東北大学 1979年 理系 第2問 解説

方針・初手
等差数列の初項を $a_1=a$,公差を $d$ とする。
各項が正である等差数列が無限に続くので,まず $d\geqq 0$ である。そこで $S_n,\ T_n$ を $a,d$ で表し,$n$ が大きいときの最高次の項に注目して $d$ を決める。最後に $n=1$ を用いて初項 $a$ を確定する。
解法1
等差数列 $a_n=a+(n-1)d$ とおく。
各項が正であり,これが無限に続くから,もし $d<0$ なら十分大きい $n$ で $a_n<0$ となってしまう。よって
$$ d\geqq 0 $$
である。
まず,和 $S_n$ は
$$ S_n=\frac{n}{2}{2a+(n-1)d} =\frac{d}{2}n^2+\left(a-\frac{d}{2}\right)n $$
である。
条件より任意の自然数 $n$ に対して
$$ S_n\leqq n^2+n-1 $$
が成り立つので,両辺を $n^2$ で割ると
$$ \frac{S_n}{n^2} =\frac{d}{2}+\frac{a-\frac{d}{2}}{n} \leqq 1+\frac{1}{n}-\frac{1}{n^2} $$
となる。ここで $n\to\infty$ とすると
$$ \frac{d}{2}\leqq 1 $$
すなわち
$$ d\leqq 2 $$
を得る。
次に,$T_n$ を求める。
$$ T_n=\sum_{k=1}^n {a+(k-1)d}^2 $$
であるから,
$$ T_n =na^2+2ad\sum_{k=1}^n (k-1)+d^2\sum_{k=1}^n (k-1)^2 $$
より,
$$ T_n =na^2+ad,n(n-1)+d^2\frac{n(n-1)(2n-1)}{6} $$
となる。したがって最高次の項は
$$ T_n=\frac{d^2}{3}n^3+\text{(次数が 2 以下の項)} $$
である。
条件より任意の自然数 $n$ に対して
$$ T_n\geqq \frac13(4n^3-n) $$
が成り立つので,両辺を $n^3$ で割って $n\to\infty$ とすると
$$ \frac{d^2}{3}\geqq \frac43 $$
すなわち
$$ d^2\geqq 4 $$
を得る。しかも $d\geqq 0$ であるから
$$ d\geqq 2 $$
である。
以上より
$$ d=2 $$
と分かる。
最後に初項 $a$ を求める。$n=1$ を条件に代入すると,
$$ S_1=a_1=a\leqq 1^2+1-1=1 $$
また
$$ T_1=a_1^2=a^2\geqq \frac13(4\cdot 1^3-1)=1 $$
である。各項は正だから $a>0$ であり,$a^2\geqq 1$ から
$$ a\geqq 1 $$
となる。よって
$$ a=1 $$
である。
したがって,求める等差数列は
$$ a_n=1+2(n-1)=2n-1 $$
である。
解説
この問題の核心は,不等式が「任意の自然数 $n$」で成り立つことである。そのため,$S_n$ と $T_n$ の最高次の項の係数に強い制約がかかる。
$S_n$ からは $d\leqq 2$,$T_n$ からは $d\geqq 2$ が出るので,まず公差が一意に $2$ と定まる。そのあと $n=1$ を見ると,$S_1$ と $T_1$ の条件だけで初項もただちに決まる。
答え
初項は
$$ 1 $$
公差は
$$ 2 $$
である。
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