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東京大学 1967年 理系 第4問 解説

数学C/式と曲線数学3/積分法テーマ/二次曲線テーマ/極座標テーマ/面積・体積
東京大学 1967年 理系 第4問 解説

方針・初手

与えられた方程式は $x, y$ の2次式であり、$xy$ の項を含むことから、座標軸から傾いた2次曲線(楕円)であることが予想される。曲線の形状を把握するためには、極座標変換を行うか、座標軸を回転させて標準形に帰着させる方法が有効である。また、$x$ と $y$ を入れ替えても方程式が変わらないため、曲線が直線 $y=x$ に関して対称であることも重要な手がかりとなる。

面積の求積においては、$y$ を $x$ の式で表して直接積分することも可能だが、計算が煩雑になる。極座標を用いた積分、あるいは図形の拡大・縮小(アフィン変換)を利用して円の面積に帰着させると計算量を大幅に減らすことができる。

解法1

極座標 $x = r \cos \theta$、$y = r \sin \theta$ $(r > 0)$ を用いて表す。

与えられた方程式に代入すると、

$$ r^2 \cos^2 \theta - r^2 \sin \theta \cos \theta + r^2 \sin^2 \theta = 3 $$

$$ r^2 (1 - \sin \theta \cos \theta) = 3 $$

$$ r^2 \left( 1 - \frac{1}{2} \sin 2\theta \right) = 3 $$

$$ r^2 = \frac{6}{2 - \sin 2\theta} $$

ここで、すべての実数 $\theta$ に対して $-1 \le \sin 2\theta \le 1$ であるため、常に $2 - \sin 2\theta > 0$ となる。したがって、すべての $\theta$ において $r$ は正の実数値を持ち、この曲線は原点を囲む閉曲線となる。

$\sin 2\theta = 1$ すなわち $\theta = \frac{\pi}{4}, \frac{5\pi}{4}$ のとき、分母が最小となり $r$ は最大値 $\sqrt{6}$ をとる。

$\sin 2\theta = -1$ すなわち $\theta = \frac{3\pi}{4}, \frac{7\pi}{4}$ のとき、分母が最大となり $r$ は最小値 $\sqrt{2}$ をとる。

また、$y=0$ とすると $x = \pm \sqrt{3}$ となり、$x=0$ とすると $y = \pm \sqrt{3}$ となる。

以上から、曲線の略図は、直線 $y=x$ 上に長さ $2\sqrt{6}$ の長軸をもち、直線 $y=-x$ 上に長さ $2\sqrt{2}$ の短軸をもつ、原点中心の楕円となる。

次に、この曲線の第1象限にある部分($0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}$)が $x$ 軸、$y$ 軸と囲む図形の面積 $S$ を求める。極座標における面積公式より、

$$ S = \frac{1}{2} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} r^2 d\theta = \frac{1}{2} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \frac{6}{2 - \sin 2\theta} d\theta = 3 \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1}{2 - \sin 2\theta} d\theta $$

この積分を計算するため、$t = \tan \theta$ と置換する。$\theta$ が $0$ から $\frac{\pi}{2}$ まで変化するとき、$t$ は $0$ から $\infty$ まで変化する。また、

$$ \sin 2\theta = \frac{2\sin \theta \cos \theta}{\sin^2 \theta + \cos^2 \theta} = \frac{2\tan \theta}{\tan^2 \theta + 1} = \frac{2t}{t^2 + 1} $$

$$ d\theta = \frac{1}{t^2+1} dt $$

となる。これらを代入すると、

$$ S = 3 \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2 - \frac{2t}{t^2 + 1}} \cdot \frac{1}{t^2 + 1} dt $$

$$ S = 3 \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2(t^2 + 1) - 2t} dt = \frac{3}{2} \int_{0}^{\infty} \frac{1}{t^2 - t + 1} dt $$

分母を平方完成して、

$$ S = \frac{3}{2} \int_{0}^{\infty} \frac{1}{\left( t - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{3}{4}} dt $$

ここで、$t - \frac{1}{2} = \frac{\sqrt{3}}{2} \tan \phi$ と置換する。

$t = 0$ のとき $\tan \phi = -\frac{1}{\sqrt{3}}$ より $\phi = -\frac{\pi}{6}$。$t \to \infty$ のとき $\phi \to \frac{\pi}{2}$ である。また、

$$ dt = \frac{\sqrt{3}}{2} \frac{1}{\cos^2 \phi} d\phi $$

これを代入すると、

$$ S = \frac{3}{2} \int_{-\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1}{\frac{3}{4} \tan^2 \phi + \frac{3}{4}} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2\cos^2 \phi} d\phi $$

$$ S = \frac{3}{2} \int_{-\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} \frac{4}{3} \cos^2 \phi \cdot \frac{\sqrt{3}}{2\cos^2 \phi} d\phi = \sqrt{3} \int_{-\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} d\phi $$

$$ S = \sqrt{3} \left[ \phi \right]_{-\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} = \sqrt{3} \left( \frac{\pi}{2} - \left( -\frac{\pi}{6} \right) \right) = \sqrt{3} \cdot \frac{2\pi}{3} = \frac{2\sqrt{3}}{3} \pi $$

解法2

与えられた方程式は $x$ と $y$ を入れ替えても変わらないため、曲線は直線 $y=x$ に関して対称である。そこで、座標軸を原点の周りに $\frac{\pi}{4}$ 回転させた座標系 $(X, Y)$ を考える。

$$ \begin{cases} x = X \cos \frac{\pi}{4} - Y \sin \frac{\pi}{4} = \frac{X - Y}{\sqrt{2}} \\ y = X \sin \frac{\pi}{4} + Y \cos \frac{\pi}{4} = \frac{X + Y}{\sqrt{2}} \end{cases} $$

これらを方程式 $x^2 - xy + y^2 = 3$ に代入する。$x^2 + y^2 = X^2 + Y^2$ および $xy = \frac{X^2 - Y^2}{2}$ であるから、

$$ X^2 + Y^2 - \frac{X^2 - Y^2}{2} = 3 $$

$$ \frac{X^2}{2} + \frac{3Y^2}{2} = 3 $$

$$ \frac{X^2}{6} + \frac{Y^2}{2} = 1 $$

これは $X$ 軸上に長軸(長さ $2\sqrt{6}$)、$Y$ 軸上に短軸(長さ $2\sqrt{2}$)をもつ標準的な楕円である。元の $x, y$ 座標系においては、長軸が $y=x$ 上、短軸が $y=-x$ 上にある傾いた楕円となる。

次に面積を求める。第1象限の条件 $x \ge 0$ かつ $y \ge 0$ は、$(X, Y)$ 座標系では

$$ X - Y \ge 0 \iff Y \le X $$

$$ X + Y \ge 0 \iff Y \ge -X $$

となる。求める面積 $S$ は、楕円 $\frac{X^2}{6} + \frac{Y^2}{2} = 1$ の内部のうち、$-X \le Y \le X$ かつ $X \ge 0$ を満たす領域の面積である。

ここで、$X = \sqrt{3} u, Y = v$ と変換する。この変換により、図形は $X$ 軸方向に $\frac{1}{\sqrt{3}}$ 倍され、面積は元の $\frac{1}{\sqrt{3}}$ 倍となる。

変換後の楕円の方程式は、

$$ \frac{3u^2}{6} + \frac{v^2}{2} = 1 \iff u^2 + v^2 = 2 $$

となり、半径 $\sqrt{2}$ の円になる。

また、境界の直線 $Y = X, Y = -X$ は、それぞれ $v = \sqrt{3} u, v = -\sqrt{3} u$ となる。これは $u$ 軸の正の向きとなす角がそれぞれ $\frac{\pi}{3}, -\frac{\pi}{3}$ の直線である。

したがって、変換後の領域は、半径 $\sqrt{2}$ の円のうち、中心角が $\frac{\pi}{3} - \left(-\frac{\pi}{3}\right) = \frac{2\pi}{3}$ となる扇形である。

この扇形の面積 $S'$ は、

$$ S' = \pi (\sqrt{2})^2 \times \frac{\frac{2\pi}{3}}{2\pi} = 2\pi \times \frac{1}{3} = \frac{2\pi}{3} $$

元の面積 $S$ は $S'$ の $\sqrt{3}$ 倍であるから、

$$ S = \sqrt{3} S' = \frac{2\sqrt{3}}{3} \pi $$

解法3

与えられた方程式を $y$ について解く。

$$ y^2 - xy + (x^2 - 3) = 0 $$

$$ y = \frac{x \pm \sqrt{x^2 - 4(x^2 - 3)}}{2} = \frac{x \pm \sqrt{12 - 3x^2}}{2} $$

実数 $y$ が存在するための条件は、根号内が $0$ 以上となることである。

$$ 12 - 3x^2 \ge 0 \iff x^2 \le 4 \iff -2 \le x \le 2 $$

$x=0$ のとき $y = \pm \sqrt{3}$ であり、$y=0$ のとき $x = \pm \sqrt{3}$ である。これらと定義域を考慮すると、曲線の第1象限にある部分は $0 \le x \le 2$ の範囲に存在する。

曲線の上側の枝を $y_1 = \frac{x + \sqrt{12 - 3x^2}}{2}$、下側の枝を $y_2 = \frac{x - \sqrt{12 - 3x^2}}{2}$ とおく。

第1象限において、領域の上端は常に $y_1$ であるが、下端は $0 \le x \le \sqrt{3}$ の区間では $x$ 軸($y=0$)であり、$\sqrt{3} \le x \le 2$ の区間では $y_2$ となる。したがって、求める面積 $S$ は次のように表せる。

$$ S = \int_{0}^{\sqrt{3}} y_1 dx + \int_{\sqrt{3}}^{2} (y_1 - y_2) dx $$

これを計算しやすくするため、次のように変形する。

$$ S = \int_{0}^{2} y_1 dx - \int_{\sqrt{3}}^{2} y_2 dx $$

$$ S = \int_{0}^{2} \frac{x + \sqrt{12-3x^2}}{2} dx - \int_{\sqrt{3}}^{2} \frac{x - \sqrt{12-3x^2}}{2} dx $$

$$ S = \frac{1}{2} \int_{0}^{\sqrt{3}} x dx + \frac{\sqrt{3}}{2} \int_{0}^{2} \sqrt{4-x^2} dx + \frac{\sqrt{3}}{2} \int_{\sqrt{3}}^{2} \sqrt{4-x^2} dx $$

それぞれの定積分を計算する。

$$ \frac{1}{2} \int_{0}^{\sqrt{3}} x dx = \frac{1}{2} \left[ \frac{1}{2}x^2 \right]_0^{\sqrt{3}} = \frac{3}{4} $$

$\int_{0}^{2} \sqrt{4-x^2} dx$ は、半径 $2$ の円の面積の $\frac{1}{4}$ であるから、

$$ \int_{0}^{2} \sqrt{4-x^2} dx = \frac{1}{4} \cdot \pi \cdot 2^2 = \pi $$

$\int_{\sqrt{3}}^{2} \sqrt{4-x^2} dx$ については、$x = 2\sin\theta$ と置換する。

$dx = 2\cos\theta d\theta$ であり、$x$ が $\sqrt{3} \to 2$ と変化するとき、$\theta$ は $\frac{\pi}{3} \to \frac{\pi}{2}$ と変化する。

$$ \int_{\sqrt{3}}^{2} \sqrt{4-x^2} dx = \int_{\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{4-4\sin^2\theta} \cdot 2\cos\theta d\theta = 4 \int_{\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2\theta d\theta $$

$$ = 2 \int_{\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{2}} (1 + \cos 2\theta) d\theta = 2 \left[ \theta + \frac{1}{2}\sin 2\theta \right]_{\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{2}} $$

$$ = 2 \left( \frac{\pi}{2} - \left( \frac{\pi}{3} + \frac{\sqrt{3}}{4} \right) \right) = \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{2} $$

これらを面積 $S$ の式に代入する。

$$ S = \frac{3}{4} + \frac{\sqrt{3}}{2} \pi + \frac{\sqrt{3}}{2} \left( \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{2} \right) $$

$$ S = \frac{3}{4} + \frac{\sqrt{3}\pi}{2} + \frac{\sqrt{3}\pi}{6} - \frac{3}{4} = \frac{4\sqrt{3}\pi}{6} = \frac{2\sqrt{3}}{3} \pi $$

解説

2次曲線 $ax^2 + bxy + cy^2 = d$ によって囲まれる図形の面積を求める典型問題である。

曲線の形状を把握するためには、解法1のように極座標表示するか、解法2のように座標軸を回転して $xy$ の項を消去するのが定石である。面積の求積においては、解法3のように $y$ を $x$ の関数として無理関数の積分を実行することも可能だが、置換積分が煩雑になり、計算ミスのリスクが高まる。

本問のように原点中心で対称性のある図形は、解法2のように図形の拡大・縮小(アフィン変換)を用いて円に帰着させる手法が最もスマートである。扇形の面積計算だけで済むため、実戦ではぜひとも習得しておきたい解法である。

答え

略図は、直線 $y=x$ 上に長軸、直線 $y=-x$ 上に短軸をもち、$x$ 軸との交点が $(\pm \sqrt{3}, 0)$、$y$ 軸との交点が $(0, \pm \sqrt{3})$ となる、原点を中心とした傾いた楕円である。

求める面積は $\frac{2\sqrt{3}}{3}\pi$

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