東北大学 2019年 理系 第6問 解説

方針・初手
この試行では,赤玉を1回取り出すごとに袋の中の赤玉が1個減り,白玉が1個増える。したがって,「これまでに赤玉を何個取り出したか」だけで次に赤玉が出る確率が決まる。
まずその状態の変化を使って (1) の漸化式を立てる。次に,赤玉がちょうど1個出る場合を,その赤玉が何回目に出たかで場合分けして (2) を求める。最後にそれを漸化式へ代入して (3) を求める。
解法1
$n$ 回の試行で赤玉を $r$ 個取り出しているとき,袋の中は赤玉 $5-r$ 個,白玉 $5+r$ 個である。よって次の1回で
$$ P(\text{赤})=\frac{5-r}{10},\qquad P(\text{白})=\frac{5+r}{10} $$
となる。
(1) $p(n+1,2)$ を $p(n,2),,p(n,1)$ で表す
$n+1$ 回の試行で赤玉がちょうど2個となるのは,次の2通りである。
(i)
$n$ 回までに赤玉がちょうど2個出ていて,$(n+1)$ 回目が白玉である場合
このとき袋の中は赤玉3個,白玉7個であるから,$(n+1)$ 回目が白玉である確率は $\frac{7}{10}$ である。
(ii)
$n$ 回までに赤玉がちょうど1個出ていて,$(n+1)$ 回目が赤玉である場合
このとき袋の中は赤玉4個,白玉6個であるから,$(n+1)$ 回目が赤玉である確率は $\frac{4}{10}=\frac{2}{5}$ である。
以上より,
$$ p(n+1,2)=\frac{7}{10}p(n,2)+\frac{2}{5}p(n,1) $$
である。
(2) $p(n,1)$ を求める
赤玉がちょうど1個だけ出るとする。その唯一の赤玉が $i$ 回目に出るとすると,
- $1$ 回目から $(i-1)$ 回目まではすべて白玉
- $i$ 回目は赤玉
- $(i+1)$ 回目から $n$ 回目まではすべて白玉
でなければならない。
最初の赤玉が出るまでは袋の中は常に赤5個,白5個であるから,$1$ 回目から $(i-1)$ 回目までがすべて白玉である確率は
$$ \left(\frac12\right)^{i-1} $$
であり,$i$ 回目に赤玉が出る確率は $\frac12$ である。
その後は袋の中が赤4個,白6個となるので,残り $n-i$ 回がすべて白玉である確率は
$$ \left(\frac35\right)^{n-i} $$
である。
したがって,唯一の赤玉が $i$ 回目に出る確率は
$$ \left(\frac12\right)^{i-1}\cdot \frac12 \cdot \left(\frac35\right)^{n-i} $$
である。これを $i=1,2,\dots,n$ について足し合わせると,
$$ p(n,1)=\sum_{i=1}^{n}\left(\frac12\right)^{i-1}\cdot \frac12 \cdot \left(\frac35\right)^{n-i} $$
となる。これは等比数列の和であるから,
$$ \begin{aligned} p(n,1) &=\frac12\left(\frac35\right)^{n-1}\sum_{i=0}^{n-1}\left(\frac56\right)^i \\ &=\frac12\left(\frac35\right)^{n-1}\cdot \frac{1-\left(\frac56\right)^n}{1-\frac56} \\ &=3\left(\frac35\right)^{n-1}\left{1-\left(\frac56\right)^n\right} \\ &=5\left{\left(\frac35\right)^n-\left(\frac12\right)^n\right} \end{aligned} $$
よって,
$$ p(n,1)=5\left{\left(\frac35\right)^n-\left(\frac12\right)^n\right} $$
である。
(3) $p(n,2)$ を求める
(1) の式に (2) の結果を代入すると,
$$ \begin{aligned} p(n+1,2) &=\frac{7}{10}p(n,2)+\frac25\cdot 5\left{\left(\frac35\right)^n-\left(\frac12\right)^n\right} \\ &=\frac{7}{10}p(n,2)+2\left(\frac35\right)^n-2\left(\frac12\right)^n \end{aligned} $$
となる。
ここで,
$$ q_n=p(n,2) $$
とおくと,
$$ q_{n+1}-\frac{7}{10}q_n=2\left(\frac35\right)^n-2\left(\frac12\right)^n $$
である。この形から,
$$ q_n=A\left(\frac{7}{10}\right)^n+B\left(\frac35\right)^n+C\left(\frac12\right)^n $$
とおいて係数を定める。これを上の漸化式に代入すると,
$$ B=-20,\qquad C=10 $$
を得る。したがって,
$$ q_n=A\left(\frac{7}{10}\right)^n-20\left(\frac35\right)^n+10\left(\frac12\right)^n $$
となる。
初期値は,2回の試行で赤玉がちょうど2個出る確率より
$$ p(2,2)=\frac12\cdot\frac{4}{10}=\frac15 $$
である。これを代入すると,
$$ \frac15=A\left(\frac{7}{10}\right)^2-20\left(\frac35\right)^2+10\left(\frac12\right)^2 $$
すなわち
$$ \frac15=\frac{49}{100}A-\frac{36}{5}+\frac52 $$
であるから,
$$ A=10 $$
となる。
よって,
$$ p(n,2)=10\left(\frac{7}{10}\right)^n-20\left(\frac35\right)^n+10\left(\frac12\right)^n $$
すなわち
$$ p(n,2)=10\left{\left(\frac{7}{10}\right)^n-2\left(\frac35\right)^n+\left(\frac12\right)^n\right} $$
である。
解説
この問題では,「これまでに赤玉を何個取り出したか」が次の確率を決める状態量になっている。白玉を取り出しても袋の中身は変わらないが,赤玉を取り出すと赤玉が1個減るため,以後の赤玉の出る確率が下がる。
$p(n,1)$ は,唯一の赤玉が何回目に出たかで場合分けすると自然に求まる。$p(n,2)$ も同様に直接数え上げることはできるが,まず漸化式を立ててから $p(n,1)$ を代入する方が整理しやすい。状態遷移を確率漸化式に落とし込む典型的な問題である。
答え
$$ p(n+1,2)=\frac{7}{10}p(n,2)+\frac{2}{5}p(n,1) $$
$$ p(n,1)=5\left{\left(\frac35\right)^n-\left(\frac12\right)^n\right} $$
$$ p(n,2)=10\left{\left(\frac{7}{10}\right)^n-2\left(\frac35\right)^n+\left(\frac12\right)^n\right} $$
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