東京工業大学 1977年 理系 第3問 解説

方針・初手
点 $P$ の $x$ 座標を $t$ ($t>0$) とおき、接線の方程式、および関係する直線の傾き(または方向ベクトル)を $t$ を用いて表す。
直線がなす角が等しいという条件は、直線の傾きから正接 ($\tan$) の加法定理を利用するか、方向ベクトルから内積を用いて余弦 ($\cos$) を計算することで立式できる。本問では正接を利用する方が、方程式の次数が上がらず計算が簡明になる。
解法1
点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とする。条件より $t > 0$ である。 点 $P$ は放物線 $y = x^2$ 上にあるから、$P(t, t^2)$ と表せる。 $y = x^2$ について $y' = 2x$ より、点 $P$ における接線 $l$ の傾きは $2t$ である。
接線 $l$ と $x$ 軸の正の向きとのなす角を $\theta_1$ $\left(0 < \theta_1 < \frac{\pi}{2}\right)$ とすると、
$$ \tan \theta_1 = 2t $$
である。 接線 $l$ と $y$ 軸のなす鋭角を $\alpha$ とすると、図形的な関係から $\alpha = \frac{\pi}{2} - \theta_1$ であるため、
$$ \tan \alpha = \tan \left( \frac{\pi}{2} - \theta_1 \right) = \frac{1}{\tan \theta_1} = \frac{1}{2t} $$
となる。
次に、直線 $AP$ の傾きを求める。$A\left(-\frac{1}{3}, 0\right)$, $P(t, t^2)$ より、その傾きは
$$ \frac{t^2 - 0}{t - \left(-\frac{1}{3}\right)} = \frac{t^2}{t + \frac{1}{3}} = \frac{3t^2}{3t + 1} $$
である。 直線 $AP$ と $x$ 軸の正の向きとのなす角を $\theta_2$ $\left(0 < \theta_2 < \frac{\pi}{2}\right)$ とすると、
$$ \tan \theta_2 = \frac{3t^2}{3t + 1} $$
である。
ここで、$\theta_1$ と $\theta_2$ の大小を比較する。$t > 0$ に注意して差をとると、
$$ \tan \theta_1 - \tan \theta_2 = 2t - \frac{3t^2}{3t + 1} = \frac{2t(3t + 1) - 3t^2}{3t + 1} = \frac{3t^2 + 2t}{3t + 1} > 0 $$
したがって、$\tan \theta_1 > \tan \theta_2$ であり、$0 < \theta_1, \theta_2 < \frac{\pi}{2}$ であることから $\theta_1 > \theta_2$ が成り立つ。 接線 $l$ と直線 $AP$ のなす鋭角を $\beta$ とすると、$\beta = \theta_1 - \theta_2$ であり、正接の加法定理より
$$ \tan \beta = \tan (\theta_1 - \theta_2) = \frac{\tan \theta_1 - \tan \theta_2}{1 + \tan \theta_1 \tan \theta_2} $$
となる。これに代入して計算すると、
$$ \tan \beta = \frac{2t - \frac{3t^2}{3t + 1}}{1 + 2t \cdot \frac{3t^2}{3t + 1}} = \frac{2t(3t + 1) - 3t^2}{(3t + 1) + 6t^3} = \frac{3t^2 + 2t}{6t^3 + 3t + 1} $$
となる。
問題の条件より、接線 $l$ が $y$ 軸および直線 $AP$ と等しい角度で交わるため、$\alpha = \beta$ である。 $0 < \alpha, \beta < \frac{\pi}{2}$ であるから、$\tan \alpha = \tan \beta$ が成り立つ。 したがって、
$$ \frac{1}{2t} = \frac{3t^2 + 2t}{6t^3 + 3t + 1} $$
分母を払って整理すると、
$$ \begin{aligned} 6t^3 + 3t + 1 &= 2t(3t^2 + 2t) \\ 6t^3 + 3t + 1 &= 6t^3 + 4t^2 \\ 4t^2 - 3t - 1 &= 0 \end{aligned} $$
因数分解して、
$$ (t - 1)(4t + 1) = 0 $$
$t > 0$ であるから、$t = 1$ を得る。 このとき、点 $P$ の $y$ 座標は $1^2 = 1$ となるから、求める点 $P$ の座標は $(1, 1)$ である。
解法2
点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とする。$t > 0$ であり、$P(t, t^2)$ と表せる。 $y = x^2$ について $y' = 2x$ より、点 $P$ における接線 $l$ の方向ベクトルの一つとして $\vec{v} = (1, 2t)$ がとれる。 また、$y$ 軸の方向ベクトルとして $\vec{u} = (0, 1)$ をとる。 直線 $AP$ については、点 $A\left(-\frac{1}{3}, 0\right)$ からの方向ベクトルとして $\vec{w} = \overrightarrow{AP} = \left(t + \frac{1}{3}, t^2\right)$ をとる。
接線 $l$ と $y$ 軸のなす鋭角を $\alpha$ とすると、内積を用いて、
$$ \cos \alpha = \frac{|\vec{v} \cdot \vec{u}|}{|\vec{v}||\vec{u}|} = \frac{|1 \cdot 0 + 2t \cdot 1|}{\sqrt{1^2 + (2t)^2}\sqrt{0^2 + 1^2}} = \frac{2t}{\sqrt{1 + 4t^2}} $$
となる($t > 0$ より絶対値はそのまま外せる)。
接線 $l$ と直線 $AP$ のなす鋭角を $\beta$ とすると、同様に、
$$ \cos \beta = \frac{|\vec{v} \cdot \vec{w}|}{|\vec{v}||\vec{w}|} = \frac{\left|1 \cdot \left(t + \frac{1}{3}\right) + 2t \cdot t^2\right|}{\sqrt{1^2 + (2t)^2}\sqrt{\left(t + \frac{1}{3}\right)^2 + (t^2)^2}} = \frac{2t^3 + t + \frac{1}{3}}{\sqrt{1 + 4t^2}\sqrt{t^4 + t^2 + \frac{2}{3}t + \frac{1}{9}}} $$
となる($t > 0$ より分子は正であるため、こちらも絶対値はそのまま外せる)。
問題の条件より $\alpha = \beta$ であり、$0 \leqq \alpha, \beta \leqq \frac{\pi}{2}$ の範囲では $\cos \alpha = \cos \beta$ が成り立つ。 したがって、
$$ \frac{2t}{\sqrt{1 + 4t^2}} = \frac{2t^3 + t + \frac{1}{3}}{\sqrt{1 + 4t^2}\sqrt{t^4 + t^2 + \frac{2}{3}t + \frac{1}{9}}} $$
分母の $\sqrt{1 + 4t^2}$ は正であるから、両辺に掛けて払うと、
$$ 2t\sqrt{t^4 + t^2 + \frac{2}{3}t + \frac{1}{9}} = 2t^3 + t + \frac{1}{3} $$
両辺ともに正であるから、平方しても同値性は崩れない。両辺を $2$ 乗して展開すると、
$$ 4t^2 \left( t^4 + t^2 + \frac{2}{3}t + \frac{1}{9} \right) = \left( 2t^3 + t + \frac{1}{3} \right)^2 $$
$$ 4t^6 + 4t^4 + \frac{8}{3}t^3 + \frac{4}{9}t^2 = 4t^6 + t^2 + \frac{1}{9} + 4t^4 + \frac{4}{3}t^3 + \frac{2}{3}t $$
両辺から $4t^6 + 4t^4$ を消去して整理する。
$$ \frac{8}{3}t^3 + \frac{4}{9}t^2 = \frac{4}{3}t^3 + t^2 + \frac{2}{3}t + \frac{1}{9} $$
$$ \frac{4}{3}t^3 - \frac{5}{9}t^2 - \frac{2}{3}t - \frac{1}{9} = 0 $$
両辺を $9$ 倍して、整数係数の方程式にする。
$$ 12t^3 - 5t^2 - 6t - 1 = 0 $$
ここで、左辺に $t = 1$ を代入すると $12 - 5 - 6 - 1 = 0$ となるため、因数定理より $t - 1$ を因数にもつことがわかる。
$$ (t - 1)(12t^2 + 7t + 1) = 0 $$
$$ (t - 1)(3t + 1)(4t + 1) = 0 $$
$t > 0$ を満たす解は $t = 1$ のみである。 このとき $y$ 座標は $1^2 = 1$ となるから、求める点 $P$ の座標は $(1, 1)$ である。
解説
「2直線のなす角が等しい」という条件を数式に翻訳する典型問題である。角の条件を処理するアプローチとしては、大きく分けて「傾きから $\tan$ の加法定理を利用する手法」と、「方向ベクトルから内積を用いて $\cos$ を比較する手法」の2通りが存在する。
解法1で示したように、$\tan$ の加法定理を用いた方が、ルートを含まない低次の有理式の処理に帰着できるため、計算ミスを減らしやすい。解法2のようにベクトルの内積を用いると、必然的にルートを含んだ式を平方することになり、次数が上がり計算量が膨らんでしまう。角度に関する条件が与えられた際は、まず $\tan$ による立式を検討するのが定石である。
答え
$(1, 1)$
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