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東京工業大学 1983年 理系 第1問 解説

数学A/整数問題数学3/極限数学1/方程式不等式テーマ/不等式の証明テーマ/場合分け
東京工業大学 1983年 理系 第1問 解説

方針・初手

有理数を既約分数で表したときの性質を利用する。(1)は $x, y$ を既約分数で文字でおき、相異なる有理数の差の絶対値が下から評価できることを用いる。(2)は $x_n$ が既約分数になるように、分子と分母の約分に注意して $f(x_n)$ を求める。分子が $2$ であるため、分母の偶奇、すなわち $n$ の偶奇で場合分けが必要になる。

解法1

(1)

$x, y$ は正の有理数であるから、互いに素な自然数の組 $(p, q)$ および $(r, s)$ を用いて

$$ x = \frac{q}{p}, \quad y = \frac{s}{r} $$

と既約分数の形で表すことができる。このとき、関数 $f$ の定義より

$$ f(x) = p^2, \quad f(y) = r^2 $$

である。

$x$ と $y$ は相異なるから、$x - y \neq 0$ である。

$$ |x - y| = \left| \frac{q}{p} - \frac{s}{r} \right| = \frac{|qr - ps|}{pr} $$

$p, q, r, s$ はすべて自然数であるから、$qr - ps$ は整数である。$x \neq y$ より $qr - ps \neq 0$ であるから、$qr - ps$ は $0$ でない整数となり、

$$ |qr - ps| \geqq 1 $$

が成り立つ。

したがって、

$$ |x - y| \geqq \frac{1}{pr} $$

となり、両辺は正であるから逆数をとって

$$ \frac{1}{|x - y|} \leqq pr $$

が成り立つ。両辺を $2$ 倍すると

$$ \frac{2}{|x - y|} \leqq 2pr $$

となる。

ここで、実数の平方は $0$ 以上であるから、$(p - r)^2 \geqq 0$ より

$$ 2pr \leqq p^2 + r^2 $$

が成り立つ。

よって、

$$ \frac{2}{|x - y|} \leqq p^2 + r^2 = f(x) + f(y) $$

となり、示された。

(2)

与えられた数列 $x_n = \frac{2}{3n+4}$ について考える。 分子の $2$ と分母の $3n+4$ について、最大公約数が $1$ か $2$ かで既約分数の形が変わるため、$n$ の偶奇で場合分けを行う。

(i)

$n$ が奇数のとき

$n = 2k-1$ ($k$ は自然数) と表せる。 このとき、分母は $3(2k-1)+4 = 6k+1$ となり奇数である。 したがって、$2$ と $3n+4$ は互いに素であるから、$x_n = \frac{2}{3n+4}$ は既約分数である。 よって、

$$ f(x_n) = (3n+4)^2 $$

となる。

(ii)

$n$ が偶数のとき

$n = 2k$ ($k$ は自然数) と表せる。 このとき、分母は $3(2k)+4 = 6k+4 = 2(3k+2)$ となる。

$$ x_n = \frac{2}{2(3k+2)} = \frac{1}{3k+2} $$

$1$ と $3k+2$ は互いに素であるから、これは既約分数である。 よって、分母は $3k+2 = \frac{3n+4}{2}$ となるため、

$$ f(x_n) = \left( \frac{3n+4}{2} \right)^2 = \frac{(3n+4)^2}{4} $$

となる。

次に、$|x_n - x_{n+1}|$ を計算する。

$$ x_n - x_{n+1} = \frac{2}{3n+4} - \frac{2}{3(n+1)+4} = \frac{2}{3n+4} - \frac{2}{3n+7} $$

通分すると

$$ x_n - x_{n+1} = \frac{2(3n+7) - 2(3n+4)}{(3n+4)(3n+7)} = \frac{6}{(3n+4)(3n+7)} $$

$n$ は自然数であるから、これは正の値である。したがって、

$$ |x_n - x_{n+1}| = \frac{6}{(3n+4)(3n+7)} $$

である。

求める極限の式内の項を $A_n = \{f(x_n) + f(x_{n+1})\} |x_n - x_{n+1}|$ とおく。 $n$ と $n+1$ は偶奇が異なるため、一方が (i) に、もう一方が (ii) に該当する。

(ア) $n$ が奇数のとき

$n$ は奇数、$n+1$ は偶数であるから、

$$ f(x_n) = (3n+4)^2, \quad f(x_{n+1}) = \frac{(3n+7)^2}{4} $$

となる。よって、

$$ A_n = \left\{ (3n+4)^2 + \frac{(3n+7)^2}{4} \right\} \frac{6}{(3n+4)(3n+7)} $$

$$ A_n = \frac{6(3n+4)^2}{(3n+4)(3n+7)} + \frac{6(3n+7)^2}{4(3n+4)(3n+7)} = \frac{6(3n+4)}{3n+7} + \frac{3(3n+7)}{2(3n+4)} $$

分母分子を $n$ で割ると

$$ A_n = \frac{6\left(3 + \frac{4}{n}\right)}{3 + \frac{7}{n}} + \frac{3\left(3 + \frac{7}{n}\right)}{2\left(3 + \frac{4}{n}\right)} $$

となる。$n \to \infty$ のとき、

$$ \lim_{n \to \infty} A_n = \frac{6 \cdot 3}{3} + \frac{3 \cdot 3}{2 \cdot 3} = 6 + \frac{3}{2} = \frac{15}{2} $$

となる。

(イ) $n$ が偶数のとき

$n$ は偶数、$n+1$ は奇数であるから、

$$ f(x_n) = \frac{(3n+4)^2}{4}, \quad f(x_{n+1}) = (3n+7)^2 $$

となる。よって、

$$ A_n = \left\{ \frac{(3n+4)^2}{4} + (3n+7)^2 \right\} \frac{6}{(3n+4)(3n+7)} $$

$$ A_n = \frac{6(3n+4)^2}{4(3n+4)(3n+7)} + \frac{6(3n+7)^2}{(3n+4)(3n+7)} = \frac{3(3n+4)}{2(3n+7)} + \frac{6(3n+7)}{3n+4} $$

同様に分母分子を $n$ で割ると

$$ A_n = \frac{3\left(3 + \frac{4}{n}\right)}{2\left(3 + \frac{7}{n}\right)} + \frac{6\left(3 + \frac{7}{n}\right)}{3 + \frac{4}{n}} $$

となる。$n \to \infty$ のとき、

$$ \lim_{n \to \infty} A_n = \frac{3 \cdot 3}{2 \cdot 3} + \frac{6 \cdot 3}{3} = \frac{3}{2} + 6 = \frac{15}{2} $$

となる。

(ア)、(イ) いずれの場合も極限値は一致する。 したがって、求める極限値は

$$ \lim_{n \to \infty} \{f(x_n) + f(x_{n+1})\} |x_n - x_{n+1}| = \frac{15}{2} $$

である。

解説

(1) は、有理数を互いに素な整数を用いた分数として表し、その差の分子が整数になることから絶対値が $1$ 以上になるという、離散性を用いた評価の典型的な論法である。$(p-r)^2 \geqq 0$ から相加相乗平均の関係のような不等式を導く部分は、目標の形から逆算すると自然な発想となる。

(2) は、関数 $f(x)$ の定義が「既約分数にしたときの分母」に依存するため、与えられた $x_n$ が既約分数であるかどうかをチェックすることが最大のポイントである。分子が $2$ であることから、分母が偶数になる場合(約分される場合)と奇数になる場合(約分されない場合)で $f(x_n)$ の値が異なる。$n$ の偶奇で適切に場合分けを行い、それぞれの部分列で極限が一致することを確認すればよい。

答え

(1) 略(解法1の証明を参照)

(2)

$\frac{15}{2}$

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