東京工業大学 2022年 理系 第1問 解説

方針・初手
複素数 $z$ を固定したとき、条件を満たす実数 $a, b$ が存在するかどうかを考える「逆像法(存在条件)」でアプローチする。
方程式が実数係数であることから、$z$ が実数の場合と虚数の場合で性質が異なるため、場合分けをして考える。虚数解の場合は「解と係数の関係」を利用してパラメータを消去し、実数解の場合は方程式を満たす $a, b$ の存在範囲を調べる。
解法1
$z = x + yi$ ($x, y$ は実数)とおく。
$f(z) = 0$ より、
$$ z^2 + az + b = 0 $$
(i)
$z$ が虚数($y \neq 0$)のとき
実数係数の2次方程式が虚数解 $z$ を持つならば、共役複素数 $\bar{z} = x - yi$ も解となる。解と係数の関係から、
$$ z + \bar{z} = -a $$
$$ z \bar{z} = b $$
これらより、
$$ a = -2x $$
$$ b = x^2 + y^2 $$
$a, b$ が満たすべき条件 $|a| \leqq 1$、$|b| \leqq 1$ に代入すると、
$$ |-2x| \leqq 1 \iff -\frac{1}{2} \leqq x \leqq \frac{1}{2} $$
$$ |x^2 + y^2| \leqq 1 \iff x^2 + y^2 \leqq 1 $$
ただし、$y \neq 0$ であるから、この領域のうち実軸上の点は除く。
(ii)
$z$ が実数($y = 0$)のとき
$z = x$ であり、方程式は以下のように変形できる。
$$ x^2 + ax + b = 0 \iff b = -ax - x^2 $$
与えられた条件 $|b| \leqq 1$ より、
$$ -1 \leqq -ax - x^2 \leqq 1 $$
$$ x^2 - 1 \leqq ax \leqq x^2 + 1 $$
これを満たす実数 $a$ ($|a| \leqq 1$)が存在するための実数 $x$ の条件を求める。
$-1 \leqq a \leqq 1$ における $ax$ のとりうる値の範囲は区間 $[- |x|, |x|]$ である。この区間が、区間 $[x^2-1, x^2+1]$ と共通部分を持つことが、条件を満たす $a$ が存在する条件である。
すなわち、
$$ -|x| \leqq x^2 + 1 \quad \text{かつ} \quad x^2 - 1 \leqq |x| $$
前半の不等式は $x^2 + |x| + 1 \geqq 0$ となり、すべての実数 $x$ に対して成り立つ。
後半の不等式を整理すると、
$$ x^2 - |x| - 1 \leqq 0 $$
$$ \left( |x| - \frac{1+\sqrt{5}}{2} \right) \left( |x| - \frac{1-\sqrt{5}}{2} \right) \leqq 0 $$
$|x| \geqq 0$ および $\frac{1-\sqrt{5}}{2} < 0$ であるから、
$$ |x| \leqq \frac{1+\sqrt{5}}{2} $$
よって、
$$ -\frac{1+\sqrt{5}}{2} \leqq x \leqq \frac{1+\sqrt{5}}{2} $$
が得られる。これは複素数平面上において実軸上の線分を表す。
(i) と (ii) より、求める領域は、 ・$x^2 + y^2 \leqq 1$ かつ $-\frac{1}{2} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ (実軸上の点を除く) ・$-\frac{1+\sqrt{5}}{2} \leqq x \leqq \frac{1+\sqrt{5}}{2}$ かつ $y = 0$ (実軸上の線分) の和集合である。
前者の領域の実軸上の境界点は $-1 \leqq x \leqq 1$ であり、$\frac{1+\sqrt{5}}{2} > 1$ であるため、これは後者の線分に完全に含まれる。
解説
複素数平面における領域図示問題では、「結果となる $z$ を固定して、条件を満たすパラメータが存在するか」を考える逆像法が非常に有効である。特に本問のような実数係数方程式においては、解が実数か虚数かで条件の扱い方が大きく変わるため、場合分けを行うのが定石である。
虚数解の場合は解と係数の関係を用いて一瞬でパラメータを消去でき、実数解の場合は一次関数の値域や区間の共通部分の議論に帰着できる。論理の抜け漏れがないように境界部分の包含関係を確認することが重要である。
答え
求める領域は複素数平面上で以下の2つの図形を合わせたものである。
- 原点を中心とする半径 $1$ の円盤(境界を含む)のうち、実部 $x$ が $-\frac{1}{2} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ を満たす領域
- 実軸上の $-\frac{1+\sqrt{5}}{2}$ から $\frac{1+\sqrt{5}}{2}$ までの線分
これらを図示すると、単位円の左右の弓形を直線 $x = \pm \frac{1}{2}$ で切り落とした縦長の帯状の領域と、そこから実軸に沿って左右に突き出した線分(両端は $\pm\frac{1+\sqrt{5}}{2}$)を合わせた図形となる。境界はすべて含む。
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