東北大学 1993年 理系 第4問 解説

方針・初手
確率は「場合の数の比」で数えるのが最も自然である。
集合 $T$ の大きさは $r+n$ であり,そこから $r+k$ 個を一様に選ぶ。 このとき,集合 $S={1,2,\dots,r}$ の元がすべて含まれるためには,$S$ の $r$ 個を必ず取り,残り $k$ 個を $T\setminus S$ の $n$ 個から選べばよい。
(2) では,(1) で得た式を階差の形に直して望遠和にする。
解法1
(1)
$T$ から $r+k$ 個を選ぶ総数は
$$ {}_{r+n}\mathrm{C}_{r+k} $$
である。
一方,$S$ の元がすべて含まれるためには,$S$ の $r$ 個は全て選ばれていなければならない。 したがって,残り $k$ 個を $T\setminus S$ の $n$ 個から選ぶので,有利な場合の数は
$$ {}_{n}\mathrm{C}_{k} $$
である。
よって
$$ a_n=\frac{{}_{n}\mathrm{C}_{k}}{{}_{r+n}\mathrm{C}_{r+k}} $$
となる。
これを階乗で表せば
$$ a_n === # \frac{\dfrac{n!}{k!(n-k)!}}{\dfrac{(r+n)!}{(r+k)!(n-k)!}} \frac{(r+k)!}{k!}\cdot\frac{n!}{(r+n)!} $$
である。
(2)
まず
$$ \frac{n!}{(n+r)!} ================= \frac{1}{r-1} \left( \frac{n!}{(n+r-1)!} ------------------- \frac{(n+1)!}{(n+r)!} \right) $$
が成り立つ。実際,
$$ \frac{n!}{(n+r-1)!} ------------------- # \frac{(n+1)!}{(n+r)!} \frac{n!}{(n+r-1)!} \left( 1-\frac{n+1}{n+r} \right) ======= (r-1)\frac{n!}{(n+r)!} $$
である。
したがって
$$ a_n === \frac{(r+k)!}{k!(r-1)} \left( \frac{n!}{(n+r-1)!} ------------------- \frac{(n+1)!}{(n+r)!} \right) $$
となる。
ここで,問題文の条件より $a_n$ が定まるのは $n\ge k$ のときであるから,級数は実質的に
$$ \sum_{n=\max{1,k}}^\infty a_n $$
を考えればよい。
(i) $k=0$ のとき
このとき下端は $n=1$ であるから,
$$ \sum_{n=1}^{N} a_n ================== \frac{r!}{(r-1)} \sum_{n=1}^{N} \left( \frac{n!}{(n+r-1)!} ------------------- \frac{(n+1)!}{(n+r)!} \right) $$
$$ \frac{r!}{(r-1)} \left( \frac{1!}{r!} ------------- \frac{(N+1)!}{(N+r)!} \right) $$
となる。
$r\ge2$ より
$$ \frac{(N+1)!}{(N+r)!} ===================== \frac{1}{(N+2)(N+3)\cdots(N+r)} \to 0 \qquad(N\to\infty) $$
なので,
$$ \sum_{n=1}^\infty a_n ===================== # \frac{r!}{r-1}\cdot\frac{1}{r!} \frac{1}{r-1} $$
である。
(ii) $k\ge1$ のとき
このとき下端は $n=k$ であるから,
$$ \sum_{n=k}^{N} a_n ================== \frac{(r+k)!}{k!(r-1)} \sum_{n=k}^{N} \left( \frac{n!}{(n+r-1)!} ------------------- \frac{(n+1)!}{(n+r)!} \right) $$
$$ \frac{(r+k)!}{k!(r-1)} \left( \frac{k!}{(k+r-1)!} ------------------- \frac{(N+1)!}{(N+r)!} \right) $$
となる。
再び $r\ge2$ より $\dfrac{(N+1)!}{(N+r)!}\to0$ であるから,
$$ \sum_{n=1}^\infty a_n ===================== # \sum_{n=k}^\infty a_n # \frac{(r+k)!}{k!(r-1)}\cdot\frac{k!}{(k+r-1)!} \frac{r+k}{r-1} $$
である。
解説
この問題の本質は,まず確率を直接数え上げることである。 「$S$ の元がすべて含まれる」という条件は,$S$ の $r$ 個を固定してしまえば,残りをどこから選ぶかという単純な組合せになる。
(2) では
$$ \frac{n!}{(n+r)!} $$
をそのまま足すのではなく,階差
$$ \frac{n!}{(n+r-1)!} ------------------- \frac{(n+1)!}{(n+r)!} $$
に直すのが典型手法である。これにより望遠和となり,有限個の端の項だけが残る。
また,$k=0$ のときは和の下端が $1$,$k\ge1$ のときは下端が $k$ になるので,そこを分けて扱う必要がある。
答え
$$ a_n=\frac{{}_{n}\mathrm{C}_{k}}{{}_{r+n}\mathrm{C}_{r+k}} = \frac{(r+k)!}{k!}\cdot\frac{n!}{(r+n)!} \qquad(n\ge k) $$
また,$r\ge2$ のとき
$$ \sum_{n=1}^\infty a_n = \begin{cases} \dfrac{1}{r-1} & (k=0),\\[1.2ex] \dfrac{r+k}{r-1} & (k\ge1). \end{cases} $$
である。
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