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東北大学 2012年 理系 第3問 解説

数学A/確率数学A/場合の数
東北大学 2012年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は、袋 $A$ から出る順番を固定すると、袋 $B$ から出る順番が $1,2,3,4$ の順列になるとみなせる。したがって、一致回数 $X$ はその順列の不動点の個数である。

(2) は、各時点で「残っているカードの枚数」だけを見ればよい。残りが $m$ 枚のとき、1回の操作で一致して取り除かれる確率は $1/m$ である。この事実を用いて幾何的に数える。

解法1

(1)

袋 $A$ からカードが出る順番を固定する。すると、袋 $B$ から出る順番は $1,2,3,4$ の並べ替え、すなわち $4! = 24$ 通りの順列が同様に確からしく起こる。

このとき、4回の操作で数字が一致する回数 $X$ は、その順列の不動点の個数に等しい。

$X=1$ のとき

一致する数字を1つ選ぶ方法は ${}_{4}\mathrm{C}_{1}=4$ 通りである。残り3個は一致してはいけないので、残り3個の並べ方は3元の完全順列の個数 $2$ 通りである。

よって、

$$ P(X=1)=\frac{{}_{4}\mathrm{C}_{1} \cdot 2}{24}=\frac{8}{24}=\frac13 $$

$X=2$ のとき

一致する数字を2つ選ぶ方法は ${}_{4}\mathrm{C}_{2}=6$ 通りである。残り2個は一致してはいけないから、入れ替える1通りしかない。

したがって、

$$ P(X=2)=\frac{{}_{4}\mathrm{C}_{2} \cdot 1}{24}=\frac{6}{24}=\frac14 $$

$X=3$ のとき

3つ一致すると、残り1つも自動的に一致する。したがって $X=3$ は起こらない。

$$ P(X=3)=0 $$

$X=4$ のとき

4つすべて一致するのは恒等順列の1通りだけであるから、

$$ P(X=4)=\frac{1}{24} $$

期待値

各数字 $i\ (i=1,2,3,4)$ について、

「数字 $i$ が一致する」という事象の指示変数を $I_i$ とおく。すると

$$ X=I_1+I_2+I_3+I_4 $$

である。

各 $i$ について、袋 $A$ の数字 $i$ と袋 $B$ の数字 $i$ が対応する確率は $1/4$ であるから、

$$ E[I_i]=\frac14 $$

よって期待値の線形性より、

$$ E[X]=E[I_1]+E[I_2]+E[I_3]+E[I_4] =4\cdot \frac14=1 $$

(2)

残っているカードが $m$ 枚であるとき、袋 $A,B$ には同じ数字が $m$ 個ずつ残っている。

1回の操作で取り除かれるのは、両方から同じ数字を引いたときである。したがって、その確率は

$$ \frac{m}{m^2}=\frac1m $$

である。

$p_n$ を求める

最初は $m=3$ であるから、1回の操作で初めてカードが取り除かれる確率は $1/3$、取り除かれない確率は $2/3$ である。

「初めて取り除かれるのが $n$ 回目」であるためには、最初の $n-1$ 回は失敗し、$n$ 回目に初めて成功すればよい。よって

$$ p_n=\left(\frac23\right)^{n-1}\frac13 \qquad (n=1,2,3,\dots) $$

$q_n$ を求める

$n$ 回目の操作ですべてのカードが取り除かれるには、

となればよい。

ここで

$$ a+b+1=n $$

であり、$a\ge 1,\ b\ge 1$ だから

$$ 1\le a\le n-2 $$

である。

最初の取り除きが $a$ 回目に起こる確率は

$$ \left(\frac23\right)^{a-1}\frac13 $$

である。

1組取り除かれた後は残り2枚なので、次の取り除きが $b$ 回目に起こる確率は

$$ \left(\frac12\right)^{b-1}\frac12 $$

である。

したがって、$b=n-a-1$ を代入して

$$ q_n=\sum_{a=1}^{n-2} \left(\frac23\right)^{a-1}\frac13 \left(\frac12\right)^{n-a-2}\frac12 \qquad (n\ge 3) $$

これを整理すると、

$$ \begin{aligned} q_n &=\frac13\sum_{a=1}^{n-2} \left(\frac23\right)^{a-1} \left(\frac12\right)^{n-a-1} \\ &=\frac13\left(\frac12\right)^{n-2} \sum_{a=1}^{n-2}\left(\frac43\right)^{a-1} \\ &=\frac13\left(\frac12\right)^{n-2} \cdot \frac{\left(\frac43\right)^{,n-2}-1}{\frac43-1} \\ &=\left(\frac23\right)^{n-2}-\left(\frac12\right)^{n-2} \end{aligned} $$

よって

$$ q_n= \begin{cases} 0 & (n=1,2),\\[1mm] \left(\dfrac23\right)^{n-2}-\left(\dfrac12\right)^{n-2} & (n\ge 3) \end{cases} $$

解説

(1) の本質は、2つの袋からの取り出し結果を「順列」と見なすことである。一致回数は順列の不動点の個数になるので、順列の個数を数える問題に変わる。

(2) の本質は、状態が「残り何枚か」だけで決まることである。残りが $m$ 枚のとき成功確率は常に $1/m$ であり、失敗したら状態は変わらない。このため、各段階は幾何的に扱える。

答え

(1)

$$ P(X=1)=\frac13,\qquad P(X=2)=\frac14,\qquad P(X=3)=0,\qquad P(X=4)=\frac1{24} $$

$$ E[X]=1 $$

(2)

$$ p_n=\left(\frac23\right)^{n-1}\frac13 \qquad (n=1,2,3,\dots) $$

$$ q_n= \begin{cases} 0 & (n=1,2),\\[1mm] \left(\dfrac23\right)^{n-2}-\left(\dfrac12\right)^{n-2} & (n\ge 3) \end{cases} $$

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