東北大学 1998年 理系 第5問 解説

方針・初手
絶対値の中身の符号で $x=1$ を境に分ける。
$$ x^2+a|x-1|+b= \begin{cases} x^2-ax+a+b & (x<1),\\ x^2+ax+b-a & (x\ge 1). \end{cases} $$
したがって,
$$ Q(x)=x^2-ax+a+b \qquad (x<1), $$
$$ P(x)=x^2+ax+b-a \qquad (x\ge 1) $$
が,それぞれ自分の担当する区間で何個ずつ解をもつかを調べればよい。 $Q$ の頂点は $x=\dfrac a2$,$P$ の頂点は $x=-\dfrac a2$ にあるので,$a$ の値で場合分けする。
解法1
(i) $a\ge 2$ のとき
このとき $x<1$ では
$$ Q'(x)=2x-a<0 $$
であるから,$Q$ は $(-\infty,1)$ で単調減少である。よって $x<1$ に解を 1 個もつのは
$$ Q(1)=1+b<0 $$
すなわち
$$ b<-1 $$
のときに限る。
また $x\ge 1$ では
$$ P'(x)=2x+a>0 $$
であるから,$P$ は $[1,\infty)$ で単調増加である。したがって $x\ge 1$ に解を 1 個もつのは
$$ P(1)=1+b\le 0 $$
すなわち
$$ b\le -1 $$
のときに限る。
よって全体で異なる実数解をちょうど 2 個もつのは
$$ b<-1 $$
のときである。
(ii) $-2<a<2$ のとき
まず $x\ge 1$ では,やはり
$$ P'(x)=2x+a>0 $$
であるから,$P$ は $[1,\infty)$ で単調増加である。したがって右側の区間に解を 1 個もつのは
$$ b\le -1 $$
のときである。
次に $x<1$ では,$Q$ の頂点は $x=\dfrac a2<1$ にあり,最小値は
$$ Q\left(\frac a2\right) ====================== # \left(\frac a2\right)^2-a\left(\frac a2\right)+a+b b+a-\frac{a^2}{4} $$
である。
したがって,
- $b+a-\dfrac{a^2}{4}>0$ なら,$x<1$ に解はない。
- $b+a-\dfrac{a^2}{4}=0$ なら,$x<1$ に解は 1 個である。
- $b+a-\dfrac{a^2}{4}<0$ なら,さらに $Q(1)=1+b$ の符号で個数が決まる。
ここで $b+a-\dfrac{a^2}{4}<0$ のもとで考えると,
- $b>-1$ なら $Q(1)>0$ なので,$x<1$ に解は 2 個ある。
- $b=-1$ なら $x=1$ が 1 つの根になるので,$x<1$ にある根は 1 個である。
- $b<-1$ なら $Q(1)<0$ なので,$x<1$ にある根は 1 個である。
よって全体でちょうど 2 個となるのは,
- $b\le -1$ のとき(左で 1 個,右で 1 個)
- $-1<b<\dfrac{a^2}{4}-a$ のとき(左で 2 個,右で 0 個)
である。
しかも $-2<a<2$ では
$$ \frac{a^2}{4}-a+1=\frac{(a-2)^2}{4}>0 $$
より
$$ \frac{a^2}{4}-a>-1 $$
であるから,上の 2 つはまとめて
$$ b<\frac{a^2}{4}-a $$
となる。
(iii) $a\le -2$ のとき
このときは $Q$ の頂点 $x=\dfrac a2$ も,$P$ の頂点 $x=-\dfrac a2$ も,それぞれの担当区間の中にある。
まず
$$ Q\left(\frac a2\right)=b+a-\frac{a^2}{4}, \qquad P\left(-\frac a2\right)=b-a-\frac{a^2}{4} $$
であるから,
$$ Q \text{ が } x<1 \text{ で 2 個の解をもつ条件 } \iff b<\frac{a^2}{4}-a, $$
$$ P \text{ が } x\ge 1 \text{ で 2 個の解をもつ条件 } \iff b<a+\frac{a^2}{4} $$
となる。ただし実際の個数は $x=1$ での値
$$ Q(1)=P(1)=1+b $$
も見て判定する必要がある。
$a<-2$ のとき
このとき
$$ -1<a+\frac{a^2}{4}<\frac{a^2}{4}-a $$
が成り立つ。したがって $b$ の位置ごとに解の個数を数えると,
$b<-1$ のとき 左側で 1 個,右側で 1 個。合計 2 個。
$-1<b<a+\dfrac{a^2}{4}$ のとき 左側で 2 個,右側で 2 個。合計 4 個。
$b=a+\dfrac{a^2}{4}$ のとき 左側で 2 個,右側で 1 個。合計 3 個。
$a+\dfrac{a^2}{4}<b<\dfrac{a^2}{4}-a$ のとき 左側で 2 個,右側で 0 個。合計 2 個。
$b=\dfrac{a^2}{4}-a$ のとき 左側で 1 個,右側で 0 個。合計 1 個。
$b>\dfrac{a^2}{4}-a$ のとき 解はない。
よって $a<-2$ では
$$ b<-1 \quad\text{または}\quad a+\frac{a^2}{4}<b<\frac{a^2}{4}-a $$
が求める条件である。
$a=-2$ のとき
このとき
$$ P(x)=x^2-2x+b+2=(x-1)^2+b+1, $$
$$ Q(x)=x^2+2x+b-2=(x+1)^2+b-3 $$
である。
$P$ は $x\ge 1$ で解をもつのが $b\le -1$ のとき,$Q$ は $x<1$ で 2 個の解をもつのが $b<3$ のときである。実際に数えると,全体でちょうど 2 個となるのは
$$ b<3 $$
である。
以上をまとめる。
解説
この問題の要点は,絶対値を外したあとに「二次方程式の判別式」だけで押し切ろうとしないことである。 同じ二次方程式でも,必要なのは
- 左側では $x<1$ にある根の個数
- 右側では $x\ge 1$ にある根の個数
であり,区間制限つきの根の個数を数えなければならない。
そのため,頂点の位置が $1$ の左右どちらにあるかを見て,その区間で単調かどうか,あるいは最小値をとるかどうかを調べるのが自然である。 $a=2,,-2$ が境目になるのは,それぞれ頂点がちょうど $x=1$ に来るからである。
答え
求める領域は次である。
$$ \begin{cases} a\ge 2 &\text{のとき}\quad b<-1,\\[2mm] -2<a<2 &\text{のとき}\quad b<\dfrac{a^2}{4}-a,\\[2mm] a=-2 &\text{のとき}\quad b<3,\\[2mm] a<-2 &\text{のとき}\quad \begin{aligned}[t] &b<-1\\ &\text{または}\\ &a+\dfrac{a^2}{4}<b<\dfrac{a^2}{4}-a. \end{aligned} \end{cases} $$
したがって $ab$ 平面では,
- $a\ge 2$ では直線 $b=-1$ の下側,
- $-2<a<2$ では放物線 $b=\dfrac{a^2}{4}-a$ の下側,
- $a=-2$ では $b<3$,
- $a<-2$ では直線 $b=-1$ の下側と,2 つの放物線
$$ b=a+\frac{a^2}{4}, \qquad b=\frac{a^2}{4}-a $$
にはさまれた部分
が該当する。
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