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東北大学 1988年 文系 第4問 解説

数学A/整数問題数学2/指数対数テーマ/整数の証明
東北大学 1988年 文系 第4問 解説

方針・初手

与えられた不等式 $a^2 < 100$ と、$a$ が $1$ より大きい整数であることから、$a$ の取りうる値の範囲がかなり絞られることに着目する。また、「$\log_a b$ が有理数である」という条件は、$a$ と $b$ が同じ素因数で構成され、ある整数の累乗として表されることを意味する。ここから $a$ の満たすべき条件をさらに絞り込むか、$a$ の候補をすべて調べて条件を満たす $b$ を探すのが定石である。

解法1

$a$ は整数であり、条件 $1 < a$ および $a^2 < 100$ を満たすことから、$a$ の値の範囲は $$ 2 \leqq a \leqq 9 $$ である。

$\log_a b$ が有理数であるから、互いに素な正の整数 $p, q$ を用いて $$ \log_a b = \frac{q}{p} $$ と表すことができる。

不等式 $1 < a < b < a^2$ において、底を $a$ ($a > 1$)とする対数をとると $$ \log_a 1 < \log_a a < \log_a b < \log_a a^2 $$ $$ 0 < 1 < \frac{q}{p} < 2 $$ となる。ここで、もし $p=1$ ならば $q$ は整数となり $1 < q < 2$ を満たす整数が存在しないため不適である。したがって $p \geqq 2$ である。

また、対数の定義より $$ b = a^{\frac{q}{p}} $$ 両辺を $p$ 乗して $$ b^p = a^q $$ $a, b$ はともに整数であり、上式が成り立つためには、$a$ を素因数分解したときの各素因数の指数が $p$ の倍数でなければならない。すなわち、$a$ はある自然数 $k$ ($k \geqq 2$)を用いて $$ a = k^p $$ と表される数(累乗数)である必要がある。

$2 \leqq a \leqq 9$ の範囲で、ある自然数の $2$ 乗以上の累乗で表される数は以下の3つに限られる。

以下、これらの $a$ の値について場合分けをして $b$ を探す。

(i) $a = 4$ のとき

不等式 $4 < b < 16$ を満たす整数 $b$ を考える。 $b = 4^{\frac{q}{p}} = (2^2)^{\frac{q}{p}} = 2^{\frac{2q}{p}}$ であり、$b$ が整数となるには、$b$ は $2$ の累乗でなければならない。 $4 < b < 16$ の範囲にある $2$ の累乗は $b = 8$ のみである。 このとき $\log_4 8 = \frac{3}{2}$ となり、有理数となる条件を満たす。 よって、$(a, b) = (4, 8)$ は適する。

(ii) $a = 8$ のとき

不等式 $8 < b < 64$ を満たす整数 $b$ を考える。 $b = 8^{\frac{q}{p}} = (2^3)^{\frac{q}{p}} = 2^{\frac{3q}{p}}$ であり、$b$ が整数となるには、$b$ は $2$ の累乗でなければならない。 $8 < b < 64$ の範囲にある $2$ の累乗は $b = 16$ と $b = 32$ である。 $b = 16$ のとき $\log_8 16 = \frac{4}{3}$、 $b = 32$ のとき $\log_8 32 = \frac{5}{3}$ となり、いずれも有理数となる条件を満たす。 よって、$(a, b) = (8, 16), (8, 32)$ は適する。

(iii) $a = 9$ のとき

不等式 $9 < b < 81$ を満たす整数 $b$ を考える。 $b = 9^{\frac{q}{p}} = (3^2)^{\frac{q}{p}} = 3^{\frac{2q}{p}}$ であり、$b$ が整数となるには、$b$ は $3$ の累乗でなければならない。 $9 < b < 81$ の範囲にある $3$ の累乗は $b = 27$ のみである。 このとき $\log_9 27 = \frac{3}{2}$ となり、有理数となる条件を満たす。 よって、$(a, b) = (9, 27)$ は適する。

以上より、求める組がすべて得られる。

解法2

$1 < a$ かつ $a^2 < 100$ であり、$a$ は整数であるから $$ 2 \leqq a \leqq 9 $$ である。この $a$ の値それぞれについて条件を満たす $b$ をしらみつぶしに調べる。

(i) $a = 2$ のとき

$2 < b < 4$ を満たす整数 $b$ は $b = 3$ のみ。 このとき $\log_2 3$ は無理数であるから不適。

(ii) $a = 3$ のとき

$3 < b < 9$ を満たす整数 $b$ を考える。 $\log_3 b$ が有理数となるためには、$b$ が $3$ の累乗でなければならないが、この範囲に $3$ の累乗である整数は存在しないため不適。

(iii) $a = 4$ のとき

$4 < b < 16$ を満たす整数 $b$ を考える。 底の変換公式より $\log_4 b = \frac{\log_2 b}{2}$ であるから、これが有理数となるには $b$ は $2$ の累乗でなければならない。 範囲内の $2$ の累乗は $b=8$ のみであり、$\log_4 8 = \frac{3}{2}$(有理数)となる。 よって $(a, b) = (4, 8)$ は適する。

(iv) $a = 5, 6, 7$ のとき

それぞれ $a < b < a^2$ の範囲に $a$ の累乗となる整数は存在しない。 よって $\log_a b$ が有理数となることはなく、不適。

(v) $a = 8$ のとき

$8 < b < 64$ を満たす整数 $b$ を考える。 底の変換公式より $\log_8 b = \frac{\log_2 b}{3}$ であるから、これが有理数となるには $b$ は $2$ の累乗でなければならない。 範囲内の $2$ の累乗は $b=16, 32$ である。 $\log_8 16 = \frac{4}{3}$, $\log_8 32 = \frac{5}{3}$ はいずれも有理数となる。 よって $(a, b) = (8, 16), (8, 32)$ は適する。

(vi) $a = 9$ のとき

$9 < b < 81$ を満たす整数 $b$ を考える。 底の変換公式より $\log_9 b = \frac{\log_3 b}{2}$ であるから、これが有理数となるには $b$ は $3$ の累乗でなければならない。 範囲内の $3$ の累乗は $b=27$ のみであり、$\log_9 27 = \frac{3}{2}$(有理数)となる。 よって $(a, b) = (9, 27)$ は適する。

以上より、求める組がすべて得られる。

解説

対数の性質と整数問題の融合問題である。「対数 $\log_a b$ が有理数になる」という条件から、「底 $a$ と真数 $b$ が共通の自然数を底とする累乗で表される」という本質を見抜けるかがポイントとなる。

解法1のように有理数を $\frac{q}{p}$ と置いて $a$ の形を絞り込むのが数学的に見通しの良い解法であるが、本問においては $a^2 < 100$ という条件のおかげで $a$ の候補が $2 \leqq a \leqq 9$ の $8$ 通りしかない。そのため、解法2のように最初から全探索を覚悟して具体的に調べていく方針でも、十分短い時間で正確に答えに辿り着くことができる。入試本番では、論理の構築に時間をかけすぎるよりも、手を動かして確実に得点する判断も有効である。

答え

$(a, b) = (4, 8), (8, 16), (8, 32), (9, 27)$

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