たす必要がある。
- 素因数 $2$について: $3 + n e_2 \geqq n \iff e_2 \geqq 1 - \frac{3}{n}$
- 素因数 $3$について: $3 + n e_3 \geqq 2n \iff e_3 \geqq 2 - \frac{3}{n}$
- 素因数 $5$について: $2 + n e_5 \geqq n \iff e_5 \geqq 1 - \frac{2}{n}$
- 素因数 $7$について: $n e_7 \geqq n \iff e_7 \geqq 1$
$n$ の値によって右辺の切り上げ値が変化するため、以下のように場合分けを行う。
(i) $n = 2$ のとき
不等式はそれぞれ $e_2 \geqq -0.5$、$e_3 \geqq 0.5$、$e_5 \geqq 0$、$e_7 \geqq 1$ となる。 $e_p$ は非負整数であるから、最小の指数は $e_2=0, e_3=1, e_5=0, e_7=1$ となる。 したがって $x$ は $3^1 \cdot 7^1 = 21$ の倍数であればよい。 $0 < x < 630$ の範囲において $21$ の倍数は $29$ 個($21 \times 1 \dots 21 \times 29$)あるので、$k=29$。 交わる格子辺の数は、
$$ 6028 - 2 \times 29 = 5970 \text{ (個)} $$
(ii) $n = 3$ のとき
不等式はそれぞれ $e_2 \geqq 0$、$e_3 \geqq 1$、$e_5 \geqq \frac{1}{3}$、$e_7 \geqq 1$ となる。 最小の非負整数は $e_2=0, e_3=1, e_5=1, e_7=1$ となる。 したがって $x$ は $3^1 \cdot 5^1 \cdot 7^1 = 105$ の倍数であればよい。 $0 < x < 630$ の範囲において $105$ の倍数は $5$ 個あるので、$k=5$。 交わる格子辺の数は、
$$ 6028 - 2 \times 5 = 6018 \text{ (個)} $$
(iii) $n \geqq 4$ のとき
$n \geqq 4$ より $0 < 1 - \frac{3}{n} < 1$、$1 < 2 - \frac{3}{n} < 2$、$0 < 1 - \frac{2}{n} < 1$ であるから、 不等式を満たす最小の非負整数は $e_2=1, e_3=2, e_5=1, e_7=1$ となる。 したがって $x$ は $2^1 \cdot 3^2 \cdot 5^1 \cdot 7^1 = 630$ の倍数であればよい。 $0 < x < 630$ の範囲において $630$ の倍数は存在しないため、$k=0$。 交わる格子辺の数は、
$$ 6028 - 2 \times 0 = 6028 \text{ (個)} $$
解説
「格子辺と交わる回数」という幾何学的な設定を、縦線・横線との交点を利用して「内部の格子点を通る回数」という整数問題の条件に帰着できるかが最大のポイントである。 (2) は具体的な方針が見えづらい難問であるが、約分の条件を「各素因数の指数」の不等式として定式化することで、$n=2$、$n=3$、$n \geqq 4$ の3つのパターンで整数となる条件(必要な倍数)が変化することを見通しよく導き出すことができる。
答え
(1)
5850 個
(2)
- $n = 2$ のとき 5970 個
- $n = 3$ のとき 6018 個
- $n \geqq 4$ のとき 6028 個
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