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大阪大学 1975年 理系 第1問 解説

数学C/複素数平面数学2/複素数と方程式数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
大阪大学 1975年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) については、$a > 1$ という条件のもとで与えられた2次方程式を解の公式を用いて解き、解の実部と虚部をそれぞれ $X, Y$ とおいて $a$ を消去することで軌跡の方程式を導く。その際、$a > 1$ から生じる $X$(または $Y$)の変域に注意する。

(2) については、方程式を解いて点 $C, D$ の座標を求める。$A, B$ が実軸に関して対称であり、$C, D$ が実軸上の点であることから、4点が同一円周上にあるとすれば、その円の中心は実軸上にあると予想できる。そこで、$C, D$ を直径の両端とする円の方程式を求め、それに $A, B$ が乗ることを示す方針が簡明である。あるいは、幾何的に「方べきの定理の逆」を利用してもよい。

解法1

(1)

$a > 1$ のとき、2次方程式 $ax^2 - 2x + a = 0$ の判別式を $D_1$ とすると、

$$ \frac{D_1}{4} = (-1)^2 - a \cdot a = 1 - a^2 < 0 $$

したがって、この方程式は互いに共役な2つの虚数解をもつ。解の公式より、

$$ x = \frac{1 \pm \sqrt{1 - a^2}}{a} = \frac{1}{a} \pm i \frac{\sqrt{a^2 - 1}}{a} $$

これらが複素平面上の点 $A, B$ に対応するので、その座標を $(X, Y)$ とおくと、

$$ X = \frac{1}{a}, \quad Y = \pm \frac{\sqrt{a^2 - 1}}{a} $$

と表せる。ここで、$a > 1$ より $X$ のとり得る値の範囲は、

$$ 0 < X < 1 $$

である。また、$X^2 + Y^2$ を計算すると、

$$ \begin{aligned} X^2 + Y^2 &= \left( \frac{1}{a} \right)^2 + \left( \pm \frac{\sqrt{a^2 - 1}}{a} \right)^2 \\ &= \frac{1}{a^2} + \frac{a^2 - 1}{a^2} \\ &= 1 \end{aligned} $$

したがって、点 $A, B$ は原点を中心とする半径 $1$ の円のうち、$0 < X < 1$ の部分を描く。

(2)

2次方程式 $x^2 - 2ax + 1 = 0$ について、判別式を $D_2$ とすると、

$$ \frac{D_2}{4} = (-a)^2 - 1 = a^2 - 1 > 0 \quad (\because a > 1) $$

したがって、この方程式は異なる2つの実数解をもつ。解の公式より、

$$ x = a \pm \sqrt{a^2 - 1} $$

これが点 $C, D$ に対応するので、これらは実軸上の点であり、座標は $(a + \sqrt{a^2 - 1}, 0)$ と $(a - \sqrt{a^2 - 1}, 0)$ である。

これら2点 $C, D$ の中点は $(a, 0)$ であり、2点間の距離の半分(半径)は $\sqrt{a^2 - 1}$ であるから、$C, D$ を直径の両端とする円の方程式は、

$$ (x - a)^2 + y^2 = a^2 - 1 $$

となる。この円の方程式の左辺に、(1) で求めた $A, B$ の座標 $(x, y) = \left( \frac{1}{a}, \pm \frac{\sqrt{a^2 - 1}}{a} \right)$ を代入すると、

$$ \begin{aligned} (x - a)^2 + y^2 &= \left( \frac{1}{a} - a \right)^2 + \left( \pm \frac{\sqrt{a^2 - 1}}{a} \right)^2 \\ &= \left( \frac{1 - a^2}{a} \right)^2 + \frac{a^2 - 1}{a^2} \\ &= \frac{a^4 - 2a^2 + 1}{a^2} + \frac{a^2 - 1}{a^2} \\ &= \frac{a^4 - a^2}{a^2} \\ &= a^2 - 1 \end{aligned} $$

これは右辺と一致する。よって、点 $A, B$ は $C, D$ を直径の両端とする円上にある。 以上より、4点 $A, B, C, D$ は同一の円周上にある。(証明終)

解法2

((2) について、方べきの定理の逆を用いる解法)

$A, B$ を表す複素数をそれぞれ $\alpha, \bar{\alpha}$、$C, D$ を表す実数をそれぞれ $\gamma, \delta$ とする。解と係数の関係より、以下が成り立つ。

$$ \alpha + \bar{\alpha} = \frac{2}{a}, \quad \alpha \bar{\alpha} = 1 $$

$$ \gamma + \delta = 2a, \quad \gamma \delta = 1 $$

点 $A, B$ を結ぶ線分は実軸に垂直であり、実軸との交点を $H$ とすると、$H$ に対応する実数 $h$ は $A$ の実部と等しくなるため、

$$ h = \frac{\alpha + \bar{\alpha}}{2} = \frac{1}{a} $$

である。ここで、実軸上にある線分 $CD$ と点 $H$ について、線分の長さの積 $HC \cdot HD$ を計算する。

$$ \begin{aligned} HC \cdot HD &= |(\gamma - h)(\delta - h)| \\ &= \left| \gamma \delta - h(\gamma + \delta) + h^2 \right| \\ &= \left| 1 - \frac{1}{a} \cdot 2a + \frac{1}{a^2} \right| \\ &= \left| -1 + \frac{1}{a^2} \right| \end{aligned} $$

$a > 1$ より $\frac{1}{a^2} < 1$ であるから、絶対値を外すと、

$$ HC \cdot HD = 1 - \frac{1}{a^2} $$

となる。一方、線分 $AB$ と点 $H$ について、線分の長さの積 $HA \cdot HB$ を計算する。$H$ は $A, B$ の実部であるから、$\alpha - h$ は純虚数であり、

$$ \begin{aligned} HA \cdot HB &= |\alpha - h| |\bar{\alpha} - h| \\ &= \left| (\alpha - h)(\bar{\alpha} - h) \right| \\ &= \left| \alpha \bar{\alpha} - h(\alpha + \bar{\alpha}) + h^2 \right| \\ &= \left| 1 - \frac{1}{a} \cdot \frac{2}{a} + \frac{1}{a^2} \right| \\ &= \left| 1 - \frac{1}{a^2} \right| \\ &= 1 - \frac{1}{a^2} \end{aligned} $$

したがって、$HA \cdot HB = HC \cdot HD$ が成り立つ。 線分 $AB$ と $CD$ は点 $H$ で交わる2つの弦とみなせるため、方べきの定理の逆により、4点 $A, B, C, D$ は同一円周上にある。(証明終)

解説

複素平面上の点の軌跡と共円条件を問う標準的な問題である。

(1) は、方程式を解いて実部・虚部を $a$ で媒介変数表示し、それを消去するという定石通りの手順で解決する。その際、$a > 1$ という条件から図形の存在範囲(変域)を忘れずに求めることが最大のポイントである。

(2) は、4点の対称性に気づけるかどうかが鍵となる。$A, B$ は実軸に関して対称な位置にあり、$C, D$ は実軸上の点であるため、4点を通る円の中心は必ず実軸上に存在する。したがって、実軸上の点である $C, D$ を直径とする円を想定し、それに $A, B$ が乗ることを計算で示す解法1が、最も自然かつ計算量も少なく済む。

また、解法2のように複素数平面上の距離計算を用いて「方べきの定理の逆」に帰着させる幾何的なアプローチも、図形的性質を見抜く上で非常に有効である。

答え

(1)

原点を中心とする半径 $1$ の円のうち、実部 $x$ が $0 < x < 1$ を満たす部分。

(2)

証明略(解法参照)

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