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東北大学 1966年 理系 第4問 解説

数学C/複素数平面数学A/場合の数数学2/式と証明
東北大学 1966年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) 複素数の累乗の計算は、極形式で表してからド・モアブルの定理を用いる方法が標準的である。また、分子・分母をそれぞれ計算しやすい累乗(2乗や3乗など)まで計算し、純虚数や実数を作り出してから全体の累乗を計算する方針でも容易に解くことができる。

(2) 二項定理を用いて、各項の係数を組合せの記号 ${}_n\mathrm{C}_{r}$ で表し、等差中項の条件式を立てる。階乗の定義に従って式を展開し、共通する因数で割ることで方程式を導き、それを解く。

解法1

(1)

分子と分母をそれぞれ極形式で表す。

$$ 1+i = \sqrt{2} \left( \cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4} \right) $$

$$ \sqrt{3}+i = 2 \left( \cos\frac{\pi}{6} + i\sin\frac{\pi}{6} \right) $$

これらを代入してド・モアブルの定理を用いると、

$$ \begin{aligned} \left( \frac{1+i}{\sqrt{3}+i} \right)^{12} &= \left\{ \frac{\sqrt{2} \left( \cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4} \right)}{2 \left( \cos\frac{\pi}{6} + i\sin\frac{\pi}{6} \right)} \right\}^{12} \\ &= \left\{ \frac{1}{\sqrt{2}} \left( \cos\left( \frac{\pi}{4} - \frac{\pi}{6} \right) + i\sin\left( \frac{\pi}{4} - \frac{\pi}{6} \right) \right) \right\}^{12} \\ &= \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right)^{12} \left( \cos\frac{\pi}{12} + i\sin\frac{\pi}{12} \right)^{12} \\ &= \frac{1}{2^6} (\cos\pi + i\sin\pi) \\ &= \frac{1}{64} \times (-1) \\ &= -\frac{1}{64} \end{aligned} $$

(2)

二項定理より、$(1+x)^n$ の展開式の一般項は ${}_n\mathrm{C}_{r} x^r$ である。 展開式に $x^{10}$ の項が存在するためには、$n \ge 10$ である必要がある。

$x^8$、$x^9$、$x^{10}$ の係数はそれぞれ ${}_n\mathrm{C}_{8}$、${}_n\mathrm{C}_{9}$、${}_n\mathrm{C}_{10}$ である。 これらがこの順序で等差数列をなすので、

$$ 2 \cdot {}_n\mathrm{C}_{9} = {}_n\mathrm{C}_{8} + {}_n\mathrm{C}_{10} $$

が成り立つ。組合せの定義 ${}_n\mathrm{C}_{r} = \frac{n!}{r!(n-r)!}$ を用いて書き換えると、

$$ 2 \cdot \frac{n!}{9!(n-9)!} = \frac{n!}{8!(n-8)!} + \frac{n!}{10!(n-10)!} $$

両辺を非零である $n!$ で割り、分母を払うために両辺に $10!(n-8)!$ を掛ける。

左辺は、

$$ 2 \cdot \frac{10!(n-8)!}{9!(n-9)!} = 2 \cdot 10 \cdot (n-8) = 20(n-8) $$

右辺は、

$$ \frac{10!(n-8)!}{8!(n-8)!} + \frac{10!(n-8)!}{10!(n-10)!} = 10 \cdot 9 + (n-8)(n-9) = 90 + (n-8)(n-9) $$

したがって、方程式は以下のようになる。

$$ 20(n-8) = 90 + (n-8)(n-9) $$

展開して整理する。

$$ \begin{aligned} 20n - 160 &= 90 + n^2 - 17n + 72 \\ n^2 - 37n + 322 &= 0 \\ (n-14)(n-23) &= 0 \end{aligned} $$

よって、$n = 14, 23$ となる。 これらは $n \ge 10$ の条件を満たす。

解法2

(1) の別解

分子と分母をそれぞれ計算しやすい累乗まで計算してから全体の値を求める。

分子の2乗は、

$$ (1+i)^2 = 1 + 2i - 1 = 2i $$

よって、分子の12乗は、

$$ (1+i)^{12} = \left\{ (1+i)^2 \right\}^6 = (2i)^6 = 2^6 i^6 = 64 \times (-1) = -64 $$

分母の2乗は、

$$ (\sqrt{3}+i)^2 = 3 + 2\sqrt{3}i - 1 = 2 + 2\sqrt{3}i $$

分母の3乗は、

$$ \begin{aligned} (\sqrt{3}+i)^3 &= (\sqrt{3}+i)^2 (\sqrt{3}+i) \\ &= (2 + 2\sqrt{3}i)(\sqrt{3}+i) \\ &= 2\sqrt{3} + 2i + 6i - 2\sqrt{3} \\ &= 8i \end{aligned} $$

よって、分母の12乗は、

$$ (\sqrt{3}+i)^{12} = \left\{ (\sqrt{3}+i)^3 \right\}^4 = (8i)^4 = 8^4 i^4 = 4096 \times 1 = 4096 $$

以上より、与式は、

$$ \left( \frac{1+i}{\sqrt{3}+i} \right)^{12} = \frac{(1+i)^{12}}{(\sqrt{3}+i)^{12}} = \frac{-64}{4096} = -\frac{1}{64} $$

解説

(1) は複素数の累乗の計算問題である。極形式に直してド・モアブルの定理を用いる解法1が最も標準的だが、本問のように $1+i$ や $\sqrt{3}+i$ のような偏角が有名な複素数であれば、解法2のように2乗や3乗を計算して純虚数を作り出す方法も計算量が少なく正確に求められる。

(2) は二項定理の基本的な知識と、組合せ記号 ${}_n\mathrm{C}_{r}$ の階乗を用いた計算技法を問う問題である。分母に含まれる階乗の共通因数を見抜き、適切な式を掛けて分母を払う式変形がポイントとなる。また、$x^{10}$ の係数が存在するための前提条件として、最初に $n \ge 10$ を確認しておくことも論理の厳密性のために重要である。

答え

(1) $-\frac{1}{64}$

(2) $n = 14, 23$

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