東北大学 1974年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) は、求めるべき式の左辺にある $f(x) - \frac{a}{c}$ を通分して計算し、与えられた $ad-bc=1$ の条件を用いる。その後、不等式の条件 $\left| x + \frac{d}{c} \right| < r$ を用いて評価する。
(2) は、$ad-bc=0$ を用いて $f(x)$ の式を整理する。分数関数の分母は $0$ にならないという定義域の制限を忘れないように注意する。
解法1
(1)
まず、$f(x) - \frac{a}{c}$ を計算する。
$$ \begin{aligned} f(x) - \frac{a}{c} &= \frac{ax+b}{cx+d} - \frac{a}{c} \\ &= \frac{c(ax+b) - a(cx+d)}{c(cx+d)} \\ &= \frac{acx+bc - acx-ad}{c(cx+d)} \\ &= \frac{-(ad-bc)}{c(cx+d)} \end{aligned} $$
条件より $ad-bc=1$ であるから、次のように変形できる。
$$ f(x) - \frac{a}{c} = \frac{-1}{c(cx+d)} = \frac{-1}{c^2 \left( x + \frac{d}{c} \right)} $$
この両辺の絶対値をとる。
$$ \left| f(x) - \frac{a}{c} \right| = \frac{1}{c^2 \left| x + \frac{d}{c} \right|} $$
ここで、分数関数 $f(x)$ の分母は $0$ にならないため $x \neq -\frac{d}{c}$ であり、$\left| x + \frac{d}{c} \right| > 0$ である。 与えられた条件 $\left| x + \frac{d}{c} \right| < r$ の両辺は正であるため、逆数をとると不等号の向きが反転する。
$$ \frac{1}{\left| x + \frac{d}{c} \right|} > \frac{1}{r} $$
$ac \neq 0$ より $c \neq 0$ であり、$c^2 > 0$ である。両辺を $c^2$ で割ると次のようになる。
$$ \frac{1}{c^2 \left| x + \frac{d}{c} \right|} > \frac{1}{c^2 r} $$
したがって、求める不等式が示された。
$$ \left| f(x) - \frac{a}{c} \right| > \frac{1}{c^2 r} $$
(2)
$ad-bc=0$ のとき、$ad=bc$ である。
また、関数 $f(x)$ の分母は $0$ でないため、定義域は $cx+d \neq 0$ すなわち $x \neq -\frac{d}{c}$ である。 このとき、$c \neq 0$ であるから、次のように恒等式を利用して変形する。
$$ \begin{aligned} f(x) - \frac{a}{c} &= \frac{-(ad-bc)}{c(cx+d)} \\ &= 0 \end{aligned} $$
したがって、定義域 $x \neq -\frac{d}{c}$ において $f(x) = \frac{a}{c}$ となる。
これは、直線 $y = \frac{a}{c}$ のうち $x = -\frac{d}{c}$ に対応する点を除いたものになる。
解法2
(2)の別解
$ac \neq 0$ より $a \neq 0$ かつ $c \neq 0$ である。 $ad-bc=0$ より $d = \frac{bc}{a}$ と表せる。これを $f(x)$ に代入する。
$$ \begin{aligned} f(x) &= \frac{ax+b}{cx+\frac{bc}{a}} \\ &= \frac{a(ax+b)}{acx+bc} \\ &= \frac{a(ax+b)}{c(ax+b)} \end{aligned} $$
関数 $f(x)$ の定義域は分母が $0$ にならない範囲であるため、$c(ax+b) \neq 0$ すなわち $x \neq -\frac{b}{a}$ である。 ($d = \frac{bc}{a}$ より、$-\frac{b}{a} = -\frac{d}{c}$ であり、これは $x \neq -\frac{d}{c}$ と同値である)
この定義域において、分母と分子を $ax+b$ で約分することができる。
$$ f(x) = \frac{a}{c} $$
したがって、$f(x)$ のグラフは直線 $y = \frac{a}{c}$ から点 $\left( -\frac{d}{c}, \frac{a}{c} \right)$ を除いたものになる。
解説
分数関数 $y = \frac{ax+b}{cx+d}$ の性質に関する基本的な問題である。
(1) は式の形を観察すれば、引くべきものが明確であるため、素直に計算して絶対値の性質を用いるだけでよい。
(2) は分数関数が定数関数に退化する条件($ad-bc=0$)を問うている。ここで重要なのは「元の関数の定義域」を忘れないことである。約分して $y = \frac{a}{c}$ になるとしても、$x = -\frac{d}{c}$ は元の関数で定義されていないため、グラフにはその点に「穴(除外点)」ができる。この除外点の記述が抜けやすいため注意が必要である。
答え
(1)
証明は解答の通り。
(2)
直線 $y = \frac{a}{c}$ から点 $\left( -\frac{d}{c}, \frac{a}{c} \right)$ を除いた図形。
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