東北大学 1994年 理系 第6問 解説

方針・初手
条件
$$ P_n(\cos \theta)=\cos n\theta $$
から、三角関数の加法定理を使って $P_n$ の漸化式を作るのが自然である。 その漸化式を用いれば次数は帰納的に分かり、さらに $P_5(x)$ も順に計算できる。 最後は $P_5(x)-1$ を因数分解して実数解の個数を調べる。
解法1
まず $n=0,1$ のとき
$$ P_0(\cos \theta)=\cos 0\theta=1,\qquad P_1(\cos \theta)=\cos \theta $$
であるから、
$$ P_0(x)=1,\qquad P_1(x)=x $$
である。
(1)
加法定理より
$$ \cos (n+1)\theta+\cos (n-1)\theta=2\cos \theta \cos n\theta $$
である。ここで $x=\cos \theta$ とおくと
$$ P_{n+1}(x)+P_{n-1}(x)=2xP_n(x) $$
が少なくとも $-1\le x\le 1$ で成り立つ。両辺は $x$ の多項式であり、無限個の実数 $x$ について一致するので、多項式として恒等的に
$$ P_{n+1}(x)+P_{n-1}(x)=2xP_n(x) $$
が成り立つ。
したがって
$$ P_{n+1}(x)=2xP_n(x)-P_{n-1}(x) $$
である。
次に次数を求める。 $P_0(x)=1$ は $0$ 次、$P_1(x)=x$ は $1$ 次である。
ここで $\deg P_n=n,\ \deg P_{n-1}=n-1$ と仮定すると、
$$ P_{n+1}(x)=2xP_n(x)-P_{n-1}(x) $$
より、$2xP_n(x)$ は $n+1$ 次、$P_{n-1}(x)$ は $n-1$ 次であるから、最高次の項は打ち消されない。よって
$$ \deg P_{n+1}=n+1 $$
である。数学的帰納法により
$$ \deg P_n=n $$
が成り立つ。
(2)
漸化式を順に用いる。
$$ P_2(x)=2xP_1(x)-P_0(x)=2x^2-1 $$
$$ P_3(x)=2xP_2(x)-P_1(x)=2x(2x^2-1)-x=4x^3-3x $$
$$ P_4(x)=2xP_3(x)-P_2(x)=2x(4x^3-3x)-(2x^2-1)=8x^4-8x^2+1 $$
$$ P_5(x)=2xP_4(x)-P_3(x)=2x(8x^4-8x^2+1)-(4x^3-3x) $$
したがって
$$ P_5(x)=16x^5-20x^3+5x $$
である。
(3)
方程式 $P_5(x)=1$ は
$$ 16x^5-20x^3+5x-1=0 $$
である。これを因数分解すると
$$ 16x^5-20x^3+5x-1=(x-1)(16x^4+16x^3-4x^2-4x+1) $$
さらに
$$ 16x^4+16x^3-4x^2-4x+1=(4x^2+2x-1)^2 $$
であるから、
$$ P_5(x)-1=(x-1)(4x^2+2x-1)^2 $$
となる。よって実数解は
$$ x=1,\qquad 4x^2+2x-1=0 $$
から
$$ x=1,\qquad x=\frac{-1+\sqrt5}{4},\qquad x=\frac{-1-\sqrt5}{4} $$
の3個である。したがって異なる実数解の個数は
$$ 3 $$
である。
解説
この問題の核心は、条件 $P_n(\cos \theta)=\cos n\theta$ から三角関数の加法定理を使って多項式の漸化式を引き出すことである。 得られる
$$ P_{n+1}(x)=2xP_n(x)-P_{n-1}(x) $$
はチェビシェフ多項式の基本的な関係式であり、次数判定にも具体計算にもそのまま使える。
また、最後は $\cos 5\theta$ の形を使って考えてもよいが、方程式の実数解の個数を確実に数えるには、求めた $P_5(x)$ を直接因数分解するのが最も明快である。
答え
$$ P_{n+1}(x)+P_{n-1}(x)=2xP_n(x) $$
したがって
$$ P_{n+1}(x)=2xP_n(x)-P_{n-1}(x) $$
であり、
$$ \deg P_n=n $$
である。
また
$$ P_5(x)=16x^5-20x^3+5x $$
である。
さらに、方程式 $P_5(x)=1$ の異なる実数解の個数は
$$ 3 $$
である。
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