北海道大学 2008年 文系 第2問 解説

方針・初手
- (1) 集合 $X(a)$ が表す領域と直線 $L$ が共有点をもたないための条件を考える。円の中心と直線の距離が円の半径より大きくなるという関係式を立てるのが簡明である。
- (2) 「いかなる実数 $a$ に対しても」という条件に注目する。点 $P(x, y)$ が $X(a)$ に属さないという不等式を立て、それが $a$ についての恒等的な不等式(絶対不等式)となる条件を求める。
解法1
(1)
集合 $X(a)$ が表す領域は、中心が $(a, 0)$ で半径が $\frac{|a + 1|}{2}$ の円の内部および周である。ただし、$a = -1$ のときは点 $(-1, 0)$ のみからなる集合である。
直線 $L$ の方程式は $x - y - 1 = 0$ である。
$X(a) \cap L = \phi$ となるための条件は、$X(a)$ が表す領域と直線 $L$ が共有点をもたないことである。 これは、点 $(a, 0)$ と直線 $x - y - 1 = 0$ との距離 $d$ が、円の半径 $\frac{|a + 1|}{2}$ よりも大きくなることと同値である。
点と直線の距離の公式より、
$$ d = \frac{|a - 0 - 1|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{|a - 1|}{\sqrt{2}} $$
となる。これが半径より大きければよいので、
$$ \frac{|a - 1|}{\sqrt{2}} > \frac{|a + 1|}{2} $$
が成り立つ。両辺ともに0以上であるから、両辺を2乗して同値変形を行う。
$$ \frac{(a - 1)^2}{2} > \frac{(a + 1)^2}{4} $$
両辺に4を掛けて展開する。
$$ 2(a^2 - 2a + 1) > a^2 + 2a + 1 $$
整理すると、
$$ a^2 - 6a + 1 > 0 $$
となる。方程式 $a^2 - 6a + 1 = 0$ の解は、解の公式より $a = 3 \pm 2\sqrt{2}$ であるから、求める不等式の解は、
$$ a < 3 - 2\sqrt{2}, \quad 3 + 2\sqrt{2} < a $$
となる。
(2)
点 $P$ の座標を $(X, Y)$ とおく。 条件「いかなる実数 $a$ に対しても $P \notin X(a)$」は、すべての実数 $a$ について不等式
$$ (X - a)^2 + Y^2 > \frac{(a + 1)^2}{4} $$
が成り立つことと同値である。 この不等式の両辺に4を掛けて展開し、$a$ について整理する。
$$ 4(X^2 - 2aX + a^2 + Y^2) > a^2 + 2a + 1 $$
$$ 4X^2 - 8aX + 4a^2 + 4Y^2 > a^2 + 2a + 1 $$
$$ 3a^2 - 2(4X + 1)a + 4X^2 + 4Y^2 - 1 > 0 $$
これがすべての実数 $a$ に対して成り立つような $(X, Y)$ の条件を求める。 左辺は $a$ についての2次関数であり、$a^2$ の係数は $3 > 0$ である。したがって、この2次関数が常に正となるための条件は、2次方程式 $3a^2 - 2(4X + 1)a + 4X^2 + 4Y^2 - 1 = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D < 0$ が成り立つことである。
$$ \frac{D}{4} = (4X + 1)^2 - 3(4X^2 + 4Y^2 - 1) < 0 $$
これを展開して整理する。
$$ 16X^2 + 8X + 1 - 12X^2 - 12Y^2 + 3 < 0 $$
$$ 4X^2 + 8X - 12Y^2 + 4 < 0 $$
両辺を4で割る。
$$ X^2 + 2X - 3Y^2 + 1 < 0 $$
$X$ について平方完成を行う。
$$ (X + 1)^2 - 3Y^2 < 0 $$
すなわち、
$$ 3Y^2 > (X + 1)^2 $$
$$ |Y| > \frac{1}{\sqrt{3}}|X + 1| $$
したがって、求める点 $P(x, y)$ の集合は、不等式
$$ (x + 1)^2 - 3y^2 < 0 $$
の表す領域である。
解法2
(1)
直線 $L$ の方程式 $y = x - 1$ を $X(a)$ の不等式に代入し、共有点が存在しない条件を考える。
$$ (x - a)^2 + (x - 1)^2 \leqq \frac{(a + 1)^2}{4} $$
を展開して整理する。
$$ x^2 - 2ax + a^2 + x^2 - 2x + 1 \leqq \frac{a^2 + 2a + 1}{4} $$
$$ 2x^2 - 2(a + 1)x + a^2 + 1 \leqq \frac{a^2 + 2a + 1}{4} $$
両辺を4倍する。
$$ 8x^2 - 8(a + 1)x + 4a^2 + 4 \leqq a^2 + 2a + 1 $$
$$ 8x^2 - 8(a + 1)x + 3a^2 - 2a + 3 \leqq 0 $$
$X(a) \cap L = \phi$ となるためには、この $x$ についての2次不等式を満たす実数 $x$ が存在しなければよい。 すなわち、2次方程式 $8x^2 - 8(a + 1)x + 3a^2 - 2a + 3 = 0$ が実数解をもたないことが条件となる。 この2次方程式の判別式を $D$ とすると、$D < 0$ であればよい。
$$ \frac{D}{4} = 16(a + 1)^2 - 8(3a^2 - 2a + 3) < 0 $$
両辺を8で割る。
$$ 2(a^2 + 2a + 1) - (3a^2 - 2a + 3) < 0 $$
$$ 2a^2 + 4a + 2 - 3a^2 + 2a - 3 < 0 $$
$$ -a^2 + 6a - 1 < 0 $$
$$ a^2 - 6a + 1 > 0 $$
これを解いて、
$$ a < 3 - 2\sqrt{2}, \quad 3 + 2\sqrt{2} < a $$
となる。
解説
(1) は円と直線の位置関係を問う基本問題である。解法1のように「中心と直線の距離 $d$ と半径 $r$ の大小関係」を利用するのが最も計算量が少なくミスを防ぎやすい。解法2のように方程式を連立して判別式を用いる方法も確実である。
(2) は「すべての実数 $a$ について〜」という条件の処理が鍵となる。このような場合、着目する文字を $x, y$ から $a$ に切り替え(主客転倒)、$a$ についての絶対不等式の問題に帰着させるのが定石の処理である。$a$ の2次不等式が常に成り立つ条件として判別式を活用することで、自然に $x, y$ の関係式(軌跡・領域)が導き出される。
答え
(1)
$$ a < 3 - 2\sqrt{2}, \quad 3 + 2\sqrt{2} < a $$
(2)
求める点 $P$ の集合は、不等式 $(x + 1)^2 - 3y^2 < 0$ が表す領域である。
これを図示すると、2直線 $y = \frac{1}{\sqrt{3}}(x + 1)$ と $y = -\frac{1}{\sqrt{3}}(x + 1)$ を境界とし、交点 $(-1, 0)$ を頂点とする上下の領域となる。ただし、境界線は含まない。
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











