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東北大学 1962年 文系 第1問 解説

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東北大学 1962年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 2つの式の差 $ab - (ad+bc)$ を計算し、与えられた不等式の条件を用いて $0$ 以上であることを示す。

(2) 動点 $P$ の $x$ 座標を文字でおき、条件に従って点 $Q$、$R$ の座標をその文字で表す。その後、媒介変数を消去して $R$ の座標 $(x, y)$ が満たす方程式を求める。

解法1

(1)

$ab$ と $ad+bc$ の差をとる。

$$ab - (ad+bc) = ab - ad - bc$$

与えられた条件 $b \geqq c+d$ より $b-d \geqq c$ であり、$a > 0$ であるから、両辺に $a$ を掛けて

$$a(b-d) \geqq ac$$

が成り立つ。したがって、

$$ab - ad - bc = a(b-d) - bc \geqq ac - bc = c(a-b)$$

となる。

ここで、条件 $a \geqq b$ より $a-b \geqq 0$ であり、$c > 0$ であるから

$$c(a-b) \geqq 0$$

である。よって、

$$ab - (ad+bc) \geqq 0$$

すなわち、$ab \geqq ad+bc$ が成り立つ。

等号が成立するのは、$b-d=c$ かつ $c(a-b)=0$ のときである。$c>0$ より $a=b$ となるため、等号成立条件は $a=b=c+d$ のときである。

(2)

動点 $P$ の座標を $(p, 0)$ とする($p$ は実数)。

(i) $p \neq 0$ のとき

直線 $AP$ の傾きは $\frac{0-a}{p-0} = -\frac{a}{p}$ である。

点 $P$ を通り直線 $AP$ に垂直な直線の傾きを $m$ とすると、$m \cdot \left(-\frac{a}{p}\right) = -1$ より $m = \frac{p}{a}$ である。

よって、$P(p, 0)$ を通る $AP$ の垂線の方程式は

$$y - 0 = \frac{p}{a}(x - p) \iff y = \frac{p}{a}x - \frac{p^2}{a}$$

となる。

この直線が $y$ 軸と交わる点 $Q$ の座標は、$x=0$ を代入して

$$Q\left(0, -\frac{p^2}{a}\right)$$

である。

(ii) $p = 0$ のとき

点 $P$ は原点 $(0, 0)$ に一致する。

このとき、直線 $AP$ は $y$ 軸そのものであり、$P$ を通る $AP$ の垂線は $x$ 軸となる。

$x$ 軸と $y$ 軸の交点 $Q$ は原点となるので、$Q(0, 0)$ である。

これは (i) で求めた $Q$ の座標の式に $p=0$ を代入したものと一致する。

したがって、任意の実数 $p$ について点 $Q$ の座標は $\left(0, -\frac{p^2}{a}\right)$ と表せる。

点 $R$ は点 $P$ に関する点 $Q$ の対称点であるから、点 $P$ は線分 $QR$ の中点である。

点 $R$ の座標を $(x, y)$ とすると、中点の座標の公式より

$$\frac{0 + x}{2} = p, \quad \frac{-\frac{p^2}{a} + y}{2} = 0$$

これを $x, y$ について解くと、

$$x = 2p, \quad y = \frac{p^2}{a}$$

となる。

第1式より $p = \frac{x}{2}$ であり、これを第2式に代入して $p$ を消去すると、

$$y = \frac{1}{a}\left(\frac{x}{2}\right)^2 = \frac{x^2}{4a}$$

$p$ がすべての実数値をとって変化するとき、$x=2p$ はすべての実数値をとる。

よって、点 $R$ は放物線をえがき、その方程式は $y = \frac{x^2}{4a}$ である。

解法2

(1) の別解

条件 $b \geqq c+d$ より、$d \leqq b-c$ である。

$a > 0$ であるから、両辺に $a$ を掛けて

$$ad \leqq a(b-c)$$

が成り立つ。これを用いると、

$$ad + bc \leqq a(b-c) + bc = ab - ac + bc = ab - c(a-b)$$

となる。

ここで、条件 $a \geqq b$ より $a-b \geqq 0$ であり、$c > 0$ であるから、

$$c(a-b) \geqq 0$$

である。したがって、

$$ad + bc \leqq ab - c(a-b) \leqq ab$$

すなわち、$ab \geqq ad+bc$ が成り立つ。

等号成立条件は、$d = b-c$ かつ $c(a-b) = 0$ より、$a=b=c+d$ のときである。

解説

(1) は不等式の証明や大小比較の基本である「差をとって符号を調べる」方針が有効である。与えられた連立不等式 $a \geqq b \geqq c+d$ を、$a \geqq b$ と $b \geqq c+d$ のように分割して用いると式の評価が見えやすくなる。

(2) は動点の座標を文字でおき、条件に従って他の点の座標をその文字で表していく軌跡の基本問題である。垂線の傾きを求める際、$p=0$ の場合(直線 $AP$ が $y$ 軸に重なる場合)は傾きが定義できないため、厳密には場合分けをして確認するのが望ましい。最後は媒介変数 $p$ を消去して $x, y$ の関係式を導く。

答え

(1) $ab \geqq ad+bc$ (等号は $a=b=c+d$ のとき成立)

(2) 放物線をえがき、その方程式は $y = \frac{x^2}{4a}$

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