東北大学 1998年 理系 第6問 解説

方針・初手
(1) 円の中心を $O(a,b)$ とすると,円周上の点 $Q$ に対して $OQ=r$ である。したがって $PQ$ の最小値は,三角不等式
$$ PQ \geqq |OP-OQ| $$
を使えば求められる。
(2) (1) の結果より,点 $P$ から円までの距離は「中心までの距離」と「半径」の差の絶対値で表される。よって,2つの円から等距離という条件は,2つの焦点からの距離の和または差が一定となる条件に直せる。
解法1
(1) 点 $P(p,q)$ と円 $C:(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ の距離
円の中心を $O(a,b)$ とし,
$$ OP=\sqrt{(p-a)^2+(q-b)^2} $$
とおく。
円周上の任意の点 $Q(x,y)$ に対して $OQ=r$ であるから,三角不等式より
$$ PQ \geqq |OP-OQ|=|OP-r| $$
が成り立つ。
しかも,$O,P,Q$ が一直線上に並ぶように $Q$ をとれば等号が成り立つので,$PQ$ の最小値 $d$ は
$$ d=|OP-r| $$
である。
したがって,
(i) $P$ が円 $C$ の外部にあるとき,$OP>r$ だから
$$ d=OP-r=\sqrt{(p-a)^2+(q-b)^2}-r $$
である。
(ii) $P$ が円 $C$ の内部にあるとき,$OP<r$ だから
$$ d=r-OP=r-\sqrt{(p-a)^2+(q-b)^2} $$
である。
なお,$P$ が円周上にあるときは $d=0$ である。
(2) 2つの円 $C_1,C_2$ から等距離にある点 $P$ の軌跡
$P(x,y)$ とし,$C_1,C_2$ の中心をそれぞれ
$$ O_1(-4,0),\qquad O_2(4,0) $$
とする。
半径は
$$ C_1:\ 9,\qquad C_2:\ 7 $$
であるから,(1) より $P$ から各円までの距離は
$$ d(P,C_1)=\left|\sqrt{(x+4)^2+y^2}-9\right| $$
$$ d(P,C_2)=\left|\sqrt{(x-4)^2+y^2}-7\right| $$
となる。
これらが等しいので,
$$ \left|\sqrt{(x+4)^2+y^2}-9\right| ================================= \left|\sqrt{(x-4)^2+y^2}-7\right| $$
である。よって
$$ \sqrt{(x+4)^2+y^2}-9 ==================== \pm\left(\sqrt{(x-4)^2+y^2}-7\right) $$
となり,次の2場合に分かれる。
(i)
$$ \sqrt{(x+4)^2+y^2}-9=\sqrt{(x-4)^2+y^2}-7 $$
このとき
$$ \sqrt{(x+4)^2+y^2}-\sqrt{(x-4)^2+y^2}=2 $$
である。
これは,2点 $O_1,O_2$ からの距離の差が一定 $2$ である点の軌跡であるから,焦点を $(-4,0),(4,0)$ とする双曲線である。
焦点間距離は $2c=8$ より $c=4$,距離の差が $2$ だから $2a=2$ より $a=1$ である。したがって
$$ b^2=c^2-a^2=16-1=15 $$
となるので,双曲線の方程式は
$$ \frac{x^2}{1}-\frac{y^2}{15}=1 $$
である。
ただし,もとの条件は
$$ PO_1-PO_2=2 $$
であるから,この双曲線のうち右側の枝に限る。
(ii)
$$ \sqrt{(x+4)^2+y^2}-9 ==================== -\left(\sqrt{(x-4)^2+y^2}-7\right) $$
このとき
$$ \sqrt{(x+4)^2+y^2}+\sqrt{(x-4)^2+y^2}=16 $$
である。
これは,2点 $O_1,O_2$ からの距離の和が一定 $16$ である点の軌跡であるから,焦点を $(-4,0),(4,0)$ とする楕円である。
ここで
$$ 2a=16 \quad \Rightarrow \quad a=8,\qquad c=4 $$
より,
$$ b^2=a^2-c^2=64-16=48 $$
である。したがって楕円の方程式は
$$ \frac{x^2}{64}+\frac{y^2}{48}=1 $$
となる。
以上より,求める軌跡は
$$ \frac{x^2}{64}+\frac{y^2}{48}=1 $$
と
$$ x^2-\frac{y^2}{15}=1 $$
の右側の枝との和集合である。
解説
(1) の本質は,「点から円までの最短距離」は中心までの距離と半径の差の絶対値になる,ということである。これは三角不等式で直ちに押さえられる基本事項である。
(2) では,円までの距離を中心までの距離に直し,絶対値を外すと,焦点からの距離の差が一定または和が一定という形になる。したがって双曲線と楕円が自然に現れる。ここで,双曲線は両枝全部ではなく,符号条件に対応する片方の枝だけを取る点が注意点である。
答え
$$ \text{(1)}\quad d= \begin{cases} \sqrt{(p-a)^2+(q-b)^2}-r & (P \text{ が } C \text{ の外部}) \\ r-\sqrt{(p-a)^2+(q-b)^2} & (P \text{ が } C \text{ の内部}) \end{cases} $$
$$ \text{(2)}\quad \text{軌跡は } \frac{x^2}{64}+\frac{y^2}{48}=1 \text{ と } x^2-\frac{y^2}{15}=1 \text{ の右側の枝の和集合} $$
である。
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