東北大学 1998年 理系 第3問 解説

方針・初手
印のついた面の位置は、各操作の後で
- 上面
- 側面
- 底面
の3通りに分類できる。
したがって、各状態から次の操作でどこへ移るかを整理すればよい。特に、印のついた面が側面にあるときは、倒す向きによって上面・底面・側面のいずれにもなりうるので、そこを正確に数えるのが初手である。
解法1
印のついた面が $n$ 回後に
- 側面にある確率を $a_n$
- 底面にある確率を $b_n$
- 上面にある確率を $c_n$
とおく。
もちろん
$$ a_n+b_n+c_n=1 $$
である。
状態の移り方
上面にあるとき
底面の4辺のどれを軸にして倒しても、上面は必ず側面へ移る。 したがって
$$ \text{上面} \to \text{側面} \quad (\text{確率 }1) $$
である。
底面にあるとき
同様に、底面にある面は1回倒せば必ず側面へ移る。 したがって
$$ \text{底面} \to \text{側面} \quad (\text{確率 }1) $$
である。
側面にあるとき
印のついた面を1つの側面とする。このとき、底面の4辺のうち
- その面側へ倒せば印の面は底面になる
- 反対側へ倒せば印の面は上面になる
- 残り2辺を軸に倒せば印の面は側面のままである
から、
$$ \text{側面} \to \begin{cases} \text{上面} & \text{確率 } \dfrac14,\\ \text{底面} & \text{確率 } \dfrac14,\\ \text{側面} & \text{確率 } \dfrac12 \end{cases} $$
となる。
(1) $a_2$ を求める
最初は印の面は上面にあるので、1回倒した後は必ず側面にある。すなわち
$$ a_1=1 $$
である。
次に、側面にある状態からもう1回倒したとき、引き続き側面にある確率は $\dfrac12$ であるから、
$$ a_2=\frac12 $$
である。
(2) $a_{n+1}$ と $a_n$ の関係式
上の遷移を用いると、
- $n$ 回後に上面にあるとき、次は必ず側面
- $n$ 回後に底面にあるとき、次も必ず側面
- $n$ 回後に側面にあるとき、次に側面にある確率は $\dfrac12$
であるから、
$$ a_{n+1}=c_n+b_n+\frac12 a_n $$
となる。
ここで $a_n+b_n+c_n=1$ より $b_n+c_n=1-a_n$ だから、
$$ a_{n+1}=1-a_n+\frac12 a_n =1-\frac12 a_n $$
したがって、求める関係式は
$$ a_{n+1}=1-\frac12 a_n \qquad (n\ge 1) $$
である。
(3) $b_n$ を $n$ の式で表し,$\displaystyle \lim_{n\to\infty} b_n$ を求める
まず $a_n$ を求める。
漸化式
$$ a_{n+1}=1-\frac12 a_n $$
の定常値を $a$ とすると
$$ a=1-\frac12 a $$
より
$$ a=\frac23 $$
である。
そこで
$$ x_n=a_n-\frac23 $$
とおくと、
$$ x_{n+1}=a_{n+1}-\frac23 =1-\frac12 a_n-\frac23 =-\frac12\left(a_n-\frac23\right) =-\frac12 x_n $$
となる。さらに $a_1=1$ より
$$ x_1=1-\frac23=\frac13 $$
だから、
$$ x_n=\frac13\left(-\frac12\right)^{n-1} $$
すなわち
$$ a_n=\frac23+\frac13\left(-\frac12\right)^{n-1} $$
である。
次に $b_n$ を求める。
側面から次に上面へ行く確率も底面へ行く確率もともに $\dfrac14$ であり、上面・底面からはどちらも次に側面へ移る。したがって $n\ge1$ では上面にある確率と底面にある確率は等しい。すなわち
$$ c_n=b_n \qquad (n\ge1) $$
である。
よって
$$ a_n+b_n+c_n=1 $$
に $c_n=b_n$ を代入して
$$ a_n+2b_n=1 $$
となるから、
$$ b_n=\frac{1-a_n}{2} $$
である。ここに先ほどの $a_n$ を代入すると、
$$ b_n =\frac12\left(1-\frac23-\frac13\left(-\frac12\right)^{n-1}\right) =\frac16\left(1-\left(-\frac12\right)^{n-1}\right) \qquad (n\ge1) $$
したがって、
$$ \lim_{n\to\infty} b_n =\frac16 $$
である。
解説
この問題は、立方体の詳しい向き全体を追う必要はなく、印のついた面が「上・側・下」のどこにあるかだけを状態として見れば十分である。
特に重要なのは、側面にあるときの遷移である。4通りの倒し方のうち、
- 1通りで上面
- 1通りで底面
- 2通りで側面
となることを正確に数えれば、あとは確率漸化式の処理になる。
また、上面と底面は対称な役割を果たすので、$n\ge1$ ではそれらの確率が一致することに気づくと、$b_n$ の計算が大きく簡単になる。
答え
$$ a_2=\frac12 $$
$$ a_{n+1}=1-\frac12 a_n \qquad (n\ge1) $$
$$ b_n=\frac16\left(1-\left(-\frac12\right)^{,n-1}\right)\qquad (n\ge1) $$
$$ \lim_{n\to\infty} b_n=\frac16 $$
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