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東京大学 1961年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学1/図形計量テーマ/速度・距離テーマ/面積・体積テーマ/図形総合
東京大学 1961年 文系 第1問 解説

方針・初手

出発してからの時間を $t$ 秒とし、点 $O$ を基準としたベクトルを用いて動点 $P, Q, R$ の位置を表す方針が最も簡明である。 あるいは、点 $O$ を原点とする直交座標系を設定し、各点の座標を計算して直線の方程式や面積の公式(行列式)に当てはめることでも解決できる。 ここでは斜交座標系の考え方に基づくベクトルを用いた解法と、直交座標を用いた解法の2通りを示す。

解法1

出発してからの時間を $t$ 秒 ($t > 0$) とする。 ベクトル $\vec{e_1}, \vec{e_2}$ をそれぞれ半直線 $OX, OY$ と同じ向きの単位ベクトルとする。 条件より $|\vec{e_1}| = 1, |\vec{e_2}| = 1$ であり、なす角は $60^\circ$ なので、内積は以下のようになる。

$$ \vec{e_1} \cdot \vec{e_2} = 1 \times 1 \times \cos 60^\circ = \frac{1}{2} $$

点 $A, B$ は $O$ から距離 $1$ の位置にあるため、$\vec{OA} = \vec{e_1}$, $\vec{OB} = \vec{e_2}$ と表せる。 動点 $P$ は $A$ から $OX$ 上を毎秒 $1\text{cm}$ で遠ざかるので、位置ベクトルは以下の通り。

$$ \vec{OP} = (1+t)\vec{e_1} $$

動点 $R$ は $B$ から $OY$ 上を毎秒 $2\text{cm}$ で遠ざかるので、位置ベクトルは以下の通り。

$$ \vec{OR} = (1+2t)\vec{e_2} $$

半直線 $OZ$ は $\angle XOY$ の二等分線であり、$\vec{e_1}$ と $\vec{e_2}$ は大きさが等しいので、ベクトル $\vec{e_1} + \vec{e_2}$ は $OZ$ と同じ向きを持つ。このベクトルの大きさは次のように計算できる。

$$ |\vec{e_1} + \vec{e_2}|^2 = |\vec{e_1}|^2 + 2\vec{e_1} \cdot \vec{e_2} + |\vec{e_2}|^2 = 1 + 2 \cdot \frac{1}{2} + 1 = 3 $$

よって $|\vec{e_1} + \vec{e_2}| = \sqrt{3}$ である。 動点 $Q$ は $O$ から $OZ$ 上を毎秒 $\sqrt{3}\text{cm}$ で遠ざかるため、$t$ 秒後の $OQ$ の距離は $\sqrt{3}t$ となる。 したがって、$\vec{OQ}$ は長さが $\sqrt{3}t$ で向きが $\vec{e_1} + \vec{e_2}$ と同じベクトルであるから、次のように表せる。

$$ \vec{OQ} = t(\vec{e_1} + \vec{e_2}) = t\vec{e_1} + t\vec{e_2} $$

(i) 3点 $P, Q, R$ が一直線上にある条件を求める。 $\vec{PQ}$ と $\vec{PR}$ は次のように計算できる。

$$ \vec{PQ} = \vec{OQ} - \vec{OP} = (t\vec{e_1} + t\vec{e_2}) - (1+t)\vec{e_1} = -\vec{e_1} + t\vec{e_2} $$

$$ \vec{PR} = \vec{OR} - \vec{OP} = (1+2t)\vec{e_2} - (1+t)\vec{e_1} = -(1+t)\vec{e_1} + (1+2t)\vec{e_2} $$

$P, Q, R$ が一直線上にあるとき、$\vec{PR} = k\vec{PQ}$ を満たす実数 $k$ が存在する。

$$ -(1+t)\vec{e_1} + (1+2t)\vec{e_2} = -k\vec{e_1} + kt\vec{e_2} $$

$\vec{e_1}$ と $\vec{e_2}$ は一次独立であるから、両辺の係数を比較して以下の連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} 1+t = k \\ 1+2t = kt \end{cases} $$

第1式を第2式に代入して $k$ を消去する。

$$ 1+2t = (1+t)t $$

$$ t^2 - t - 1 = 0 $$

$t > 0$ であるから、これを解いて $t = \frac{1+\sqrt{5}}{2}$ を得る。

(ii)

$\triangle AOB$ と $\triangle PQR$ の面積を比較する。 $\triangle AOB$ の面積は以下の通りである。

$$ \frac{1}{2} |\vec{OA}| |\vec{OB}| \sin 60^\circ = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\sqrt{3}}{4} $$

一方、$\vec{e_1}$ と $\vec{e_2}$ で張られる平行四辺形の面積は $1 \cdot 1 \cdot \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{2}$ である。 $\triangle PQR$ の面積は $\vec{PQ} = -\vec{e_1} + t\vec{e_2}$ と $\vec{PR} = -(1+t)\vec{e_1} + (1+2t)\vec{e_2}$ によって張られる三角形であるから、係数を用いた行列式の絶対値計算により次のように求まる。

$$ \triangle PQR = \frac{1}{2} \left| (-1)(1+2t) - t\{-(1+t)\} \right| \times \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\sqrt{3}}{4} |-1-2t+t+t^2| = \frac{\sqrt{3}}{4} |t^2 - t - 1| $$

これが $\triangle AOB$ の面積 $\frac{\sqrt{3}}{4}$ に等しいので、次の方程式が成り立つ。

$$ \frac{\sqrt{3}}{4} |t^2 - t - 1| = \frac{\sqrt{3}}{4} $$

$$ |t^2 - t - 1| = 1 $$

絶対値を外すと $t^2 - t - 1 = 1$ または $t^2 - t - 1 = -1$ となるため、それぞれ場合分けして解く。

・ $t^2 - t - 1 = 1$ のとき

$$ t^2 - t - 2 = 0 $$

$$ (t-2)(t+1) = 0 $$

$t > 0$ より $t = 2$ である。

・ $t^2 - t - 1 = -1$ のとき

$$ t^2 - t = 0 $$

$$ t(t-1) = 0 $$

$t > 0$ より $t = 1$ である。

したがって、$t = 1, 2$ を得る。

解法2

点 $O$ を原点 $(0,0)$ とし、半直線 $OX$ を $x$ 軸の正の向きにとる直交座標系を設定する。 出発してからの時間を $t$ 秒 ($t > 0$) とする。

点 $A$ の座標は $(1, 0)$ であり、動点 $P$ はここから $x$ 軸上を正の向きに毎秒 $1\text{cm}$ で動くので、その座標は $P(1+t, 0)$ である。 半直線 $OY$ は $x$ 軸と $60^\circ$ の角をなすので、方向ベクトルは $\left(\cos 60^\circ, \sin 60^\circ\right) = \left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ である。 点 $B$ の座標は $\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ であり、動点 $R$ はここから $OY$ 上を毎秒 $2\text{cm}$ で遠ざかる。$O$ からの距離は $1+2t$ となるため、その座標は以下の通りである。

$$ R \left( \frac{1+2t}{2}, \frac{\sqrt{3}(1+2t)}{2} \right) $$

半直線 $OZ$ は二等分線なので、$x$ 軸と $30^\circ$ の角をなす。方向ベクトルは $\left(\cos 30^\circ, \sin 30^\circ\right) = \left(\frac{\sqrt{3}}{2}, \frac{1}{2}\right)$ である。 動点 $Q$ は $O$ から毎秒 $\sqrt{3}\text{cm}$ で遠ざかるので、$O$ からの距離は $\sqrt{3}t$ である。よってその座標は以下の通りである。

$$ Q \left( \sqrt{3}t \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}, \sqrt{3}t \cdot \frac{1}{2} \right) = \left( \frac{3}{2}t, \frac{\sqrt{3}}{2}t \right) $$

(i) 3点 $P, Q, R$ が一直線上にある条件を求める。 ベクトル $\vec{PQ}$ と $\vec{PR}$ の成分は次のように計算できる。

$$ \vec{PQ} = \left( \frac{3}{2}t - (1+t), \frac{\sqrt{3}}{2}t - 0 \right) = \left( \frac{t-2}{2}, \frac{\sqrt{3}t}{2} \right) $$

$$ \vec{PR} = \left( \frac{1+2t}{2} - (1+t), \frac{\sqrt{3}(1+2t)}{2} - 0 \right) = \left( -\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}(1+2t)}{2} \right) $$

これらが平行(外積が $0$)である条件は以下の通り。

$$ \frac{t-2}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}(1+2t)}{2} - \frac{\sqrt{3}t}{2} \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) = 0 $$

両辺を $\frac{\sqrt{3}}{4}$ で割って整理する。

$$ (t-2)(1+2t) + t = 0 $$

$$ 2t^2 - 3t - 2 + t = 0 $$

$$ t^2 - t - 1 = 0 $$

$t > 0$ より $t = \frac{1+\sqrt{5}}{2}$ を得る。

(ii)

$\triangle AOB$ と $\triangle PQR$ の面積を比較する。 $\triangle AOB$ の面積は、底辺 $OA = 1$、高さ $\frac{\sqrt{3}}{2}$ の三角形であるから $\frac{\sqrt{3}}{4}$ である。 $\triangle PQR$ の面積は、上で求めた $\vec{PQ}$ と $\vec{PR}$ の成分を用いて以下のように計算できる。

$$ \triangle PQR = \frac{1}{2} \left| \frac{t-2}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}(1+2t)}{2} - \frac{\sqrt{3}t}{2} \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) \right| $$

$$ = \frac{\sqrt{3}}{8} \left| (t-2)(1+2t) + t \right| = \frac{\sqrt{3}}{8} \left| 2t^2 - 2t - 2 \right| = \frac{\sqrt{3}}{4} |t^2 - t - 1| $$

これが $\triangle AOB$ の面積 $\frac{\sqrt{3}}{4}$ と等しいので、

$$ \frac{\sqrt{3}}{4} |t^2 - t - 1| = \frac{\sqrt{3}}{4} $$

$$ |t^2 - t - 1| = 1 $$

以降の計算は解法1と同様であり、$t = 1, 2$ を得る。

解説

平面図形における動点の共線条件・面積条件を問う典型問題である。 解法1のように、斜交座標の基底となるベクトル $\vec{e_1}, \vec{e_2}$ を用いて計算を進めるのが最も計算量が少なく見通しが良い。特に二等分線上の点 $Q$ の方向ベクトルを $\vec{e_1} + \vec{e_2}$ を利用して作り出す処理は、計算の簡略化に大きく寄与している。 解法2のように直交座標系を設定しても無理なく最後まで計算できるため、試験場での方針選びに迷った場合は得意な方を選択すればよい。

答え

(i)

$\frac{1+\sqrt{5}}{2}$ 秒

(ii)

$1$ 秒 または $2$ 秒

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