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京都大学 2002年 理系 第3問 解説

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京都大学 2002年 理系 第3問 解説

方針・初手

整数係数方程式の整数解の性質を利用して、整数解の候補を絞り込むのが第一歩です。方程式に整数解を代入すると、「約数と倍数」の関係から解が限定されます。また、実数係数方程式が虚数解を持つ場合、それらは互いに共役な複素数となることを利用し、4次式を「2次式 $\times$ 2次式」の形に因数分解して係数比較に持ち込みます。

解法1

$f(x) = x^4 + ax^3 + bx^2 + cx + 1$ が整数解 $k$ を持つとする。$f(k) = 0$ より、

$$ k^4 + ak^3 + bk^2 + ck + 1 = 0 $$

$$ k(k^3 + ak^2 + bk + c) = -1 $$

$a, b, c$ は整数であり、$k$ も整数であるから、$k^3 + ak^2 + bk + c$ も整数である。よって、$k$ は $-1$ の約数でなければならない。したがって、考えられる整数解は $k = 1$ または $k = -1$ のみである。

方程式 $f(x)=0$ は重複も含めて2つの整数解を持つ。これを $k, l$ ($k, l \in \{1, -1\}$)とおく。また、実数(整数)係数方程式であるから、2つの虚数解は互いに共役な複素数となる。これを $z, \bar{z}$ とおく。

解と係数の関係(または展開式の定数項の比較)より、4つの解の積は $1$ に等しい。

$$ k \cdot l \cdot z \cdot \bar{z} = 1 $$

ここで、$z \cdot \bar{z} = |z|^2$ であり、$z$ は虚数なので $|z|^2 > 0$ である。ゆえに $kl > 0$ となる。$k, l \in \{1, -1\}$ のうち $kl > 0$ を満たすのは、$(k, l) = (1, 1)$ または $(-1, -1)$ のいずれかである。いずれの場合も $kl = 1$ となり、このとき $|z|^2 = 1$、すなわち $z\bar{z} = 1$ である。

$f(x)$ は最高次の係数が $1$ なので、次のように因数分解される。

$$ f(x) = (x-k)(x-l)(x-z)(x-\bar{z}) $$

$k=l$ であるため、前半の2次式は

$$ (x-k)(x-l) = (x-k)^2 = x^2 - 2kx + k^2 = x^2 - 2kx + 1 $$

後半の2次式は

$$ (x-z)(x-\bar{z}) = x^2 - (z+\bar{z})x + z\bar{z} = x^2 - (z+\bar{z})x + 1 $$

ここで、$A = z+\bar{z}$ とおくと、$z, \bar{z}$ は共役な複素数なので $A$ は実数である。これらを掛け合わせると、

$$\begin{aligned} f(x) &= (x^2 - 2kx + 1)(x^2 - Ax + 1) \\ &= x^4 - (2k+A)x^3 + (2 + 2kA)x^2 - (2k+A)x + 1 \end{aligned}$$

与えられた $f(x)$ の係数と比較して、

$$\begin{cases} a = -2k - A \\ b = 2 + 2kA \\ c = -2k - A \end{cases}$$

1つ目の式より、$A = -a - 2k$ となる。$a, k$ は整数であるから、$A$ も整数である。

さらに、$x^2 - Ax + 1 = 0$ は虚数解 $z, \bar{z}$ を持つため、その判別式を $D$ とすると $D < 0$ でなければならない。

$$ D = (-A)^2 - 4 \cdot 1 \cdot 1 = A^2 - 4 < 0 $$

$$ A^2 < 4 \iff -2 < A < 2 $$

$A$ は整数であるから、$A$ のとり得る値は $-1, 0, 1$ のいずれかである。

以上より、$k \in \{1, -1\}$ と $A \in \{-1, 0, 1\}$ の組み合わせについて $a, b, c$ の値を求める。

(i)

$k = 1$ のとき

$a = -2-A, \ b = 2+2A, \ c = -2-A$ となる。

$A = -1$ のとき:$a = -1, \ b = 0, \ c = -1$

$A = 0$ のとき:$a = -2, \ b = 2, \ c = -2$

$A = 1$ のとき:$a = -3, \ b = 4, \ c = -3$

(ii)

$k = -1$ のとき

$a = 2-A, \ b = 2-2A, \ c = 2-A$ となる。

$A = -1$ のとき:$a = 3, \ b = 4, \ c = 3$

$A = 0$ のとき:$a = 2, \ b = 2, \ c = 2$

$A = 1$ のとき:$a = 1, \ b = 0, \ c = 1$

これらはすべて題意を満たす(得られた $a,b,c$ は整数であり、対応する2次方程式 $x^2 - Ax + 1 = 0$ は確かに虚数解を持つ)。よって求める $a, b, c$ の組は、上記の6通りである。

解説

本問のポイントは、「定数項が $1$ の整数係数方程式の整数解は $\pm 1$ に限られる」という性質を見抜けるかどうかです。整数解を文字でおいて方程式に代入し、$k \times (\text{整数}) = -1$ のように無理やり約数・倍数の関係に持ち込むのは、整数問題における定石の1つです。また、実数係数の方程式の虚数解が共役になることを利用し、4次式を「2次式 $\times$ 2次式」の形に分解して係数比較する手法も、高次方程式の処理として極めて有効な典型パターンです。

答え

$(a, b, c) = (-1, 0, -1), \ (-2, 2, -2), \ (-3, 4, -3), \ (3, 4, 3), \ (2, 2, 2), \ (1, 0, 1)$

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