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東京工業大学 1997年 理系 第3問 解説

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東京工業大学 1997年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) 分母を払って $(x-a)(y-b)=k$ の形に因数分解して約数の候補から絞り込む方法と、対称性を利用して文字の大小関係を設定し、不等式で範囲を絞り込む方法の2通りが考えられる。 (2)

$n$ 個の変数の和に関する命題であるため、$n$ についての数学的帰納法を用いる。(1)の別解で用いる「不等式による絞り込み」の考え方を一般の $n$ に拡張する。

解法1

(1) 与えられた方程式は以下の通りである。

$$ \frac{1}{x} + \frac{1}{y} = \frac{1}{2} $$

両辺に $2xy$ を掛けて分母を払うと、

$$ 2y + 2x = xy $$

整理して、因数分解の形を作る。

$$ xy - 2x - 2y = 0 $$

$$ (x - 2)(y - 2) - 4 = 0 $$

$$ (x - 2)(y - 2) = 4 $$

$x, y$ は自然数であるから、$x \ge 1, y \ge 1$ であり、

$$ x - 2 \ge -1, \quad y - 2 \ge -1 $$

この条件のもとで、かけて $4$ になる整数の組 $(x - 2, y - 2)$ を考えると、

$$ (x - 2, y - 2) = (1, 4), (2, 2), (4, 1) $$

それぞれについて $x, y$ を求めると、

$$ (x, y) = (3, 6), (4, 4), (6, 3) $$

これらはすべて自然数であり、題意を満たす。

(2) $n$ についての数学的帰納法で示す。

[1] $n=1$ のとき 条件式は以下のようになる。

$$ \frac{1}{x_1} = r $$

$$ x_1 = \frac{1}{r} $$

$x_1$ が自然数となる場合は解が $1$ 組存在し、そうでない場合は $0$ 組である。いずれにせよ、組 $(x_1)$ の個数は有限である。したがって、$n=1$ のとき題意は成り立つ。

[2] $n=m$ ($m$ は自然数)のとき成り立つと仮定する。 すなわち、任意の正の有理数 $R$ に対して、

$$ \sum_{k=1}^m \frac{1}{x_k} = R $$

を満たす自然数の組 $(x_1, \dots, x_m)$ の個数が有限であると仮定する。

$n=m+1$ のとき、任意の正の有理数 $r$ に対して、

$$ \sum_{k=1}^{m+1} \frac{1}{x_k} = r $$

を満たす自然数の組 $(x_1, \dots, x_{m+1})$ の個数が有限であることを示す。 解の組の個数が有限であることを示すためには、変数の大小関係を $x_1 \le x_2 \le \dots \le x_{m+1}$ と固定したときの解の組が有限個であることを示せば十分である。(その順列を考えることで得られるすべての組の個数も、有限個の有限倍となり有限に留まるためである。)

$x_1 \le x_2 \le \dots \le x_{m+1}$ とすると、

$$ \frac{1}{x_1} \ge \frac{1}{x_2} \ge \dots \ge \frac{1}{x_{m+1}} $$

であるから、

$$ r = \sum_{k=1}^{m+1} \frac{1}{x_k} \le \sum_{k=1}^{m+1} \frac{1}{x_1} = \frac{m+1}{x_1} $$

これより、

$$ x_1 \le \frac{m+1}{r} $$

$x_1$ は自然数であるから、これを満たす $x_1$ の値の候補は有限個に絞られる。 それぞれの $x_1$ の値について、$x_k > 0$ であるため $\frac{1}{x_1} < r$ を満たすもののみを考える。このとき、

$$ \sum_{k=2}^{m+1} \frac{1}{x_k} = r - \frac{1}{x_1} $$

右辺 $r - \frac{1}{x_1}$ は正の有理数である。 帰納法の仮定より、和が $m$ 項であるこの方程式を満たす自然数の組 $(x_2, \dots, x_{m+1})$ の個数は有限である。 有限個に絞られた各 $x_1$ に対して、組 $(x_2, \dots, x_{m+1})$ の個数が有限であるから、$x_1 \le x_2 \le \dots \le x_{m+1}$ を満たす組 $(x_1, \dots, x_{m+1})$ の全体の個数も有限である。 したがって、順序の制限を外した組の個数も有限であり、$n=m+1$ のときも題意が成り立つ。

[1], [2] より、すべての自然数 $n$ と正の有理数 $r$ に対して、条件を満たす自然数の組の個数は有限であることが示された。

解法2

(1) について、不等式評価を用いた別解を示す。

$$ \frac{1}{x} + \frac{1}{y} = \frac{1}{2} $$

与式は $x, y$ について対称であるから、$x \le y$ と仮定して解を求め、最後に順列を考える。 $x \le y$ のとき $\frac{1}{y} \le \frac{1}{x}$ であるから、

$$ \frac{1}{2} = \frac{1}{x} + \frac{1}{y} \le \frac{1}{x} + \frac{1}{x} = \frac{2}{x} $$

$$ \frac{1}{2} \le \frac{2}{x} $$

$$ x \le 4 $$

また、$x, y$ は自然数であり $\frac{1}{y} > 0$ であるから、

$$ \frac{1}{x} < \frac{1}{2} $$

$$ x > 2 $$

よって、考えられる $x$ の値は $x = 3, 4$ のみである。

[1] $x = 3$ のとき

$$ \frac{1}{3} + \frac{1}{y} = \frac{1}{2} $$

$$ \frac{1}{y} = \frac{1}{6} $$

$$ y = 6 $$

これは $x \le y$ を満たす。

[2] $x = 4$ のとき

$$ \frac{1}{4} + \frac{1}{y} = \frac{1}{2} $$

$$ \frac{1}{y} = \frac{1}{4} $$

$$ y = 4 $$

これは $x \le y$ を満たす。

以上より、$x \le y$ のもとでの解は $(x, y) = (3, 6), (4, 4)$ である。 対称性により $x > y$ の場合の解も含めると、求める組は以下のようになる。

$$ (x, y) = (3, 6), (4, 4), (6, 3) $$

解説

単位分数(分子が $1$ の分数)の和が定数になるような自然数の組を求める問題は頻出である。 変数が $2$ つの場合(小問(1))は、分母を払って $(x-a)(y-b)=k$ の形に持ち込むか、対称性を利用して $x \le y$ とし、最大の項である $\frac{1}{x}$ で上から評価して $x$ を絞り込む手法が定石である。 変数が $n$ 個になる小問(2)は、この「最大項で評価して絞り込む」という考え方を一般化したものである。全体の和が $r$ であるとき、最も大きい項は少なくとも平均値 $\frac{r}{n}$ 以上になることを利用して変数のうち $1$ つの範囲を確定し、残りの変数の和の問題に帰着させることで、数学的帰納法がスムーズに機能する。

答え

(1) $(x, y) = (3, 6), (4, 4), (6, 3)$

(2) 略(解法1の証明を参照)

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