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大阪大学 2016年 理系 第1問 解説

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大阪大学 2016年 理系 第1問 解説

方針・初手

与えられた関数の条件 (ア), (イ), (ウ) を用いて、関数 $f_n(x)$ を具体的に書き下し、その規則性を把握することから始める。計算を簡略化するため、$c = \frac{1}{a} + \frac{1}{b}$ と置き換えて関数の変化を追うと見通しがよい。

解法1

$c = \frac{1}{a} + \frac{1}{b}$ とおく。条件 (イ), (ウ) は次のように表せる。

$$ f_{2n}(x) = f_{2n-1}(c - x) $$

$$ f_{2n+1}(x) = f_{2n}(-x) $$

条件 (ア) より $f_1(x) = \sin(\pi x)$ であるから、順に $n=1, 2$ の場合を計算する。

$$ f_2(x) = f_1(c-x) = \sin(\pi(c-x)) $$

$$ f_3(x) = f_2(-x) = \sin(\pi(c-(-x))) = \sin(\pi(c+x)) $$

$$ f_4(x) = f_3(c-x) = \sin(\pi(c+(c-x))) = \sin(\pi(2c-x)) $$

$$ f_5(x) = f_4(-x) = \sin(\pi(2c-(-x))) = \sin(\pi(2c+x)) $$

ここから、自然数 $k$ に対して以下の一般項が推測できる。

$$ f_{2k-1}(x) = \sin(\pi((k-1)c + x)) $$

$$ f_{2k}(x) = \sin(\pi(kc - x)) $$

これを数学的帰納法によって示す。

(i)

$k=1$ のとき $f_1(x) = \sin(\pi(0 \cdot c + x)) = \sin(\pi x)$、$f_2(x) = \sin(\pi(c-x))$ となり、推測は成り立つ。

(ii)

$k=m$ のとき $f_{2m-1}(x) = \sin(\pi((m-1)c + x))$ と $f_{2m}(x) = \sin(\pi(mc - x))$ が成り立つと仮定する。 $k=m+1$ について考えると、与えられた漸化式より以下のように変形できる。

$$ f_{2m+1}(x) = f_{2m}(-x) = \sin(\pi(mc - (-x))) = \sin(\pi(mc + x)) $$

$$ f_{2(m+1)}(x) = f_{2m+1}(c-x) = \sin(\pi(mc + (c-x))) = \sin(\pi((m+1)c - x)) $$

したがって、$k=m+1$ のときも推測は成り立つ。 (i), (ii) より、すべての自然数 $k$ で推測は正しい。

(1) $a=2, b=3$ のとき、$c = \frac{1}{2} + \frac{1}{3} = \frac{5}{6}$ である。 求める値 $f_5(0)$ は、$k=3$ のときの $f_{2k-1}(x)$ に $x=0$ を代入したものなので、

$$ f_5(0) = \sin(\pi(2c + 0)) = \sin(2\pi c) = \sin\left(2\pi \cdot \frac{5}{6}\right) = \sin\left(\frac{5}{3}\pi\right) = -\frac{\sqrt{3}}{2} $$

(2) $a=1, b=6$ のとき、$c = 1 + \frac{1}{6} = \frac{7}{6}$ である。 求める和の各項は次のように変形できる。

$$ f_{2k}(0) = \sin(\pi k c) = \sin\left(\frac{7}{6}k\pi\right) = \sin\left(k\pi + \frac{k}{6}\pi\right) = (-1)^k \sin\left(\frac{k}{6}\pi\right) $$

したがって、和の一般項は以下のように簡略化される。

$$ (-1)^k f_{2k}(0) = (-1)^{2k} \sin\left(\frac{k}{6}\pi\right) = \sin\left(\frac{k}{6}\pi\right) $$

求める和を $S$ とおくと、

$$ S = \sum_{k=1}^{100} (-1)^k f_{2k}(0) = \sum_{k=1}^{100} \sin\left(\frac{k}{6}\pi\right) $$

$\sin\left(\frac{k}{6}\pi\right)$ は周期 $12$ の数列であり、1周期分($k=1$ から $12$ まで)の和は $0$ となる。 $100 = 12 \times 8 + 4$ より、最初の4項の和だけが残る。

$$ S = \sum_{k=1}^{4} \sin\left(\frac{k}{6}\pi\right) = \sin\left(\frac{\pi}{6}\right) + \sin\left(\frac{2\pi}{6}\right) + \sin\left(\frac{3\pi}{6}\right) + \sin\left(\frac{4\pi}{6}\right) $$

$$ S = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} + 1 + \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{3}{2} + \sqrt{3} $$

(3) $f_6(0) = 0$ となる条件を求める。$f_6(0)$ は $k=3$ のときの $f_{2k}(x)$ に $x=0$ を代入したものなので、

$$ f_6(0) = \sin(3\pi c) = 0 $$

これが成り立つための条件は、$3c$ が整数となることである。

$$ 3c = 3\left(\frac{1}{a} + \frac{1}{b}\right) = \frac{3}{a} + \frac{3}{b} $$

$a, b$ は $1$ 以上 $6$ 以下の整数である。各 $a$ に対する $\frac{3}{a}$ の値は以下の通りである。

$\frac{3}{a} + \frac{3}{b}$ が整数となるためには、それぞれの小数部分の和が $0$ または $1$ になる必要がある。考えられる組み合わせは以下の2パターンのみである。

:小数部分がともに $0$ の場合 $a \in \{1, 3\}$ かつ $b \in \{1, 3\}$ のとき。この組み合わせは $2 \times 2 = 4$ 通り。

:小数部分がともに $0.5$ の場合 $a \in \{2, 6\}$ かつ $b \in \{2, 6\}$ のとき。この組み合わせは $2 \times 2 = 4$ 通り。

したがって、$3c$ が整数となる $(a, b)$ の組は合計で $4 + 4 = 8$ 通りである。 さいころの目の出方は全部で $36$ 通りであるから、求める確率は

$$ \frac{8}{36} = \frac{2}{9} $$

解説

関数の合成を繰り返す漸化式は、少ない手順で実際に $n=1, 2, 3, \cdots$ と書き下して規則性を見抜くことが重要である。角度部分が定数 $c$ の加算として等差数列的に変化することに気づけば、数学的帰納法により確実に関数の一般形を決定できる。 (2) では三角関数の周期性を用いて計算をショートカットする手法、(3) では和が整数となる条件を「小数部分の足し合わせ」に帰着させて数え上げる手法など、処理の工夫が求められる良問である。

答え

(1)

$-\frac{\sqrt{3}}{2}$

(2)

$\frac{3}{2} + \sqrt{3}$

(3)

$\frac{2}{9}$

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