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東京工業大学 1990年 理系 第1問 解説

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東京工業大学 1990年 理系 第1問 解説

方針・初手

「任意の正の整数 $m, n$ に対して成り立つ」ための条件を求める問題である。このような「すべての場合に成り立つ」条件(恒等式的な条件)を処理する際は、特定の値を代入して成り立つべき必要条件を導き出し、候補を絞り込むのが定石である。得られた条件が十分条件であること(実際に元の等式を常に満たすこと)を最後に確認する。

解法1

与えられた等式が任意の正の整数 $m, n$ に対して成り立つと仮定する。 $m=1, n=2$ のときも成り立つため、元の等式に代入すると、以下の式が得られる。

$$ (x+y)^2 + (z+w)^2 = \{ (x^2+z^2)^{\frac{1}{2}} + (y^2+w^2)^{\frac{1}{2}} \}^2 $$

両辺を展開して整理する。左辺は、

$$ x^2 + 2xy + y^2 + z^2 + 2zw + w^2 $$

右辺は、

$$ (x^2+z^2) + 2\sqrt{(x^2+z^2)(y^2+w^2)} + (y^2+w^2) $$

これらが等しいので、両辺から共通する項を消去すると、

$$ 2(xy+zw) = 2\sqrt{(x^2+z^2)(y^2+w^2)} $$

$$ xy+zw = \sqrt{(x^2+z^2)(y^2+w^2)} $$

$x, y, z, w$ は正数であるから、左辺も右辺も正である。したがって両辺を2乗しても同値である。

$$ (xy+zw)^2 = (x^2+z^2)(y^2+w^2) $$

展開して整理する。

$$ x^2y^2 + 2xyzw + z^2w^2 = x^2y^2 + x^2w^2 + z^2y^2 + z^2w^2 $$

$$ x^2w^2 - 2xyzw + z^2y^2 = 0 $$

$$ (xw-yz)^2 = 0 $$

よって、

$$ xw = yz $$

が必要条件となる。

次に、この条件が十分条件であることを示す。 $xw = yz$ が成り立つとき、$z > 0, w > 0$ であるから、両辺を $zw$ で割ることで $\frac{x}{z} = \frac{y}{w}$ と変形できる。 この比の値を $k$ とおくと、$x, y, z, w$ が正数であるため $k > 0$ であり、$x = kz, y = kw$ と表せる。 これを元の等式の左辺と右辺にそれぞれ代入する。

左辺は、

$$ ( (kz)^{\frac{1}{m}} + (kw)^{\frac{1}{m}} )^n + (z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}})^n $$

$$ = ( k^{\frac{1}{m}} z^{\frac{1}{m}} + k^{\frac{1}{m}} w^{\frac{1}{m}} )^n + (z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}})^n $$

$$ = \{ k^{\frac{1}{m}} ( z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}} ) \}^n + (z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}})^n $$

$$ = k^{\frac{n}{m}} ( z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}} )^n + (z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}})^n $$

$$ = ( k^{\frac{n}{m}} + 1 ) ( z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}} )^n $$

右辺は、

$$ \{ ( (kz)^{\frac{n}{m}} + z^{\frac{n}{m}} )^{\frac{1}{n}} + ( (kw)^{\frac{n}{m}} + w^{\frac{n}{m}} )^{\frac{1}{n}} \}^n $$

$$ = \{ ( k^{\frac{n}{m}} z^{\frac{n}{m}} + z^{\frac{n}{m}} )^{\frac{1}{n}} + ( k^{\frac{n}{m}} w^{\frac{n}{m}} + w^{\frac{n}{m}} )^{\frac{1}{n}} \}^n $$

$$ = \{ ( k^{\frac{n}{m}} + 1 )^{\frac{1}{n}} z^{\frac{1}{m}} + ( k^{\frac{n}{m}} + 1 )^{\frac{1}{n}} w^{\frac{1}{m}} \}^n $$

$$ = \{ ( k^{\frac{n}{m}} + 1 )^{\frac{1}{n}} ( z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}} ) \}^n $$

$$ = ( k^{\frac{n}{m}} + 1 ) ( z^{\frac{1}{m}} + w^{\frac{1}{m}} )^n $$

計算の結果、左辺と右辺が一致するため、任意の正の整数 $m, n$ に対して等式が成り立つことが示された。 以上より、求める必要十分条件は $xw = yz$ である。

解説

「任意の $m, n$ に対して成り立つ」という全称命題の処理として、特定の値を代入して必要条件を絞り込む手法が有効である。本問では $m=1, n=1$ を代入しても $x+y+z+w=x+z+y+w$ となり無意味な式になってしまうため、$m=1, n=2$ を代入することで条件を引き出している。このとき現れる式は、コーシー・シュワルツの不等式の等号成立条件を求める過程と同値である。 必要条件から得られた $xw = yz$ は、比の形 $\frac{x}{z} = \frac{y}{w} = k$ とおいて $x, y$ を消去することで、十分性の確認における計算の見通しが良くなる。

答え

$xw = yz$

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