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大阪大学 1973年 文系 第2問 解説

数学C/平面ベクトル数学B/数列数学2/図形と式テーマ/漸化式テーマ/面積・体積
大阪大学 1973年 文系 第2問 解説

方針・初手

点 $B(0,0)$ を基準とする位置ベクトルを導入し、点 $M_n$ と点 $A_n$ の構成ルールからベクトルに関する漸化式を立てるのが定石である。(2) は複雑な多角形の面積を求める問題に見えるが、原点 $B$ を頂点とする複数の三角形に分割して考えると、各三角形の面積が等比数列をなすことがわかり、見通しよく計算できる。

解法1

(1)

点 $B(0, 0)$ を原点とする位置ベクトルで考える。 $\overrightarrow{BA} = \vec{a} = (a, b)$, $\overrightarrow{BC} = \vec{c} = (c, 0)$ とする。 また、$A_0 = A$ とし、点 $A_n$ の位置ベクトルを $\vec{a}_n$ と表す。

点 $M_n$ は線分 $A_{n-1}C$ の中点であるから、

$$ \overrightarrow{BM_n} = \frac{\vec{a}_{n-1} + \vec{c}}{2} $$

点 $A_n$ は半直線 $BM_n$ 上にあり、$BM_n : BA_n = 2 : 3$ であるから、

$$ \overrightarrow{BA_n} = \frac{3}{2} \overrightarrow{BM_n} $$

これらをまとめると、数列 $\{\vec{a}_n\}$ の漸化式は次のようになる。

$$ \vec{a}_n = \frac{3}{4} \vec{a}_{n-1} + \frac{3}{4} \vec{c} $$

この漸化式を変形すると、

$$ \vec{a}_n - 3\vec{c} = \frac{3}{4} (\vec{a}_{n-1} - 3\vec{c}) $$

よって、数列 $\{\vec{a}_n - 3\vec{c}\}$ は公比 $\frac{3}{4}$ の等比数列となり、一般項は次のように求まる。

$$ \vec{a}_n - 3\vec{c} = \left(\frac{3}{4}\right)^n (\vec{a}_0 - 3\vec{c}) = \left(\frac{3}{4}\right)^n (\vec{a} - 3\vec{c}) $$

ここで、定点 $D(3c, 0)$ をとると、$3\vec{c} = \overrightarrow{BD}$ であるから、上の式は次のように書き直せる。

$$ \overrightarrow{DA_n} = \left(\frac{3}{4}\right)^n \overrightarrow{DA} $$

$\left(\frac{3}{4}\right)^n$ は実数であるから、すべての点 $A_n$ $(n=1, 2, \dots)$ は、定点 $D$ と定点 $A$ を通る直線上に存在する。

この直線は、点 $(3c, 0)$ を通り、方向ベクトルが $\overrightarrow{DA} = \vec{a} - 3\vec{c} = (a - 3c, b)$ の直線である。 したがって、その方程式は

$$ b(x - 3c) - (a - 3c)y = 0 $$

整理して、

$$ bx - (a - 3c)y - 3bc = 0 $$

(2)

点 $A_n$ および 点 $M_n$ の $y$ 座標は、$b$ と同符号を保ちながら $0$ に近づいていくため、折れ線は自己交差せず、$x$ 軸(線分 $BC$)と折れ線で囲まれた図形は単純な多角形となる。 この多角形の面積 $S_n$ は、原点 $B$ と折れ線の各辺を結んでできる三角形の面積の和として求められる。

$$ S_n = S(\triangle B A M_1) + S(\triangle B M_1 A_1) + S(\triangle B A_1 M_2) + \dots + S(\triangle B M_n A_n) + S(\triangle B A_n C) $$

ここで、点 $A_k$ は半直線 $BM_k$ 上にあるため、3点 $B, M_k, A_k$ は一直線上に並ぶ。 よって、各 $k$ について $\triangle B M_k A_k$ は潰れた三角形となり、その面積は $0$ である。 したがって、$S_n$ は次のように整理できる。

$$ S_n = \sum_{k=1}^n S(\triangle B A_{k-1} M_k) + S(\triangle B A_n C) $$

次に、$T_k = S(\triangle B A_k C)$ とおき、面積の漸化式を考える。 $\triangle B A_{k-1} M_k$ と $\triangle B M_k C$ は、点 $M_k$ が線分 $A_{k-1}C$ の中点であることから、底辺と高さが等しく面積が等しい。

$$ S(\triangle B A_{k-1} M_k) = S(\triangle B M_k C) = \frac{1}{2} S(\triangle B A_{k-1} C) = \frac{1}{2} T_{k-1} $$

また、$A_k$ は半直線 $BM_k$ 上にあり、$BA_k = \frac{3}{2} BM_k$ であるから、$\triangle B A_k C$ と $\triangle B M_k C$ は底辺 $BC$ を共有し、高さの比が $3 : 2$ となる。

$$ T_k = S(\triangle B A_k C) = \frac{3}{2} S(\triangle B M_k C) = \frac{3}{2} \cdot \frac{1}{2} T_{k-1} = \frac{3}{4} T_{k-1} $$

これより、数列 $\{T_n\}$ は初項 $T_0$、公比 $\frac{3}{4}$ の等比数列となる。

$$ T_k = T_0 \left(\frac{3}{4}\right)^k $$

初項 $T_0$ は $\triangle B A C$ の面積であるから、底辺 $BC = |c|$、高さ $|b|$ より、

$$ T_0 = \frac{1}{2} |bc| $$

これらを用いて $S_n$ を計算する。

$$ \begin{aligned} S_n &= \sum_{k=1}^n \frac{1}{2} T_{k-1} + T_n \\ &= \frac{1}{2} T_0 \sum_{k=1}^n \left(\frac{3}{4}\right)^{k-1} + T_0 \left(\frac{3}{4}\right)^n \\ &= \frac{1}{2} T_0 \frac{1 - \left(\frac{3}{4}\right)^n}{1 - \frac{3}{4}} + T_0 \left(\frac{3}{4}\right)^n \\ &= 2 T_0 \left\{ 1 - \left(\frac{3}{4}\right)^n \right\} + T_0 \left(\frac{3}{4}\right)^n \\ &= T_0 \left\{ 2 - \left(\frac{3}{4}\right)^n \right\} \end{aligned} $$

極限 $n \to \infty$ のとき、$\left(\frac{3}{4}\right)^n \to 0$ となるので、

$$ \lim_{n\to\infty} S_n = 2 T_0 = 2 \left( \frac{1}{2} |bc| \right) = |bc| $$

解説

(1) は、図形的な構成ルールをベクトルや座標の漸化式に翻訳する典型問題である。位置ベクトルの基準を原点 $B$ に設定すると記述が簡潔になる。 (2) は、複雑に見える多角形の面積を、原点を共有する三角形に分割して足し合わせる工夫が問われている。直接的に各点の座標を求めて面積公式を用いることも可能だが、面積同士の関係式(漸化式)を立てる方が計算量が圧倒的に少なく、本質的である。$B, M_k, A_k$ が一直線上にあるため、折れ線の一部である $M_k A_k$ が三角形の面積に寄与しない(面積が $0$ になる)ことに気づけるかが最大の鍵となる。

答え

(1)

点列 $A_1, A_2, \dots$ は1つの直線上にあり、その直線の方程式は $bx - (a - 3c)y - 3bc = 0$ である。

(2)

$\lim_{n\to\infty} S_n = |bc|$

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