東北大学 1979年 理系 第3問 解説

方針・初手
2つの曲線の交点を求め、第1象限における上下関係を把握した上で、 $x$ 軸まわりの回転体の体積の公式 $V = \pi \int y^2 dx$ を用いる。 無理関数を含む式の積分は、ルートの中身またはルート全体を文字で置換することで計算を大幅に簡略化できる。
解法1
2つの曲線をそれぞれ $C_1 : \frac{x^2}{9} + y^2 = 1$、$C_2 : \sqrt{\frac{x}{3}} + \sqrt{y} = 1$ とする。 これらが第1象限($x \ge 0, y \ge 0$)で囲む部分について考える。
$C_1$ について、$y \ge 0$ より、
$$ y^2 = 1 - \frac{x^2}{9} $$
$C_2$ について、$\sqrt{y} = 1 - \sqrt{\frac{x}{3}}$ の両辺を2乗して、
$$ y^2 = \left( 1 - \sqrt{\frac{x}{3}} \right)^4 $$
$C_1$ と $C_2$ はともに、点 $(0, 1)$ と点 $(3, 0)$ を通る。したがって、積分区間は $0 \le x \le 3$ である。
次に、この区間における $C_1$ と $C_2$ の上下関係を調べる。 計算を見やすくするため、$t = \sqrt{\frac{x}{3}}$ とおく。$0 < x < 3$ のとき、$0 < t < 1$ である。 $C_1$ と $C_2$ の $y^2$ の差をとると、
$$ \begin{aligned} \left( 1 - \frac{x^2}{9} \right) - \left( 1 - \sqrt{\frac{x}{3}} \right)^4 &= (1 - t^4) - (1 - t)^4 \\ &= (1 - t)(1 + t)(1 + t^2) - (1 - t)^4 \\ &= (1 - t) \{ (1 + t + t^2 + t^3) - (1 - 3t + 3t^2 - t^3) \} \\ &= (1 - t)(4t - 2t^2 + 2t^3) \\ &= 2t(1 - t)(t^2 - t + 2) \end{aligned} $$
$0 < t < 1$ において、$t > 0$、$1 - t > 0$ であり、$t^2 - t + 2 = \left( t - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{7}{4} > 0$ であるから、差は常に正となる。 したがって区間 $0 < x < 3$ において $C_1$ の方が上側にある。
求める回転体の体積を $V$ とすると、
$$ V = \pi \int_{0}^{3} \left\{ \left( 1 - \frac{x^2}{9} \right) - \left( 1 - \sqrt{\frac{x}{3}} \right)^4 \right\} dx $$
ここで、それぞれの項の定積分を計算する。 第1項の定積分は、
$$ \int_{0}^{3} \left( 1 - \frac{x^2}{9} \right) dx = \left[ x - \frac{x^3}{27} \right]_{0}^{3} = 3 - 1 = 2 $$
第2項の定積分は、$t = \sqrt{\frac{x}{3}}$ すなわち $x = 3t^2$ と置換する。 $dx = 6t dt$ であり、$x$ が $0$ から $3$ まで変化するとき、$t$ は $0$ から $1$ まで変化するから、
$$ \int_{0}^{3} \left( 1 - \sqrt{\frac{x}{3}} \right)^4 dx = \int_{0}^{1} (1 - t)^4 \cdot 6t dt $$
さらに $s = 1 - t$ と置換すると、$t = 1 - s$、$dt = -ds$ となり、$t$ が $0$ から $1$ まで変化するとき、$s$ は $1$ から $0$ まで変化する。
$$ \begin{aligned} \int_{0}^{1} 6t(1 - t)^4 dt &= \int_{1}^{0} 6(1 - s) s^4 (-ds) \\ &= 6 \int_{0}^{1} (s^4 - s^5) ds \\ &= 6 \left[ \frac{s^5}{5} - \frac{s^6}{6} \right]_{0}^{1} \\ &= 6 \left( \frac{1}{5} - \frac{1}{6} \right) \\ &= \frac{1}{5} \end{aligned} $$
以上より、求める体積 $V$ は、
$$ V = \pi \left( 2 - \frac{1}{5} \right) = \frac{9}{5}\pi $$
解説
2曲線の交点と上下関係を正しく見極め、回転体の体積公式に当てはめる標準的な微積分・図形問題である。 無理関数を含む式 $\left( 1 - \sqrt{\frac{x}{3}} \right)^4$ をそのまま展開して積分することも可能ではあるが、項数が多くなり計算ミスを誘発しやすい。本解法のように、ルート全体を $t$ とおいて多項式の積分に帰着させ、さらに $(1 - t)$ の形を崩すために $s = 1 - t$ と二重に置換積分を行う工夫が計算の正確性とスピードを分ける鍵となる。 また、図を大まかに描いて楕円が上側、放物線の一部が下側にくることを直感的に捉えることもできるが、答案作成の際には差をとって正負を論理的に示すのが安全である。
答え
$$ \frac{9}{5}\pi $$
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